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【急な腹痛】虫垂炎が起こる原因や症状について|自然治癒するの?

【急な腹痛】虫垂炎が起こる原因や症状について|自然治癒するの?

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突然お腹が痛くなったという経験はありますか?

 

急に起こる腹痛は、感染性胃腸炎や、胆嚢炎(たんのうえん)などの消化器系の病気だけではありません。

 

泌尿器系の病気や産婦人科領域の病気などもあり、原因は実にさまざまです。

 

虫垂炎、いわゆる”盲腸”は腹痛を起こす原因として一般的です。

 

もしかすると痛みの原因は虫垂炎である可能性もあります。

 

今回は、虫垂炎の原因や症状、治療方法などについて解説していきます。

 

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虫垂炎になる原因

 

 

大腸はお腹の右下から始まり、全体を一周して肛門へとつながっていきます。

 

その始まりの部分を盲腸といい、盲腸からしっぽのように出ている部分を虫垂といいます。

 

この虫垂が何らかの原因で塞がってしまい、炎症が起きている状態を虫垂炎といいます。

 

小児の重症腹部疾患のなかで最も多く全体の1~8%を占め、手術の原因となる小児の腹部疾患のなかで最も多い病気です。

 

また、虫垂炎は小児だけでなく10〜20歳代でも最も多くみられる腹部の急性疾患です。

 

虫垂で炎症が起きる原因は、実はまだよくわかっていません

 

糞便説、異物説、アレルギー説、ウイルス説など様々な説があります。

 

虫垂に「何か」が詰まり、腸壁が圧迫されてしまうことで血流が悪くなり、そこに細菌が侵入・繁殖して炎症を起こすという流れが有力です

 

その「何か」とは、糞石(*1)、食物の種等の異物、まれですが寄生虫や腫瘍などです。

 

小児や若年成人では、腸内のリンパ組織が増殖したものだったりすることもあります

 

これといった予防法はないのですが、以下などで腸内細菌が異常繁殖することが原因になることもあるといわれています。

 

  • 暴飲暴食
  • 過労
  • 不規則な生活
  • 便秘
  • 胃腸炎

 

そのため、生活習慣や便通を整えることは大切になります

 

糞石(*1)=糞便(食物残渣や粘液などを含む)が石のように硬くなったもの。

 

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虫垂炎の主な症状

 

 

症状は時間経過により変化します。

 

まず、虫垂の閉塞により虫垂内の圧力が上昇することで内臓痛が出現します。

 

これは痛みの部位がはっきりせず、以下の症状のみで、胃腸炎と似ている場合もあります

 

  • 胃のあたりの違和感
  • 痛み
  • 嘔吐
  • 微熱
  • 食欲不振

 

その後、炎症が腹膜にまで及ぶと、典型的な症状である右下腹部の痛みが出現します。

 

この右下腹部痛は診断において特に重要な症状です

 

また、お腹を押したときよりも離したときの方が痛むことを反跳痛(はんちょうつう)と言います。

 

これは腹膜にまで炎症が及んでいることを意味する重要な所見です

 

虫垂炎の診断基準となる症状として、以下があります。

 

腹痛があるときはこれらの症状がないかどうか注意して観察するようにしてください

 

  • 心窩部(みぞおち)から右下腹部への痛みの移動
  • 食欲不振
  • 嘔吐、吐き気
  • 右下腹部痛
  • 右下腹部の反跳痛
  • 37.3℃以上の発熱

 

そのほかに、虫垂炎では以下のような痛みがみられることもあります。

 

閉鎖筋徴候(へいさきんちょうこう)

骨盤内の筋肉が炎症を疑う所見です。

右股関節を内転(内側に閉じる)させた時に痛みが悪化します。

腸腰筋徴候(ちょうようきんちょうこう)

腸腰筋(*1)に炎症が及んだ際に出現します。

右脚を伸ばすと右下腹部の痛みが悪化します。

 

また、以下は腹膜の炎症を確認する方法です。

 

tapping pain

お腹を軽く叩いて痛みが発生するかどうか調べます。

Heel drop sign

つま先立ちから踵を落として痛みが右下腹部に響くかどうかをみます。

 

このように、初期の虫垂炎では典型的な右下腹部の痛みが出ないことが多いです。

 

そのため、胃腸炎症状の場合でも注意する必要があります

 

また、腹痛以外にも様々な症状が出現する場合があることも重要です。

 

腸腰筋(*1)=お腹の中の後ろにある筋肉

 

 

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虫垂炎になりやすい人の特徴

 

 

幼児~20歳代くらいまでの発症率が最も高いです。

 

しかし、高齢者を含め男女問わずどの世代にも起こります

 

虫垂炎自体の原因が明らかではないため、発症のリスクが高い人についてはよく分かっていません

 

しかし、虫垂を切除する手術治療(外科治療)ではなく、虫垂を切らずに抗生物質を使う薬物治療(保存治療)を行った場合は再発の可能性が高いです。

 

