
レチノールとは?効果的な使い方や注意点を解説
肌をきれいにしたくても、どんなスキンケアを選べばよいか分からない方も多いのではないでしょうか。
本記事では近年注目を浴びている「レチノール」という成分について、効果的な使い方や注意点について解説します。

Contents
レチノールとは?

レチノールはビタミンAの一種です。
外用剤として肌に塗ることで、肌の光老化を改善し、アンチエイジングの効果を発揮します。
日本では2017年に厚生労働省から認可され、医療機関のみならず、市販の化粧品にも配合されるようになりました。
レチノールはその効果の強さによって大きく5種類に分けられます。
- パルミチン酸レチノール
- 酢酸レチノール
- レチノール
- レチナール
- レチノイン酸(トレチノイン)
下にいくほど効果が高くなりますが、肌への刺激も強くなるため注意が必要です。
日本で認可されているのは上から3つまでで、レチノイン酸は医薬品として病院でしか処方されません。
レチノールを肌に塗ると、A反応と呼ばれる皮膚症状が起こります。
この反応がどの程度出るかは、同じ外用剤を同じ量で塗っていても個人差があります。
代表的なA反応は以下の通りです。
- 肌の赤み
- 痒み
- ニキビ
- 乾燥
- 皮剥け
- ヒリヒリとした痛み
トレチノインはレチノールの約100倍の効果を持つ強力な成分です。
アメリカではシミ・シワの改善目的でトレチノインが使われています。
ですが、日本人には皮膚への刺激が強いため、日本ではトレチノインの代わりにレチノールが使われることが一般的です。
関連記事:スキンケアを正しい順番で行う理由|基本の順番を朝と夜に分けて紹介!
レチノールの主な効果

レチノールはこんなお悩みがある方におすすめです。
- シミやそばかすが気になる
- 小ジワが増えてきた
- 肌のくすみや色ムラが気になる
- 肌に血色感がない
- 肌のハリツヤがない
- たるみが気になる
- 美白、美肌にしたい
- ニキビや毛穴を改善したい
- 脂性肌や乾燥肌でメイク崩れが気になる
抗酸化作用
レチノールには体内の活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があります。
活性酸素によってできるシミやシワ・肌荒れなどの老化サインを改善したり、予防したりできます。
ハリや弾力を与える
レチノールは肌にハリと弾力を与える効果があります。
肌の土台となる真皮層まで浸透し、コラーゲンやヒアルロン酸を作る線維芽細胞にはたらきかけます。
その結果、肌の弾力を支えるコラーゲンや、潤いを保つヒアルロン酸の産生を促すことが可能です。
うるおいを高める
レチノールには、肌本来持つ保湿力を高める効果があります。
ZO®︎SKIN HEALTH開発者のオバジ先生によると、アジア人の肌は繊細であり、自分に適した保湿ケアができていない方も多いのだそう。
多くの方が乾燥肌に悩んで保湿剤をたくさん塗りがちですが、それがかえって肌を敏感にしてしまう可能性があります。
大切なのは肌が本来持っている保水力を高めることです。
レチノールを使うと肌の内側で天然の保湿成分が作られ、表面から深層部までの保水力が高まります。
その結果、多くの保湿アイテムに頼らず、化粧水だけでもしっとりとした肌を保てるようになります。
ターンオーバーを促進
レチノールには、肌のターンオーバー(肌の生まれ変わり)を促進する効果があります。
古い角質が排出され新しい肌細胞が元気に生まれ変わることで、メラニン色素によって色付いた細胞もも自然と排出されます。
さらには、余分な角質が排出されることで、普段使うスキンケアアイテムの浸透がよくなる点も魅力的です。
皮脂の分泌制御
過剰な皮脂分泌は、ニキビや毛穴詰まりなどの大きな原因となります。
レチノールには過剰な皮脂分泌を正常化するはたらきがあり、てかりのないさらさらとした肌へと導きます。
炎症を抑える
レチノールには、赤みやほてりといった肌の炎症を鎮める効果があります。
日々さまざまなスキンケア用品を重ね塗りしている方は、肌のバリア機能が低下し、炎症を起こしやすい状態となります。
レチノールは水分と油分のバランスを整え、バリア機能を正常化することで、炎症が起こりにくい肌を目指せます。
血行促進
レチノールには、肌の内側で新しい血管を作り出す力があります。
これは同じ抗酸化作用を持つビタミンCにはない、レチノール(ビタミンA)だけの特徴です。
肌の血管が新しく生まれ変わることで、すみずみまで酸素や栄養が届き、黄ぐすみのない明るく健康的な肌色へと変化していきます。
レチノールの効果的な使い方

