虫刺されは実は危険?症状や対処法について解説
投稿日: 2024年07月09日 | 更新日: 2024年10月24日
屋外での活動やレジャーが楽しめる季節、気持ちが弾む一方で、気になるのが虫刺されですね。
虫刺されは、誰でも屋外に限らず家の中でも起こる身近なものです。
中には全身にひどいかゆみや痛みが現れるケースや、虫が媒介する感染症によって命の危険を伴うケースもあります。
本記事ではそんな、実は怖い虫刺されの症状や刺されたときに自分でできる対処方法をご紹介します。
目次
虫刺されの症状
痛み
虫刺されによる痛みは、虫に刺されたり咬まれたりという物理的な刺激によって生じます。
虫に刺された直後に痛みを感じることが多く、刺された部位に鋭い痛みや灼熱感を伴うことがあります。
特にハチやアリなどの毒性を持つ虫に刺された場合は、強い痛みを感じることが多いです。
痛みの強さや持続時間については、個人差や刺された場所、虫の種類によって異なりますが、市販の鎮痛剤の使用や冷やすことで痛みを軽減することが可能です。
かゆみや腫れ
虫刺されの最も一般的な症状としてかゆみや腫れがあります。
かゆみや腫れは、咬まれたり刺されたりした際に、注入された唾液や毒に対して起こるアレルギー反応です。
このアレルギー反応には、虫刺され直後にみられる「即時型反応」と、数日後に現れる「遅発型反応」とがあります。
かゆみや腫れは通常数日程度で治まることが多いですが、掻きむしったりすると皮膚が傷つき、さらに炎症を引き起こすことがあります。
かゆみを和らげるため、抗ヒスタミン剤や冷却ジェルなどを使用して掻きむしってしまうのを予防しましょう。
アレルギー症状
虫刺されが引き金となり、アレルギー症状を引き起こす場合があります。
虫刺されによるアレルギー症状では、気分が悪くなる、お腹が痛くなるなどの全身症状が現れることがあります。
さらに重症の場合、意識障害やショック症状といったアナフィラキシーショックが起こることもあり、迅速な医療処置が必要です。
二次感染
虫に刺された患部を掻いたり、触ったりすることによって、とびびなどの二次感染を起こすこともあります。
二次感染が進行すると発熱やリンパ節の腫れを伴うこともあり、場合によっては抗生物質による治療が必要です。
予防のために、掻き壊す前に充分な強さのステロイド外用剤を使って、しっかり炎症を抑えるのが効果的です。
関連記事:虫刺されの腫れがひどい・大きいときの対処法|どんな虫に注意すべき?
虫刺されを引き起こす代表例
蚊
蚊は、最も一般的な人を刺す虫です。
蚊に刺されると、唾液が体内に注入され、免疫反応によってかゆみや腫れ、個人差はありますが水ぶくれができる場合もあります。
水辺や湿気の多い場所に多く生息し、夏場に活動が活発になります。
虫よけスプレーや蚊取り線香、網戸などを活用して蚊の虫刺されを予防しましょう。
ブヨ
ブヨは蚊に似た吸血昆虫です。
蚊との違いは皮膚を咬んで血液を吸うため、赤い出血点や内出血ができることが特徴です。
蚊に比べてかゆみや腫れの症状が強く、しこりが残ることもあります。
かゆみや腫れは数日から1週間程度続く場合もあり、掻きむしることで二次感染のリスクが高まります。
主に春から初夏にかけての朝夕に活動が活発になり、野外活動時には長袖・長ズボンの着用や虫よけスプレーでの予防が必要です。
ノミ
ノミは動物や人間の血を吸う小さな昆虫です。
ペットに寄生しているノミが、吸血のために人を刺すことで強いかゆみや赤い発疹といった症状が現れます。
ノミに刺されたことがない人ほど、かゆみ症状が激しく、水ぶくれができることもあります。
水ぶくれができてしまった時は、二次感染による悪化や痕残りを防ぐために、適切な治療が必要です。
ノミは温かい環境を好み、春から秋にかけて活動が活発になります。
ペットの飲み対策や、こまめな掃除をしてノミ刺されを予防しましょう。
ダニ
室内で刺されるダニのほとんどはイエダニで、赤く、かゆみの強い小さなしこりがたくさんできるのが特徴です。
腹部や太ももの内側、脇の下、二の腕など、衣服で隠れている部分が刺されやすく、1週間以上続くこともあります。
かゆみが長期間続くこともあり、掻きすぎると皮膚炎を引き起こすことがあります。
定期的な布団の掃除やダニの駆除剤の使用が効果的です。
関連記事:トコジラミに刺されたときの症状とは|ダニとの違いも解説
ハチ
ハチに刺されると、ハチ毒の刺激作用によって、直後から激しい痛みと赤い腫れが出ます。
ハチは刺すときに毒を注入するためアレルギー反応を引き起こすことがあります。
重症化するとアナフィラキシーショックを引き起こすことがあり注意が必要です。
特に、スズメバチやアシナガバチには注意しましょう。
刺された直後は、患部を強く絞りながら洗い流し、針が残っている場合はピンセットなどで取り除きましょう。
口で毒を吸い出すのは、口内に傷があった場合に毒が侵入する場合があり危険です。
ハチに刺されたあと、呼吸困難やめまい、吐き気などの症状があった場合は直ちに病院を受診しましょう。
毛虫
毒毛を持つ蛾の幼虫に触れることで、激しい痛みとかゆみを伴う小さな赤いブツブツがたくさんできます。
患部を掻くと、肌に刺さった毒針毛が周辺の皮膚にこすりつけられるため、蕁麻疹のような症状がでます。
毒毛に触れてしまった場合は、触れた部分を水でよく洗い流し、かゆみ止めの薬を塗布するのが効果的です。
毛虫は春から秋にかけて木々や庭などで見かけることが多いため、屋外での作業時は長袖や手袋を着用することで予防ができます。
ムカデ
ムカデに噛まれると、毒液の成分によって直後から激痛が生じます。
症状としては患部が痺れ、赤く腫れてきます。
ムカデは温かい環境を好み、夜間に活動するため、夏場の寝室や屋外での活動には注意が必要です。
ハチ同様、アナフィラキシーショックを起こすことがあるため、体調に異変を感じたら医療機関をすぐに受診する必要があります。
虫刺されから派生する蜂窩織炎とは?
