やけどの応急処置と夜間の対処法|冷やし方・病院に行くべき判断基準
夜中にやけどをしてしまった、子どもがやけどした。
やけどは初期対応が非常に重要です。正しい応急処置と、救急に行くべきかどうかの判断基準について、医師が詳しく解説します。
この記事は次のような方に向けて書いています
- 夜中にやけどをして対処に困っている
- 冷やし方が合っているか確認したい
- 救急に行くべきか判断したい
目次
まず今すぐ冷やす|正しい応急処置3ステップ
やけどの応急処置
- 流水で30分冷やす
- 衣服は脱がさず、上からシャワーを当てる
- アイスノン・氷を直接当てるのは絶対にしない
やけどをしたら、何より先に患部を冷やすことが最優先です。冷やすことでやけどの拡大を防ぎ、痛みも和らげることができます。
ステップ1:流水で30分冷やす
水道水(常温)を患部に30分ほど流し続けてください。冷やしすぎは体温低下につながるため、氷水や保冷剤の直接当ては避けましょう。
ステップ2:衣服は脱がさず、上からシャワーを
衣服の上からやけどした場合、無理に服を脱がせると皮膚が剥離してしまうことがあります。服を着たまま、上からシャワーで冷やしてください。
ステップ3:アイスノン・氷の直接当ては絶対NG
アイスノンや氷枕を直接皮膚に当てると、凍傷でかえって症状が悪化します。どうしても使う場合はタオルでくるんでから当ててください。
また、アロエの葉を貼る・バターを塗るなどの民間療法は、感染を引き起こす原因になります。インターネットの誤った情報を鵜呑みにせず、まずは流水で冷やすことだけを行ってください。
夜間・休日、救急に行くべきやけどのサインは?
こんなやけどは、すぐに受診してください
- 顔・口・鼻周辺のやけど
- 広範囲のやけど
- 皮膚が白・黒に変色している
- 薬品・電流によるやけど
- 手・足・顔・陰部などの特殊な部位
- 子どもの手足のやけど
以下のいずれかに当てはまる場合は、夜間・休日でも救急病院の受診をおすすめします。
顔・口・鼻周辺のやけど
口の中にすすが付いている、鼻毛の先が焦げているなどのサインがある場合は、気道熱傷(のどが腫れて呼吸困難になる)のおそれがあります。
広範囲のやけど
成人でⅡ度熱傷が体表面積の15%以上、Ⅲ度熱傷が2%以上の場合。子どもでは熱傷面積10%以上が目安です。
皮膚が白・黒に変色している
深いやけど(Ⅲ度)のサインです。痛みを感じにくくなっている場合も重症のことが多いです。
薬品・電流によるやけど
酸やアルカリなどの化学薬品、電流によるやけどは見た目より重症化しやすく、特殊な処置が必要な場合があります。フッ化水素酸によるやけどは特に危険です。
手・足・顔・陰部などの特殊な部位
これらの部位は後遺症(拘縮・瘢痕)が残りやすく、専門的な処置が必要です。
子どもの手足のやけど
2歳以下のお子さんでは、手の動きに後遺症が残りやすいため、早めの受診をおすすめします。
上記に当てはまらない場合でも、「何か不安」と感じたら受診することをためらわないでください。やけどは初期治療が重要です。
やけどが軽そうに見えても、早めの受診を
「発赤だけで水ぶくれもないし、大丈夫そう」と思っても、できるだけ早めに医療機関を受診することをおすすめします。その理由は、やけどの本当の深さは受傷直後にはわからないからです。
受傷直後は発赤だけだったのに、翌日になって水疱(水ぶくれ)が出てきたというケースはよくあります。また、水ぶくれができていても、底の色が赤色なら比較的浅いやけど(浅達性Ⅱ度)ですが、白色であれば深いやけど(深達性Ⅱ度)の可能性があり、傷跡が残ることもあります。
やけどの深さが明確にわかるまでには、1週間ほどかかることも珍しくありません。「大丈夫そう」という自己判断は、重症化を見逃すリスクがあります。
| 水ぶくれの底が赤色 | 浅達性Ⅱ度の可能性。2週間程度で治癒し傷跡が残りにくい |
| 水ぶくれの底が白色 | 深達性Ⅱ度の可能性。傷跡が残ることも。早めに受診を |
| 皮膚が黒・白に変色 | Ⅲ度の可能性。痛みを感じないことが多い。すぐ救急へ |
やけどの深さと症状の種類
やけどの重症度は、障害された皮膚の深さによって以下のように分類されます。
