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【うつる病気】子供から大人まで気をつけてほしい溶連菌感染症の症状や治療について

投稿日: 2022年05月07日 | 更新日: 2024年08月03日

まず初めに、『溶連菌』という言葉を知ってますでしょうか。

 

子供から大人まで幅広く罹患する感染症で、主に咽頭や扁桃に感染を引き起こします。

他にも丹毒といった顔面の感染症や肺炎、中耳炎などの原因になる細菌です。

 

溶連菌感染症は細菌による感染症であるため、しっかりと抗菌薬での治療を行えば、症状は改善しますが、不十分な抗生剤治療により合併症を来たす疾患になります。

 

実際に罹患すると、非常につらい病気ですので、この場を借りて一度わかりやすくお話しさせて頂きますね。

 

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溶連菌感染症とは 


まず溶連菌とは『溶血性レンサ球菌』の略で、菌が鎖状になっている細菌のことを溶連菌と呼びます。

 

溶連菌の中にはA群、B群、C群、G群に代表される種類が存在します。

 

この中で生活していて影響するのはA群であり、一般的に溶連菌感染症とはこのA群溶血性レンサ球菌(Group A Streptococcus,GAS)による感染症のことをいいます。


妊婦さんやママの方でGBSと聞き覚えのある方いらっしゃいますでしょうか?


これはB群連鎖球菌のことで、新生児に感染すると、様々な後遺症を引き起こすことが分かっており、膣に保菌している方は妊娠時に予防的に抗生剤を投与する必要があると考えられている病気になります。

 

臨床的にはこのA群とB群が主に病気にかかわる頻度が多いです。

 

溶連菌感染症の重要なこととして、不十分な抗生剤治療によって、腎臓や全身に合併症を引き起こすことがわかっております。


これらを溶連菌感染後性糸球体腎炎、リウマチ熱と呼びます。詳細については後述とさせて頂きます。

 

好発時期

 

11月~4月が流行時期と言われており、春先に多く咽頭痛症状がメインになります。

 

潜伏期間

 

約2~5日程度といわれております。

 

昨今のコロナウィルスと同じぐらいの潜伏期間と考えられています。

 

感染経路は飛沫感染が多い

 

咳やくしゃみなどで菌が飛び散り、それを吸い込むことで起きる飛沫感染が多いとされています。



また少ないですが、皮膚から感染する接触感染も少ないながらあります。

 

子供に多いが、大人でも感染する病気

 

子供に主に感染する病気ではありますが、大人でももちろん感染します。


一度感染しても再度感染を繰り返すことがあります。

 

しかし小児では無症候性キャリアといって、症状はないが、保菌しているパターンが10%程度いることが実はわかっている菌になります。

 

関連記事:大人が溶連菌にかかるときつい?気づかず放置は危険?

 

溶連菌感染症の症状

 

溶連菌の症状

 

主な症状

 

溶連菌感染症による咽頭炎・扁桃炎の典型的な所見は実はたくさんあります。

 

  1. 咽頭が著しく発赤し、扁桃も発赤腫脹し、時々白色の滲出物の付着が口蓋扁桃に認められます。これを白苔がついていると表現します。
  2. 口蓋垂から軟口蓋にかけて(上あごのあたり)濃赤色を示し、時に点状出血を認めます。
  3. 皮膚所見として猩紅熱様の発疹(ポツポツと赤い湿疹)が全身に出現することもあります。
  4. 舌ベロはいちご色のように腫れぼったい赤い舌になります。これをいちご舌と呼びます。
  5. 首のリンパ節が腫れることも多くあります。

 

ほかにも嗄声といって声が出にくい状況が出現したり、もちろん発熱を認めたり、全身の倦怠感を認めたりします。

 

合併症については

 

溶連菌感染症の一番のポイントは2つの続発症をきたす可能性があるということです。

 

これらについて説明しますね。

 

急性腎炎


一つ目は溶連菌感染は糸球体という腎臓の一部を悪化させることがわかっています。


それを溶連菌感染後性糸球体腎炎(PSAGN)とよび、咽頭炎後の通常1週間~3週間程度潜伏期間をおいて発症します。


5~15歳の小児における糸球体疾患の最も一般的な原因になります。

 

症状としては無症候性の血尿(コーラ色の血尿)やタンパク尿、乏尿、浮腫、高血圧を認めます。


採血、尿検査で大体の診断は可能になりますが、まれに腎生検が必要になることがあります。


治療としてはタンパク質制限、ナトリウム制限、水分の接種制限等の支持療法がメインとなりますが、腎機能は85~95%の患者で正常になることがわかっています。


症状としてわからないことも多いので溶連菌感染症の1か月後に尿検査をすることが大切になります。

 

リウマチ熱


リウマチ熱は連鎖球菌感染症に対して治療を行わなかった場合に起きる合併症の総称で、関節、心臓、皮膚、神経に起きる炎症のことをいいます。


どの年齢の方でもかかる病気にはなりますが、5歳~15歳の方で最もよくみられます。

 