そういった意味では保存治療をした方は虫垂炎になりやすいと言えるでしょう。

 

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虫垂炎になったときの食事の注意点

 

 

虫垂炎では腹部に炎症が起きている状態となるため、一般的に腸の動きが低下してしまいます。

 

また、以下などの症状を伴うことも多いため、食事を摂ることが難しくなる場合があります

 

  • 発熱
  • 食欲低下
  • 吐き気
  • 下痢

 

そして、虫垂炎は外科的治療の場合、全身麻酔をかける可能性があります。

 

全身麻酔では基本的に麻酔前は絶食することが必要です。

 

虫垂炎を疑う症状がある場合はなるべく食事を摂らず水分のみ摂るようにして、早めに医療機関を受診するようにしましょう

 

保存治療を行った場合や手術後はお粥などの消化によい食事から再開していき、徐々に通常の食事に戻していきます。

 

食事を戻していくタイミングについては担当医師とよく相談しましょう。

 

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虫垂炎は基本的に自然に治癒することはありません

 

前述の通り、外科治療や保存治療を行う必要があります

 

ちなみに、虫垂炎に似た症状を起こす他の病気の中には自然によくなる病気もあります。

 

虫垂炎に似た腹痛を起こす病気として、主に以下の消化器系・腎泌尿器系・産婦人科系の病気が挙げられます。

 

消化器系疾患

・感染性腸炎

・憩室炎

・回盲部炎

・メッケル憩室

・腸閉塞

・胆石症

・炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)

・腸間膜リンパ節炎

・腹膜垂炎

など

腎泌尿器系疾患

・尿管結石

・精巣捻転

・精巣上体炎

など

産婦人科系疾患

・卵管卵巣膿瘍

・骨盤内炎症性疾患

・卵巣嚢胞の破裂

・卵巣軸捻転

・子宮内膜症

・子宮内膜炎

・異所性妊娠

・月経痛

・卵巣過剰刺激症候群

など

 

これらの中には尿管結石など自然に症状がよくなる病気もあります

 

しかし、薬や手術による治療が必要となる病気も多いです。

 

正しく診断をするためにも痛みがあれば我慢せずに病院を受診するようにしましょう

 

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虫垂炎の治療・手術について

 

 

治療には大きく分けて保存(薬物)治療外科(手術)治療があります。

 

以下でそれぞれの治療の具体的な内容について解説します。

 

保存治療

 

適応は、急性発症の虫垂炎で以下などの合併症がない若い患者さんです。

 

  • 糞石
  • 穿孔(せんこう、虫垂に穴が開くこと)
  • 免疫不全

 

初期の治療は点滴での抗生物質投与が推奨されています。

 

また、穿孔している例でもまずは抗生物質を投与し、炎症がある程度良くなった後に手術を行うこともあります

 

手術治療を行う場合でも術前に抗生物質が投与されます。

 

保存治療のみの場合、抗生物質は一般的に7日間程度の投与です。

 

しかし、治療を始めて1〜2日経っても症状が良くならない場合は手術が検討されます

 

また、点滴の治療で改善がみられる場合は、途中で飲み薬に変更して治療を続けることもあります。

 

投与期間については、状況によって2週間程度まで延長される場合があります。

 

治療成績は良いのですが、虫垂が残っているため虫垂炎が再発する可能性があり、注意が必要です

 

外科治療

 

虫垂炎における基本の治療方法になります。

 

しかし、実際の治療方法の選択は外科医によって判断が異なります

 

よって直接診察を受けていただくことが必要です。

 

発症から1〜3日程度の早期の単純性虫垂炎では、手術治療を行うことが一般的です。

 

発症から時間が経過して膿瘍となっている場合は、合併症の危険性が高まります

 

そのため、一度抗生物質を投与して炎症をおさえてから手術を行います

 

手術の方法は腹腔鏡手術開腹手術の2種類です。

 

腹腔鏡手術

小さい傷からカメラを挿入して行う方法です。

傷の感染や痛みが少なく、入院期間や絶食期間も短いというメリットがあります。

一方で開腹手術と比べて手術時間が長く、再入院率や膿瘍形成率が高いというデメリットもあります。

開腹手術 右下腹部を切り開き、直接虫垂を確認して切除する標準的な手術方法です。

 

どちらかの手術方法が一方的に優れているというわけではありません。

 

患者さんの状況と外科医の判断で術式が決定されます。

 

また、腹腔鏡手術の途中で開腹手術に切り替わる場合もあります

 

そのため外科医とよく相談して、手術方法を決定することが必要です。

 

術後の経過は炎症の程度によって異なります。

 

炎症が軽度だった場合は手術翌日から食事を再開でき、入院期間も1週間未満であることが多いです。

 

炎症が高度で腹膜炎となっていた場合や膿瘍ができていた場合は、水分や食事摂取の開始を少し遅らせる場合が多いです

 

