【秋から冬にかけて注意】ノロウイルス感染症になる原因や症状、消毒方法を解説

公開日:2022.12.3 更新日:2026.9.11

寒い季節になると流行するのが感染性胃腸炎

その一番の原因となるのがノロウイルスです。

  • ノロウイルスってなに?
  • どんな症状が出るの?
  • 予防法は?

今回は、このような疑問にお答えしつつ、ノロウイルスについて詳しく解説していきます。

この記事は次のような方に向けて書いています

  • 嘔吐や下痢が急に始まった
  • 家族にうつさない消毒方法を知りたい
  • いつから出勤・登校できるか知りたい

ノロウイルス感染症とは

ノロウイルスとは

ノロウイルスはヒトの小腸粘膜で増殖するウイルスです。

感染性胃腸炎(急性胃腸炎)の代表的なウイルスですが、食中毒の代表的なウイルスとしても知られています。

ヒトに感染すると主に胃腸炎症状を引き起こします。

感染者は冬を中心に、年間を通じてみられます。

1968年にアメリカのオハイオ州ノーウォークという街の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者の便からウイルスが検出され、その土地の名前からノーウォークウイルスと呼ばれていました。

その後、2002年8月に国際ウイルス学会で「ノロウイルス」と命名されました。

ノロウイルスの特徴

直径30〜40nm(ナノメートル)前後の丸いカップ状のタンパク質の中に遺伝子が包まれた構造をしています。

多くの遺伝子型が存在し、培養した細胞や実験動物でウイルスを増やすことができないことから、ウイルスを分離して特定することは困難とされてきました。

しかし、近年新しい検査法(PCR法)の開発および普及によってウイルスの検査が可能になっています。

ノロウイルスの感染経路

ほとんどが経口感染で、次のような感染様式があると考えられています。

ノロウイルスの感染経路

  • 感染者のノロウイルスが大量に含まれた便や吐物から手などを介して二次感染する
  • ヒト同士の接触する機会が多いところ(家庭や共同生活施設など)でヒトからヒトへ飛沫感染などによって直接感染する
  • 食品を取り扱う人(食品製造に関わる人、飲食店や家庭で調理を行う人など)がノロウイルスに感染しており、その人を介して汚染した食品を食べる
  • ノロウイルスに汚染されていた二枚貝(特にカキなど)を、生あるいは十分に加熱調理されていない状態で食べる
  • ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道の水を消毒が不十分な状態で飲む

また、ノロウイルスは飛沫感染だけでなく、比較的狭い空間などでの空気感染によって感染が拡大したとの報告もあります。

こんな一例があります。

2006年、東京都内の某ホテルでノロウイルスの集団感染が起きました。

保健所の調査では、ホテルで提供された食事そのものからはノロウイルスは検出されず、また、厨房の調理者は無症状であり、検便からもノロウイルスは検出されませんでした。

しかも、ホテルで調理された食事を食べていない利用客やホテルの従業員からも同時期に多数の発症者が出ていました。

さらに調査を続けると、集団感染が起こる数日前に利用客の一人が通路のじゅうたんの上に嘔吐していたことがわかりました。

その通路は換気が悪く、吐物の処理は消毒剤ではなく洗剤で行われていました。

そのため、じゅうたんに付着していたノロウイルスが乾燥し、さらにその上を多数の人が歩いたり掃除機で掃除することによって空中にノロウイルスが舞い上がり、それを吸い込むことによって多くの人が感染してしまったのです。

ちなみに、この場合の空気感染とは、結核・麻疹(はしか)などのような広範囲に広がる空気感染(飛沫核感染) ではなく、ホコリとともに周辺に散らばるような比較的狭い範囲での空気感染と考えられます。

ノロウイルスの潜伏期間

およそ24〜48時間程度と言われています。

他のウイルスと比べて、感染すると比較的早く発症します。

ノロウイルスの感染の強さ

ノロウイルスの特徴として知られるのが、その感染力の強さです。

ノロウイルスは非常に小さいウイルスである上に、10〜100個程度というわずかな量が体内に侵入するだけでも感染・発症してしまうとされています。

感染者の下痢便1g中には100万〜10億個ものウイルスが存在すると言われているので、その少なさは歴然ですね。

発症率は、感染した人のうち約半分程度の人(およそ50%)しか発症しないとされています。

ところがこのウイルスの怖い点は、以下のような点です。

  • 発症していない人でもウイルスを排出している可能性がある
  • 症状がある人では、症状がなくなっても1週間〜1ヶ月程度はウイルスを排出している(=この期間中は感染源になりうる)