症状としては関節痛、発熱、心臓の炎症による胸痛または動悸、小舞踏病とよばれる痙攣性のコントロールできない動き、輪状紅斑といった発疹、皮膚の下にできる小結節といった小さなしこりができたりします。

 

治療としては抗生剤による治療、アスピリン、ステロイドによる炎症、疼痛緩和が行われます。

 

抗生剤加療が浸透したこともあり、日本では見かけることがない病気にまでなりました。

 

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新型コロナ感染症との違いは


新型コロナ感染症はCOVID-19といったウィルスによる感染症に対し、溶連菌感染は溶連菌といった細菌による感染症です。

 

なので細菌である溶連菌は抗菌薬による治療が可能であるのに対し、新型コロナ感染症には抗ウィルス薬が存在しません。

 

また新型コロナ感染症は上気道や肺に炎症を引き起こしますが膿瘍といった膿を作ることはありません。



咽頭痛が強く食べ物を呑み込めないことは両疾患ともありえますが、口を開けれないといった開口障害はのどに膿瘍ができていないと説明がつかない症状になります。

 

治療法は?

 

耳鼻科・内科・小児科などで受診を

 


溶連菌感染症は咽頭炎、扁桃炎、中耳炎などでもみられる病気ですので、お口を見て、検査をすれば診断できます。

 

なので、耳鼻科、内科、小児科のどこでも同様に診断することは可能です。

 

しかし声帯がある喉の状況は鼻腔内視鏡を用いないと見えないため、口が開けれられないことや、唾を呑み込めない状況などでは耳鼻科への受診をおすすめします。


実際の診断は咽頭炎を起こしている溶連菌の存在を確認することになります。

 

溶連菌の存在を確認する方法は2種類あり、細菌培養の検査迅速抗原検査があります。

細菌培養検査は溶連菌以外の菌が起こしている炎症も同定できますが、2日は少なくとも結果がでるのに必要なことがデメリットとしてあります。

一方迅速抗原検査においては、10分かからずに検査結果が分かりますが、溶連菌以外の菌は同定できません。

 

日本の保険診療上の制限から、培養検査と迅速検査を併用することができないため、病院での診療ではどちらかのみ行われます。

 

関連記事:溶連菌の潜伏期間は?感染したら出席停止?

 

抗生剤による治療


10日間アンピシリンという抗生剤を内服し続けることが非常に重要です。


他の抗生剤毎に治療期間は決められていますが、溶連菌感染後糸球体腎炎やリウマチ熱などの不十分な抗生剤加療により、生じる合併症があるため、しっかりと決められた抗生剤加療が必要になります。

 

感染した場合は職場や学校を休む


学校への出席停止に関しては文部科学省より出されている、学校保健安全法に乗っ取った規則になります。

>>文部科学省の学校において感染症に関する規則


これは児童において感染リスクが高く、流行させてしまう可能性がある疾患において規定されており、職場などの出社を停止する法律ではありません。



しかし、一つの治療の目安になることから使われる指標になります。



溶連菌感染症においては『適正な抗菌剤治療開始後24時間を経て、全身状態が良ければ登校可能』となっております。

 

しかし、溶連菌感染扁桃炎を経験されている方はわかると思いますが、病気にかかるとかなりしんどいので、次の日に仕事や学校へ行くのは難しいのでは体調面で難しいと考えますので、僕は数日休むことを推奨しています。

 

日頃から手洗い、うがい、マスクの着用などで感染対策を


やはり感染症になりますので、日ごろからの手洗い、うがい、マスクの着用は感染のリスクを減らすために重要になります。

 

昨今ではコロナが流行ってきたので、このような対応をしてくれる方は多くなりました。

 

実臨床では溶連菌感染症の方が少なくなった印象を実感しています。

 

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病院や家来るドクターでできる治療


治療法でも申し上げた通り、細菌感染なので抗生剤が著効します。

 

家来るドクターでは溶連菌の迅速検査を行うことができ、診断もすぐにできます。

また、必須の抗生剤も備えているため、治療を行うことができます。

 

基本的に病院で行えることも同じではありますが、溶連菌感染の方は咽頭痛が強くでる方もおり、食事や水分がとれないこともあります。

 

そんな時は点滴にて栄養補給が必要になり、数日必要なケースも多いため、入院施設のある病院への受診をお勧めします。

 

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まとめ


今回は溶連菌感染症のことについて、また診断や治療についてもお話しさせて頂きました。

 

ありふれた病気ではありますが、不十分な治療が行われていることもあるので、一つでも安心につながる知識を提供できたら幸いです。

 

参考文献:

・小児科における咽頭炎・扁桃炎:A群溶連菌感染症を中心に 口咽科 23:1;11~16,2010

執筆者

横浜内科・在宅クリニック 院長 朝岡 龍博

経歴

  • 名古屋市立大学 卒業
  • 豊橋市民病院 初期研修医勤務
  • 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
  • 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
  • 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
  • 西春内科・在宅クリニック 副院長
  • 横浜内科・在宅クリニック 院長
  • >>詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

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