レチノールを効果的かつ安全に使うには以下のポイントに気をつけましょう。
濃度が低いものから使う
多くの方の肌はビタミンAが不足しているため、いきなり高濃度の製品を使うとA反応が強く出る可能性があります。
特に乾燥肌やアトピーの方はA反応が出やすい傾向があるため、まずは濃度の低いものから徐々に肌を慣らしていきましょう。
継続して使う
レチノールは継続して使うことで大きな効果をもたらす薬剤です。
私たちの肌は毎日紫外線や環境刺激にさらされているため、レチノールによるケアも継続的に行う必要があります。
特に低濃度のレチノールにおいては、短期間で変化を感じにくいものの、年単位で継続することにより違いを実感しやすくなります。
保湿ケアを十分にする
レチノールを使い始めると赤みやヒリヒリ感・乾燥などが気になることがありますが、適切な保湿ケアでこれらの不快な症状を和らげることが可能です。
特にセラミドを含む保湿剤はレチノールとの相性が良く、肌のバリア機能を補いながら刺激を和らげてくれます。
ただし、以下の点に注意しましょう。
- 目元や口元には特に注意を払い、事前に保護用の保湿剤を塗っておく
- ニキビや脂性肌の方は油分の多い保湿剤を避け、水分保持タイプを選ぶ
皮脂コントロールとpH調整
レチノールの効果を高めるには、過剰な皮脂を抑え、肌のpH(酸性度)を整えることが大切です。
健康な肌は自然と弱酸性の状態を保っていますが、レチノールがもっとも効果を発揮しやすいのも弱酸性です。
ニキビ肌や皮脂過剰な方には、グリコール酸やサリチル酸配合の化粧品を組み合わせ、レチノールの浸透力を上げることもおすすめです。
食事からもビタミンAを摂取
レチノール(ビタミンA)は、肌の外側からのケアだけでなく、食事からの補給も重要です。
ビタミンは体内でほとんど作られないため、外からの摂取が重要となります。
以下のようなビタミンAが多く含まれている食品を意識的に摂り、肌の内側からもレチノールの働きをサポートしましょう。
- レバー
- 卵
- ニンジン
- ほうれん草
- かぼちゃ
- パプリカ
関連記事:肌質改善とは?セルフケアやお悩み別の治療方法を紹介
レチノールがヒリヒリするのは副反応?アレルギー?

レチノールを使い始めると赤みやヒリヒリ感・皮むけなどが出ることがありますが、これは「A反応」と呼ばれる正常な反応です。
特に肌のビタミンA濃度が低い方ほど、反応が出やすい傾向にあります。
肌が火照ったり少し腫れぼったく感じたりすることもありますが、これもアレルギー反応ではありません。
レチノールは私たちの肌に元々含まれている成分で、血液中にもわずかに存在しているため、アレルギーを引き起こすことは極めて少ないとされています。
心配な場合は安心して続けられるよう、専門家に相談することをおすすめします。
レチノールを使用するときの注意点