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ノロウイルス感染症が冬の時期に流行る理由

ノロウイルスに限らず、多くのウイルスは低温と乾燥を好みます。

そのため、冬では長く生存し感染力が強くなります。

また、空気が乾燥していることによって、ウイルスを含んだ飛沫などが素早く乾燥して小さくなり、より長く空中に浮遊することで感染範囲が広がります。

そのため、寒くて乾燥する冬に流行するのです。

ノロウイルス感染症の症状

吐き気・嘔吐・水のような下痢が出現します。

その他に、腹痛・頭痛・発熱・寒気・筋肉痛・喉の痛み・全身のだるさなどを伴うこともあります。

特効薬はなく、基本は数日でよくなりますが、乳幼児や高齢者などは重症化したり、嘔吐による窒息や下痢による脱水を起こすことがあるため注意が必要です。

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ロタウイルス感染症との違い

症状や感染経路はノロウイルスと似ており、有効な抗ウイルス薬がないのも同じです。

とはいえそれぞれ違う点があるため、そのポイントを見ていきましょう。

それぞれの症状

ノロウイルスは吐き気や嘔吐が激しく、ロタウイルスは水のような下痢が長期間続く傾向があります。

時には白い便がみられることもあり、下痢によって重い脱水症状が出ることもあります。

らに、ノロウイルスでは軽い発熱で済むことが多いですが、ロタウイルスでは39℃を超える高熱が出ることがあります。

ロタウイルスは、初めて感染したときに強く症状が現れる傾向があるため、乳幼児が感染した場合は特に注意が必要です。

感染した乳幼児の約半数が重症化して入院が必要になると言われています。

また、ノロウイルスの後遺症はほぼないとされていますが、ロタウイルスの場合は、繰り返すけいれんや急性脳症、多臓器不全などの後遺症がまれに残ることがあります。

二次感染について

ノロウイルスもロタウイルスも、感染した人の便に大量に含まれているため、それらを介して感染してしまう危険があります。

特に、ロタウイルス感染者の下痢便には、1gあたり1000憶〜1兆個のウイルスが含まれ、その数はノロウイルスの100万倍にもなります。

感染力はノロウイルスと同じで非常に強く、10〜100個程度のわずかなウイルスが口に入っただけでも感染してしまいます。

さらに、症状が治まった後も1週間〜10日間は便中にウイルスを排出し続けます。

再感染について

ノロウイルスは遺伝子型の種類が多く進化が速いため、一度感染してもまた別の型のウイルスにかかるなどして何度も感染し発症します。

一方、ロタウイルスは感染自体は繰り返すものの、2回目以降の感染では症状が軽くなる傾向があります。

5歳までにほぼすべての子どもがロタウイルスへの感染を経験し、その後は大人になって感染してもほとんどの場合無症状です。

予防接種について

現時点ではノロウイルスを予防するワクチンはありません。

しかし、ロタウイルスのワクチンは既に開発されており、日本では2011年に承認されています。

2回接種と3回接種の2種類があり、どちらも生後6〜32週までの乳児にしか接種できません。

しかも、いずれも1回目の接種は14週6日までに済ませることが推奨されています。

乳幼児は他の予防接種も受ける必要があるため、接種スケジュールを早めに相談して決定しましょう。

 

ノロウイルス

ロタウイルス

好発年齢

主に成人

5歳未満の

乳幼児

潜伏期間

1〜2日

2〜4日

流行時期

11〜2月

3〜5月

症状の特徴

吐き気・嘔吐

下痢(時に白色便)・高熱

再感染

何度も同じ強さの症状が出現

徐々に症状が軽くなり大人は無症状

後遺症

ほぼなし

まれにけいれん・急性脳症など

ワクチン

なし

あり

ノロウイルス感染症になったら何日休めばいい?

ノロウイルス感染症に関しては出席・出勤停止期間は設けられていないため、下痢や嘔吐などの症状がおさまれば登校・出勤可能です。

しかし、前述の通り症状が落ち着いてもウイルスを排出しているため注意が必要です。

なお、飲食店や給食センターなどで調理に従事する人が感染した場合、検便検査でノロウイルスを保有していないことが確認されるまで調理に従事させないようにすることが望ましい(=出勤停止)とされています。