| Ⅰ度 | 発赤のみ。痛みを感じる。2週間以内に治癒し傷跡は残らないことが多い |
| 浅達性Ⅱ度 | 水ぶくれあり。底が赤色。痛みあり。2週間程度で治癒 |
| 深達性Ⅱ度 | 水ぶくれあり。底が白色。痛みが感じにくい。傷跡が残ることも |
| Ⅲ度 | 皮膚が黒・白に変色。痛みを感じない。専門的治療が必要 |
Ⅰ度・浅達性Ⅱ度は比較的軽症ですが、深達性Ⅱ度・Ⅲ度は重症で、傷跡や動かしづらさが残る場合があります。受傷直後は深さが見た目では判断しにくいため、注意が必要です。
夜間、病院に行くまでの自宅ケア
救急受診が必要なほどではないと判断した場合、受診までの間は以下のようにケアしてください。
水疱(水ぶくれ)はつぶさない
自分でつぶすと感染のリスクが高まります。医師の判断に任せましょう。
傷口は清潔に保つ
ガーゼで覆い、1日1回はシャワーで傷口を洗って清潔を保ちましょう。傷にばい菌が繁殖すると、治りが遅くなったり後遺症が残りやすくなります。
消毒薬の使用は慎重に
傷の消毒は痛みを伴い、かえって治りを悪くするという考え方もあります。流水での洗浄を優先してください。
やけどの跡・ケア方法
やけどが治った後も、以下のケアが重要です。
日焼けを3ヶ月間避ける
やけどした部分は日焼けによってシミが残りやすくなります。回復後3ヶ月ほどは紫外線対策を徹底してください。
拘縮(こうしゅく)の予防
傷の治療中から患部をよく動かすことで、皮膚が固まって動かしにくくなる拘縮を予防できます。
ケロイド・肥厚性瘢痕に注意
深いやけど(深達性Ⅱ度・Ⅲ度)では、傷が治った後も数週間〜数ヶ月で傷口が盛り上がることがあります(肥厚性瘢痕・ケロイド)。変化がみられたら早めに受診してください。
やけどの原因と種類(参考)
| 熱傷 | 熱湯・天ぷら油など高温なものによる |
| 低温熱傷 | 湯たんぽ・使い捨てカイロなど低温なものによる(軽傷に見えて深いことがある) |
| 電撃傷 | 電流による |
| 化学熱傷 | 酸・アルカリなどの薬剤による |
| 放射線皮膚炎 | 放射線による |
小さなお子さんでは、テーブルの上のカップ麺や熱い飲み物をこぼす、炊飯器・ポットの蒸気に手をかざすといった事故が多くみられます。低温熱傷(湯たんぽ・カイロ)は軽傷に見えても深くまでやけどが及んでいることがあるため注意が必要です。
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まとめ|夜間やけどの対応フロー
夜間にやけどをした場合の対応を3つに整理します。
- まず流水で30分冷やす(アイスノン・氷の直当てはNG)
- 救急サインを確認する
顔・口・鼻のやけど/皮膚の白・黒変色/広範囲/薬品・電流によるやけど/子どもの手足のやけど → 当てはまれば迷わず救急へ - できるだけ早めに受診する
発赤だけに見えても、やけどの深さは時間が経たないとわかりません。民間療法は悪化のリスクがあるため、症状が落ち着いたらなるべく早く医療機関を受診してください。
FAQ
夜間のやけどについてよくある質問
やけどをしたらまず何をすればいいですか?
夜間でも救急に行くべきやけどはどんな場合ですか?
軽そうに見えるやけどでも受診したほうがいいですか?
PIT DOCTORでできる対応
夜間・休日にやけどをした場合は、まず当院へご連絡ください。状態をお伺いした上で、以下のいずれかをご案内します。
当院で対応できる場合
熱傷の深さや状態に応じた外用薬(ワセリン・ステロイド外用薬・吸水作用のある外用薬など)をぬったガーゼで傷を保護する処置を行います。必要に応じて痛み止めの処方も可能です。
専門病院への受診が必要な場合
広範囲熱傷・顔面や特殊部位のやけど・化学熱傷など、より専門的な処置が必要と判断した場合は、適切な救急病院をご案内します。
「救急に行くべきか判断できない」という場合も、お気軽にご相談ください。
吉野雄一郎, 天野正宏, 尾本陽一ほか:日本皮膚科学会ガイドライン 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン―6:熱傷診療ガイドライン,日皮会誌,2017; 127: 2261―2292
