アレルギー性蕁麻疹の症状が出た時の適切な対応方法とは?
投稿日: 2023年05月22日 | 更新日: 2024年08月06日
アレルギーの症状といえば何が思い浮かびますか?
鼻水、眼のかゆみ、喉のイガイガ、咳…いろいろありますよね。
その中でも、皮膚の症状としてよくみられるのは蕁麻疹(じんましん)です。
アレルギー性の蕁麻疹は食べ物によって起こると思われがちですが、実は様々な原因で起こります。
今回は、アレルギー性蕁麻疹の原因や特徴、対処法などについて詳しく解説していきます。
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目次
アレルギー性蕁麻疹はなにが原因で起こるのか
蕁麻疹の原因は実に様々です。
以下は蕁麻疹の原因となりうるものの一例です。
これらの原因のみで蕁麻疹を引き起こすという訳ではありません。
過敏体質(*1)など様々な要因が組み合わさって蕁麻疹が出現します。
食物 |
・魚介類 (サバ、サンマ、マグロ、カニ、エビ、イクラなど)
・肉類 (豚肉、牛肉、鶏肉など)
・鶏卵
・乳製品 (牛乳、チーズなど)
・穀物、野菜 (大豆、小麦、蕎麦、ナッツなど)
・果物 (メロン、スイカ、パイナップル、キウイ、モモ、リンゴ、バナナなど) |
食品添加物 |
・着色料(食紅など)
・防腐剤(パラベンなど)
・抗酸化剤 |
薬剤 |
・抗生物質
・解熱鎮痛薬
・鎮咳薬(咳止め) |
植物・昆虫 |
・イラクサ (蕁麻疹という名前の由来である「蕁麻」のことです)
・ゴム
・ハチ |
感染症 |
・寄生虫
・真菌(カビ類)
・細菌
・ウイルス |
物理的刺激 |
・擦過(さっか、こする)
・圧迫
・寒冷
・日光、温熱
・振動 |
その他 |
・全身性疾患 (血液疾患、膠原病(こうげんびょう)など)
・疲労やストレス |
アレルギー性蕁麻疹は主に「I型(即時型)アレルギー(*2)」と呼ばれる反応によって起こります。
肥満細胞(*3)の表面にはIgE(*4)というたんぱく質が結合しています。
ここにアレルギーの原因物質(アレルゲン)が結合することによってアレルギー症状が引き起こされるのです。
IgEがどのアレルゲンと結合するかは、「このIgEはカニ、このIgEは蕎麦」などというようにIgEごとに決まっています。
これらのIgEを持つ肥満細胞の表面にアレルゲンが付着すると、細胞が活性化されます。
そして、細胞の中に含まれている化学伝達物質(ヒスタミンなど)が周りに放出されることで、蕁麻疹などのアレルギー反応が起こるのです。
過敏体質(*1)=アレルギーを起こしやすい体質
I型(即時型)アレルギー(*2)=体内にアレルゲンが侵入して数時間以内に症状が出ることが特徴で、アレルゲンとなるのは食物、花粉、ダニなど
肥満細胞(*3)=アレルギー反応に関与している組織で、マスト細胞とも言う
IgE(*4)=血中にある免疫グロブリンの一種で、アレルギーの原因物質(アレルゲン)に対して働きかけ、身体を守る機能を持つ抗体 |
運動誘発アナフィラキシーについて
小麦製品など特定の食物を食べた後すぐに運動すると、以下などのアナフィラキシーの症状が出現する場合があります。
- 蕁麻疹
- 血圧低下
- 気分不良
- 呼吸困難
食事の後に運動をすることで、食物中に含まれるアレルゲンの吸収が高まってしまうことが原因の一つです。
予防としては、以下があります。
- 原因となる食物を食べた場合は2時間程度休んでから運動する
- 運動する場合は原因となる食物を事前に食べない
関連記事:【緊急性の高い食物アレルギー】アナフィラキシーショックの対応法
アレルギー性蕁麻疹が出る範囲や特徴
出現する部位
蕁麻疹は、以下などといった皮膚のやわらかいところに出現しやすいです。
- 太もも
- 腹
- おしり
- 膝の後ろ
- 頰
- 首
ただし、足の裏や手のひら、頭皮などといった皮膚が厚い部位にもみられることがあります。