虫刺されの二次感染として代表的な病気に、蜂窩織炎という病気があります。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)は、皮膚や皮下組織に細菌感染を起こすことで生じる炎症性の疾患です。
虫に刺された患部を掻きむしり傷が出来てしまうことで、傷口から細菌(黄色ブドウ球菌や溶連菌など)が侵入し、発症することがあります。
症状としては、刺された部分が赤く腫れ、熱感や痛みを伴い、周囲の皮膚が硬くなる特徴があり、発熱や全身の倦怠感を伴うこともあります。
蜂窩織炎が進行すると感染が体内に広がり、重篤な合併症を引き起こすリスクもあり、早期治療が重要です。
治療には、抗生物質の内服や、重症例では点滴治療が用いられます。
個人差はありますが、5日前後で治ります。
自分でできる虫刺されの対処法
冷却
虫刺されによるかゆみや腫れを抑えるのに冷却が効果的です。
冷やすことで血管が収縮し、かゆみや炎症の原因となるヒスタミンの働きを抑えることができます。
氷をビニール袋に入れたものや、保冷剤をタオルにくるんで患部に当てましょう。
氷や保冷剤を直接肌に当ててしまうと凍傷のリスクがあるため、必ずタオルに包んで使用してください。
冷却は数分間行い、様子を見ながら繰り返し行ってください。
刺激を避ける
虫刺されの患部は、かゆくても掻かずに刺激を避けることが大切です。
掻きむしると皮膚が傷ついて細菌が入り込み、二次感染のリスクが高まります。
また、掻くことで炎症が広がりかゆみや腫れを悪化させる原因にもなります。
かゆみを我慢するのが難しい場合は、先述した冷却や市販のかゆみ止めなどを使用してなるべく患部に刺激を与えないようにしましょう。
清潔を保つ
傷口の清潔を保つ事も二次感染の予防するためにも大切です。
虫に刺された直後には、流水でしっかりと洗い流し、消毒を行うことで細菌や汚れを取り除くことができます。
また、患部を清潔に保つために、ガーゼや清潔な布で軽く覆っておくのもよいでしょう。
塗り薬の使用
患部を清潔にした後はかゆみ止めの薬も塗っておくと、掻きむしる心配もなく早く綺麗に治りやすくなります。
かゆみだけの場合は、抗ヒスタミン成分の配合されたもの、かゆみとともに腫れなどがある場合は、ステロイド成分が配合された薬を使用します。
塗り薬を使用する際は、患部が清潔であることを確認し、適量をやさしく塗り広げるようにしましょう。
また、薬を使用しても効果が現れない場合や、症状が悪化してしまった場合は早めに医療機関を受診しましょう。
経口剤の服用
虫刺されによるかゆみでアレルギー反応が強い場合は、塗り薬だけでなく経口剤の服用も有効です。
経口剤には抗ヒスタミン剤やステロイド内服薬などがあります。
特に、広範囲にわたるかゆみがある場合や、塗り薬での効果が不十分なときに利用されることが多いです。
また、蜂窩織炎などの細菌感染が疑われる場合は、抗生剤などの経口投与が必要なこともあります。
この場合は、医師の処方が必要になるので早めにお近くの医療機関を受診してください。
家来るドクターでできる対応
家来るドクターでは、夜間休日の往診を行っております。
診察後、症状に合わせてその場で軟膏や抗生剤などの処方が可能です。
往診対応エリア外や、往診に来てもらうほどではない…といった場合にはオンライン診療をご利用ください。
オンライン診療では、専用アプリから簡単に予約と診察が可能です。
お薬はご自宅近くの薬局でお受け取りいただけます。
電話による医療相談も行っているので、病院受診を迷っている場合や、薬の使用方法などわからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。
まとめ
虫刺されは、誰もが経験する身近なものです。
特にこれからの季節、屋外での活動時間が増え虫刺されの頻度も多くなるでしょう。
虫刺されぐらいと軽く考えがちですが、適切な予防と対処を行うことで二次感染リスクを軽減することが可能です。
刺された虫によっては命の危険が伴うこともあります。
もし、症状が悪化したり、いつもと様子が違うなと感じたりしたらお近くの医療機関をご受診ください。
参考文献
- ヒフノコトサイト「『虫刺され』の症状・治療法【症例画像】」
- くすりと健康の情報局「虫さされの原因」
- 病院スコープ「虫刺され」
- MSDマニュアル家庭版「蜂窩織炎」
- 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「蜂窩織炎」
執筆者
経歴
- 名古屋市立大学 卒業
- 豊橋市民病院 初期研修医勤務
- 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
- 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
- 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
- 西春内科・在宅クリニック 副院長
- 横浜内科・在宅クリニック 院長
- >>詳しいプロフィールはこちらを参照してください。