重症度や合併症の有無、患者さんの希望などをあわせて総合的に決定されます。

 

虫垂炎の一般的な経過の説明していきます。

 

通常は感染の進行により、炎症→壊疽(えそ、組織が腐った状態)→穿孔(せんこう)といった経過をたどって重症化していきます。

 

穿孔した場合は虫垂の内容物や膿(うみ)が周囲に漏れてしまうため、膿瘍(のうよう、膿が溜まった状態)になる場合があります。

 

さらに、感染が周囲に及ぶと腹膜炎、敗血症といった重篤な状態へと至る可能性があります。

 

そのため、虫垂炎は早めに治療することが重要です。

 

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虫垂炎の再発率について

 

 

虫垂炎の治療で問題となるのが再発の有無です。

 

外科治療で虫垂を切除した場合は、虫垂自体がなくなるため再発することはありません

 

しかし、保存治療では再発の可能性があるため、ここでは保存治療における虫垂炎の再発率について解説していきます。

 

繰り返しになりますが、保存治療の適応は糞石や穿孔などがない若い人の急性虫垂炎です。

 

一般的に、保存治療はいったん治療が成功しても再発のリスクは高いと報告されています

 

以下は抗生物質による保存治療について手術治療(虫垂切除術)と比較した研究の内容です。

 

保存治療では約5~10%程度が治療の効果がなく、早期に手術が必要となりました

1年以内に15~25%が再発し手術が必要になったと報告されています。

また、保存治療での7日以内の治療失敗率は11.9%でした。

治療成功例でも6ヶ月以内の再発率は10.7%1年以内では12.6%となっています。

しかし、2022年に発表された論文では、発症1ヶ月時点での治療成功率は保存治療と手術治療では違いがないと報告されました。

一方、2017年の論文では、抗生物質で治療した後の1年間の再発率は13.9〜35%と高率でした。

そのため、単純性の虫垂炎では手術治療を推奨しています

 

結論として、保存治療は1ヶ月程度の短い期間で考えるのであれば選択してもよいかもしれません。

 

しかし、1年以内の再発が1〜3割程度あることを考えて選択するべきです

 

止むを得ない事情がない限りは手術治療が確実といえるでしょう。

 

では、虫垂炎の患者さん全員が手術を受けるべきかというと、手術には手術自体や全身麻酔のリスクなど様々あります。

 

持病などがあって危険性が高い場合は手術を受けることができないかもしれません

 

そのため、治療方法の選択は効果とリスクを考慮して慎重に検討される必要があります。

 

家来るドクター(往診)での対応方法

 

前述の通り、虫垂炎では基本的に手術治療となります。

 

そのため、診断した時点でより大きな医療機関へ紹介となるケースが多いです。

 

しかし、中には虫垂炎かそれ以外の病気か判断できない、受診するかどうか迷う、すぐに病院を受診できないなどといった様々な状況があるかと思います。

 

そのような場合に、家来るドクターはお電話での相談はもちろん、ご自宅まで往診に伺うことが可能です。

 

そこで実際に診察した上で考えられる病気や今後の方針についてご提案することができます

 

お悩みの際は是非ご相談ください。

 

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まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

 

今回は、虫垂炎の原因や症状、治療方法などについて解説しました。

 

虫垂炎は、最初の段階では胃腸炎と紛らわしいため診断が難しいです。

 

痛みが悪化している場合は早期に診断・治療が必要な病気となります。

 

また、治療法も様々であり、患者さんご自身が知識を持つことが大切です

 

この記事が参考となりましたら幸いです。

 

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参考文献


村田篤彦、真弓俊彦「虫垂炎」

 

・Tannoury J, Abboud B. Treatment options of inflammatory appendiceal masses in adults. World J Gastroenterol. 2013;19(25):3942-3950. doi:10.3748/wjg.v19.i25.3942

 

・Vons C, Barry C, Maitre S, et al. Amoxicillin plus clavulanic acid versus appendicectomy for treatment of acute uncomplicated appendicitis: an open-label, non-inferiority, randomised controlled trial. Lancet. 2011;377(9777):1573-1579. doi:10.1016/S0140-6736(11)60410-8

 

・de Almeida Leite RM, Seo DJ, Gomez-Eslava B, et al. Nonoperative vs Operative Management of Uncomplicated Acute Appendicitis: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Surg. 2022;157(9):828-834. doi:10.1001/jamasurg.2022.2937

 

・Poon SHT, Lee JWY, Ng KM, et al. The current management of acute uncomplicated appendicitis: should there be a change in paradigm? A systematic review of the literatures and analysis of treatment performance. World J Emerg Surg. 2017;12:46. Published 2017 Oct 16. doi:10.1186/s13017-017-0157-y

 

【監修医師】

整形外科医 Dr.三浦隆徳

名古屋・神奈川・千葉・大阪の往診医療機関

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