まれに、口の中や、のど、気道に出現するケースもあり、かゆみと同時に息苦しさや声枯れなどの症状が現れることもあります。
特徴
皮膚の一部が突然赤く、くっきりと盛り上がります(膨疹)。
しばらくすると跡形もなく消えていきます。
数十分〜数時間以内に消えるのが普通です。
しかし、中には半日〜1日程度続くものもあります。
これが4週間以内に治るものを急性蕁麻疹、それ以上続くものを慢性蕁麻疹といいます。
急性蕁麻疹は症状が二峰性(ピークが2回)です。
一旦消えても再度出現する場合があり、注意が必要です。
多くはかゆみを伴いますが、チクチクとした感じや焼けるような感じを伴うこともあります。
蕁麻疹の大きさは1~2mm程度のものから手足ぐらいのサイズのものまであります。
また、それぞれの蕁麻疹が合わさって体の広範囲が覆われてしまうこともあります。
形も、円形・楕円形・線状・花びら状・地図状など様々です。
症状が激しい場合は次々と新しい蕁麻疹が出現します。
そのため、常に蕁麻疹があるようにみえることもあります。
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アレルギー性蕁麻疹と似ている疾患との違い
湿疹とは皮膚の表層に起こる炎症の総称で、皮膚炎とも呼ばれます。
かゆみに加え、赤みや細かいブツブツ、小さな水ぶくれなどが混じり合ってみられます。
皮膚がただれてしまうこともあり、治った後も色素沈着など跡が残りやすいです。
あせもは汗をよくかく部分に小さな赤いブツブツができる病気です。
悪化すると範囲が広がってかゆみを伴います。
蕁麻疹は、虫刺されの時に起こる皮膚の変化(*1)によく似ています。
虫刺されには以下のような特徴があります。
・しこりのようなものがしばらく残る
・ひっかいているうちに表面がただれたりすることがある
それに対し、蕁麻疹は必ず跡形なく消えてしまうのが特徴です。
また全体が平べったく膨らんだり、赤い輪のような形になることもあります。
虫刺されの時に起こる皮膚の変化(*1)=ぷっくりとした境界明瞭な皮膚の膨らみ、赤み、かゆみ
コリン性蕁麻疹とは、発汗をつかさどる「アセチルコリン」という神経伝達物質が関与して起こる蕁麻疹です。
風呂上がりや運動後など汗をかく時に症状が現れます。
発汗もしくは発汗を促す刺激に伴って、3~5mm大の小さな膨疹が左右対称に出現します。
それぞれの膨疹はくっつくこともあります。
しかし、アレルギー性の蕁麻疹のように地図状や平べったい膨疹になることはありません。
かゆみ以外に、ピリピリ・チクチクした痛みを伴うことが多いのもアレルギー性蕁麻疹と異なる特徴です。
通常、膨疹が出てから数分~2時間以内に自然に消えますが、再び発汗する状況になると出現します。
小児から20代の若者に多く、高齢者にはほとんどみられません。
以下を除く全身に症状が現れ、体幹部に最もよくみられます。
・手のひら
・足の裏
・わきの下
通常は汗をかきやすい夏に症状が出やすいと考えられています。
しかし、冬の運動や入浴で悪化することもあるので注意が必要です。
辛い・熱い食べ物が刺激となって発症することもあります。
関連記事:子どもが汗疹(あせも)になったときはどうすればいい?治し方や湿疹との違い・対策法について
アレルギー性蕁麻疹が出た時の対処法
蕁麻疹は、多くの場合強いかゆみを伴います。
蕁麻疹が出ている時は入浴を避け、患部を冷やしましょう。
ただし、寒冷刺激(*1)による蕁麻疹の場合は避けてください。
衣類などによる摩擦や圧迫といった物理的刺激を患部に与えないよう注意し、安静に過ごしてください。
アレルギー性蕁麻疹は肥満細胞から放出されたヒスタミンが血管や神経に作用することで症状が現れます。
このヒスタミンの作用を抑えるために、抗ヒスタミン薬または抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬が用いられます。