このような職業に就いている方は下痢や嘔吐などの症状が出たらすぐ管理者に相談しましょう。

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ノロウイルス感染症の検査・治療について

ここからは、ノロウイルス感染症の検査と治療について詳しく解説していきます。

ノロウイルス感染症の検査

通常、症状や周囲の感染状況などから総合的に判断してノロウイルス感染症と診断されることが多いです。

しかし、本当にノロウイルスが原因かどうかは臨床症状からだけでは特定できません。

ノロウイルス抗原検査は便中のノロウイルスを検査キットで検出するもので、3歳未満および65歳以上の方などを対象に保険が適用されています。

医療機関で医師が医学的に必要と判断した場合に行われ、診断の補助として用いられています。

なお、この検査は結果が早く出るというメリットがありますが、ノロウイルスに感染していても陽性とならない場合(偽陰性)もあります。

より確実なのは、患者の便や吐物を用いてPCR検査などでウイルスの遺伝子を検出する方法です。

便には通常大量のウイルスが排泄されるので、比較的容易に検出することができます。

こうした検査は通常医療機関では行われず、食中毒や集団感染の原因究明などの目的で行政機関や研究機関などで行われています。

ノロウイルス感染症の治療

ノロウイルスに対する抗ウイルス薬は現時点で開発されておらず、通常は対症療法が行われます。

特に乳幼児や高齢者は脱水症状を起こしやすいので、十分な水分補給を行いましょう。

脱水症状が重い場合は点滴などの治療が必要になります。

下痢止めは、ウイルスの排出を抑えて回復を遅れる場合があるので使用しないようにしましょう。

ノロウイルスを消毒する方法はある?

一般的な感染症対策としてアルコール(エタノール)などが用いられますが、ノロウイルスに対しては無効です。

完全に失活化させるには、次亜塩素酸ナトリウムや加熱による処理が必要です。

洗剤などで十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸水で拭いたり浸けたりすることにより、ウイルスを失活化させることができます。

また、85℃〜90℃で90秒以上加熱することでウイルスは感染力を失うとされています。

なお次亜塩素酸ナトリウムは、次亜塩素酸ナトリウムを含んだ家庭用の塩素系漂白剤でも代用できます。

使用にあたっては製品に記載されている「使用上の注意」をよく確認しましょう。

日常生活での注意点

次に日常生活でできる注意点について、食べ物と手洗い・うがいにわけて解説していきます。

食べ物

二枚貝(特にカキ)からの感染が多いと言われています。

できるだけ生食を避け、十分に加熱(食材の中心温度が85〜90℃以上で90秒以上)してから食べるようにしましょう。

なお二枚貝などを取り扱うときは以下を守り、他の食材への二次汚染を防止するよう心がけましょう。

  • 専用の調理器具を使用する
  • 調理器具を使用するたびに洗浄・消毒

手洗い・うがい

手洗いは、手指に付着しているノロウイルスを減らす最も効果的な方法です。

以下などを行った後などには必ず行いましょう。

  • 調理を行う前
  • 食事を提供する前
  • 食事をする前
  • トイレに行った後
  • 感染者の汚物処理
  • オムツ交換

石けんをしっかり泡立てて手指を洗浄したあと流水で十分にすすぎ、清潔なタオルやペーパータオルで拭きます。

常に爪を短く切っておき、指輪などの装飾品を外してから洗うのもポイントです。

石けんそのものにはノロウイルスを直接消毒する効果はありませんが、手の汚れを落とすことでウイルスも一緒に剥がしやすくします。

なお、アルコールによる手指消毒は、石けんと流水を用いた手洗いの代用にはなりませんが、すぐに石けんによる手洗いができない場合、あくまで一般的な感染症対策として補助的に行ってください。

うがいも口や喉に入ったウイルスを排出するのに有効です。

積極的に行いましょう。

関連記事:家族内での感染を防ぐために|ウイルスや病原菌から家族を守る

まとめ

いかがでしょうか。

今回はノロウイルスについて解説しました。

手洗い・うがいをしっかり行い、感染予防に努めましょう!

FAQ

ノロウイルスについてよくある質問

ノロウイルスはなぜ感染力が強いのですか?
わずか10〜100個程度のウイルスが体内に入るだけで感染・発症するとされ、感染者の下痢便1gには100万〜10億個ものウイルスが含まれるためです。症状がなくなった後も1週間〜1ヶ月程度はウイルスを排出し続ける点にも注意が必要です。
ノロウイルスの消毒はアルコールで大丈夫ですか?
アルコール消毒は効果が不十分で、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用の塩素系漂白剤で代用可)や85〜90℃で90秒以上の加熱処理が必要です。手洗いは石けんをしっかり泡立てて流水で洗い流すのが最も効果的です。
ノロウイルスになったら何日休めばいいですか?
法律上の出席・出勤停止期間はなく、下痢や嘔吐などの症状がおさまれば登校・出勤可能です。ただし症状が落ち着いてもウイルスを排出しているため、飲食店など調理に従事する方は検便でウイルスがないことを確認するまで調理を控えることが望ましいとされています。

PIT DOCTORでできる対応

前述の通り、ノロウイルス感染症は対症療法が基本となります。

PIT DOCTORでは、整腸剤などの処方が可能です。

親子や、ご兄弟で同じ症状で困っている場合などにもお気軽にご相談ください。

脱水症状がひどく点滴が必要と判断した場合は、処置が可能な医療機関への紹介を行います。

また、夜間休日の急な体調不良に対応できるよう、下記の時間でも受け付けております。

木・金・土:19:00〜24:00
日・祝:10:00〜17:00

この症状でも受け付けてくれるかな…とご不安になったらお気軽にご連絡ください。

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この記事の監修医師

福井 康大

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