紫外線ケアを十分にする
レチノールを使う際に最も気を付けたいのが紫外線対策です。
レチノールを使うことで肌を紫外線から守るメラニン色素が減少するためです。
その結果、肌は紫外線の影響を受けやすくなり、以下のような問題が起こる可能性があります。
- 肌の細胞が傷つきやすくなる
- 深刻な日焼けを起こしやすくなる
- 治りにくいシミができやすくなる
特に、A反応が出ている時期はより注意が必要です。
そのため、以下の紫外線対策を必ず行いましょう。
妊娠中や妊活中
レチノールは過剰摂取によって赤ちゃんの発育に影響が出る可能性があり、妊娠中や妊活中の方は使用を控えなければなりません。
特に内服薬としての影響は明確に報告されています。
妊娠中のみならず、これから妊娠を考えている方も控えた方がよいでしょう。
使用のタイミング
レチノールは基本的に夜の使用がおすすめです。
これは、ターンオーバーが睡眠中に活発になるため、レチノールの効果をより高められるためです。
ただし、紫外線対策を徹底すれば朝の使用も可能です。
- 夜の使用→昼から午後にかけて皮むけが目立つ
- 朝の使用→夜に皮むけが目立つ
人と会う機会が多い昼間に皮むけを避けたい場合は、朝に使用すると皮むけのタイミングを夜にずらせます。
自分のライフスタイルに合わせて使いやすい時間帯を選ぶことが大切です。
レチノールの濃度
レチノール製品の濃度は、肌の状態や目的によって使い分けることが大切です。
濃度が高くなればなるほど効果は実感しやすくなりますが、同時にA反応も強くなる傾向があります。
低濃度のレチノールは、以下のような方におすすめです。
- 肌のツヤや透明感を高めたい方
- 穏やかなケアをじっくり続けたい方
- レチノールを初めて使う方
一方、高濃度のレチノールが適しているのは以下の方です。
- 毛穴の開きが気になる方
- ニキビや小じわが気になる方
- シミやたるみにアプローチしたい方
- 比較的短期間で効果を実感したい方
ご自身の生活スタイルと相談しながら、適切な濃度を選ぶことが大切です。
アトピーや敏感肌
アトピーや敏感肌の方は肌の防御機能が弱くなっているため、レチノールの使用には特別な注意が必要です。
高濃度のレチノールをいきなり使用すると、以下のリスクがあります。
- 肌の炎症が強く出る
- 肌荒れがひどくなる
- シミになりやすい
デリケートな肌の方は必ず低濃度のレチノールからスタートしましょう。
肌の様子を丁寧に観察しながら、ゆっくりと時間をかけて濃度を上げていくことで、安全に肌を強くしていくことができます。
A反応が辛い時の対応
レチノールによるA反応が強く出て辛い時は、我慢せずに使い方を見直すことが大切です。
効果を早く実感したいからといって、強い反応を我慢して使い続けることは、かえって肌にダメージを与えてしまう可能性があります。
赤みや皮むけなどの見た目の変化は、日常生活や対人関係でストレスの原因になることもあります。
そんなときは、以下のような方法でA反応を和らげることが可能です。
- レチノールの使用頻度を減らす(毎日から週2-3回に)
- より低濃度の製品に切り替える
- 肌に優しい保湿剤を併用する
首など顔以外への使用
首にもレチノールを使うことは可能ですが、顔とは異なるA反応が出る場合もあるため注意が必要です。
また、以下のような問題が起こりやすくなります。
- 無意識に掻いて傷つけてしまう
- 予想以上に強い反応が出る
- シミになりやすい
そのため、首へのレチノール使用は肌に優しいパルミチン酸レチノールがおすすめです。
刺激が少なく、ゆっくりと効果を実感できるタイプであり、デリケートな首のお手入れに適しています。
関連記事:ケミカルピーリングとは?セルフで行う際の効果と注意点を解説

まとめ
レチノールを使用することで、衰えてしまった皮膚本来の持つ機能を正常化させ、ハリツヤのある健やかで美しい肌を育てることができます。
小ジワ・シミ・肌の色ムラやくすみ・毛穴・ニキビ改善・脂性肌・乾燥肌・たるみの改善など多様な効果を期待できる有効な成分です。
肌をキレイにしたい、いつまでも若々しい肌を保ちたい方は、ぜひ一度使ってみてはいかがでしょうか。
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参考文献
化粧品でよく聞くレチノールとは?その効果や使い方について解説。
レチノールとは?肌への効果・副作用・使い方のコツを詳しく解説! | CLINIC FOR
レチノールはどう使うのが正解? 今更聞けない効果や副反応を徹底解説|CI:LABO美研