明らかな効果が期待できるのは内服または注射です。
外用薬(塗り薬)は多少かゆみを軽減する程度であまり大きな効果は期待できません。
抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の副作用としては、以下などが挙げられます。
- 眠気を生じやすいこと
- 前立腺肥大や緑内障がある人はそれらの症状がひどくなること
しかし、近年開発された抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬は、これらの副作用がないか、あったとしても非常に軽くなっています。
また、腫れやかゆみが強くて我慢できない場合は、充分な強さのステロイド外用薬を併用するのがおすすめです。
かゆみを早期に抑えることでかきむしりを防ぎ、心理的なストレスも軽減できます。
かきむしってしまった場合は、抗生物質が配合されたステロイド外用薬を用いて、炎症と細菌感染の両方を抑えましょう。
寒冷刺激(*1)=「冷たい」や「ひんやり感」を感じる刺激 |
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アレルギー性蕁麻疹で病院に行くべき目安
蕁麻疹は比較的よくみられる皮膚の病気です。
しかし、症状の程度は軽症なものから重症なものまで様々です。
蕁麻疹の中にはアレルギー以外の内科的疾患が関わっていることもあります。
以下のような場合は病院を受診しましょう。
- 原因がはっきり分からない
- 長時間続く
- 広い範囲に蕁麻疹が出現している
- かゆみや痛みが強い
蕁麻疹に加えて、まぶたや唇の腫れ、吐き気、息苦しさなどを伴っている場合は、
アナフィラキシーショックといった重篤な状態になってしまうこともあります。
このような場合には、直ちに病院を受診してください。
関連記事:救急外来や救急車を呼ぶ基準や命に関わる危険な症状について解説
病院での検査について
原因を調べる検査には、以下があります。
- 血液検査
- 皮膚検査
- 誘発検査
- 負荷検査
- 皮膚の一部を採取して検査する皮膚生検
血液検査では、IgE抗体検査によって原因となる物質に対する反応を調べます。
皮膚検査は、原因として疑われる物質を皮膚に注射する皮内テスト、
皮膚にその物質をのせて針で突くプリックテストなどがあります。
ただし、この方法で陽性であったとしてもそれらがすべて蕁麻疹の原因とは限らないです。
そのため、臨床症状やそれまでの経過などと併せて総合的に判断します。
物理的な刺激(*1)が原因となって起こる蕁麻疹では、それぞれ原因となる刺激を加えて実際に蕁麻疹が起こるかどうか確認する検査が行われることもあります。
薬のアレルギーが疑われる場合は、皮膚を用いた検査が必要です。
その他に、ごく少量の薬を実際に内服したり注射したりするなどして、蕁麻疹が現れるかどうかを確認することもあります。
物理的な刺激(*1)=圧迫や擦過、寒冷、温熱、日光など |
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家来るドクター(往診)での対応方法
家来るドクターでは、夜間・休日の救急往診に対応しています。
診察に加え抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服薬の処方がご自宅で受けられます。
また、ステロイド外用薬の処方も行っています。
お困りの際はお気軽にご相談ください。
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まとめ
今回は、アレルギー性蕁麻疹の原因や特徴、対処法などについて解説しました。
蕁麻疹は比較的よくみられる皮膚の症状ですが、長引かせない・繰り返さないためにも病院を受診しましょう。
また、息苦しさや吐き気などを伴う場合はすぐに病院を受診してください。
参考文献
・日本皮膚科学会 皮膚科Q&A