蕁麻疹の治し方はある?原因や控える食べ物について解説
投稿日: 2024年05月07日 | 更新日: 2024年09月26日
蕁麻疹(じんましん)は、皮膚の一部が突然赤く盛り上がり、しばらくすると跡形もなく消えてしまう皮膚の病気です。
イラクサ(蕁麻)の葉に触れると同様の皮膚症状が起こることからこの名前が付けられました。
今回は、蕁麻疹の種類や、原因、治し方などについて詳しく解説していきます。
目次
そもそも蕁麻疹とは?
蕁麻疹は、皮膚の表面に赤く盛り上がる発疹(紅斑)に加え、かゆみを伴う皮膚反応の一種です。
通常、アレルギー反応や免疫系の異常によって引き起こされますが、蕁麻疹の原因は様々です。
大抵の場合、痒みを伴いますが、チクチクとした痒みに似た感覚や焼けるような感覚もあります。
蕁麻疹の皮疹(ブツブツや赤み)は通常、数十分から数時間以内に消えることが一般的です。
しかし、一部では半日から1日程度継続することもあります。
症状が激しい場合、新しい皮疹が次々に出現し、常に皮疹が現れているような状態に見えることがあります。
一度出現した皮疹が何日も残り、茶色くなったり、表面がガサガサ、ポロポロするようなら、別の病気の可能性があります。
皮膚の盛り上がり(膨疹)の大きさは1~2mm程度から手足全体位のものまで様々です。
また、それぞれの膨疹が融合して体表のほとんどが覆われてしまうことがあります。
形状も様々で、円形、楕円形、花びら状、線状、地図状などと表現されます。
関連記事:アレルギー性蕁麻疹の症状が出た時の適切な対応方法とは?
蕁麻疹の種類
蕁麻疹の原因は様々で、症状の現れ方にも特徴的なものがあります。
これらの症状や原因は、必ずしも別々に起こるわけではなく、一つの蕁麻疹に複数の原因が関与したり、同じ人に複数のタイプの蕁麻疹が同時に現れることもあります。
したがって、蕁麻疹の分類は明確にされているわけではありませんが、原因や症状などの特徴や定義が比較的はっきりしているものがこれから説明する以下の7つです。
急性蕁麻疹
毎日のように繰り返し症状が現れる蕁麻疹のうち、発症から1ヶ月以内のものを言います。
細菌やウイルス感染などが原因であることが多いです。
慢性蕁麻疹
毎日のように繰り返し症状が現れる蕁麻疹のうち、発症から1ヶ月以上経過したものを言います。
原因が特定できないことが多いですが、アレルギー反応や自己免疫反応、ストレス、感染症などが関係しているとされています。
物理性蕁麻疹
機械的な擦過や圧迫、寒冷、温熱、日光、振動などの物理的刺激によって引き起こされるものを言います。
例えば、服の摩擦、ベルトの圧迫、冷たい水や氷に触れること、日光浴、乗り物の振動などです。
※擦過=擦りむくこと、擦り傷。
コリン性蕁麻疹
入浴や運動などで汗をかくと現れる蕁麻疹になります。
発汗により『アセチルコリン』という神経伝達物質の放出が増加することによって引き起こされると考えられています。
膨疹の大きさは1~4mm程度と小さく、主に小児から若い成人に多いです。
アレルギー性蕁麻疹
食品や薬剤、昆虫、花粉などに含まれる特定物質(アレルゲン)に反応して起こる蕁麻疹です。
アレルゲンに結合するIgEと呼ばれる血清蛋白が関係しています。
イントレランス
アスピリンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬や色素、造影剤、食品中のサリチル酸などにより起こる蕁麻疹です。
IgEは関係しません。
血管性浮腫
唇やまぶたなどが突然腫れ上がり、2〜3日かかって消える蕁麻疹で、痒みを伴いません。稀に遺伝性の場合もあります。
その他に、全身的な病気の部分症状として現れるものや、食物と運動が組み合わさった際に現れるものもあります。
蕁麻疹の症状
主な症状は以下の通りです。
- 発疹
- かゆみ
- 膨らみ
- 色素沈着
- 熱感
個々の皮疹は数十分から数時間で消えることが一般的です。
しかし、場合によっては半日から1日続くこともあります。
蕁麻疹は以下の体の柔らかいところに発症しやすい傾向があります。
- 腹部
- 太もも
- おしり
- 膝の裏
- 頬
- 首
上記の部位以外にも頭皮や足の裏、手の甲など全身に発症する可能性があります。
また、膨疹の大きさは様々で、別々の膨疹が融合して体が覆われることもあります。
関連記事:蕁麻疹(じんましん)によっておこる症状と対処法、原因について解説
蕁麻疹の原因
蕁麻疹の原因には、特定の刺激が原因となるものと、直接的な原因がはっきりわからないものがあります。
特定の刺激には、食物などのアレルギー反応として起こる場合や、圧迫などの物理的刺激、発汗などといったものがあります。
蕁麻疹の中で、原因を特定できるものは全体の1~3割程度で、その他は、はっきりとした原因がわからないことが多いです。
大人では、仕事やプライベートでのストレス、寝不足などが原因となります。
子どもでは、保育園や幼稚園、学校でのストレスや風邪などが原因です。
アレルギー反応やストレスのもの、さらには原因不明な場合のものについて、これから詳しく解説していきます。
アレルギー反応
アレルギー反応によって蕁麻疹が引き起こされる場合、身体の免疫システムが特定の物質(アレルゲン)に過剰に反応します。
これにより、血管が拡張し、皮膚に赤く腫れた発疹や蕁麻疹が現れることがあります。
主なアレルゲンは、食品(特に卵、牛乳、魚、エビなど)、薬物、昆虫刺咬、ペットの毛などです。
アレルギー反応は個人差があり、同じ物質に対しても人によって反応が異なることがあります。
ストレス
ストレスは、体内の免疫システムや皮膚のバリア機能に影響を与え、炎症やアレルギー反応を引き起こす可能性があります。
その結果、皮膚の炎症が増加し、蕁麻疹が発生することがあります。
また、ストレスが自己免疫反応を活性化させ、皮膚の状態を悪化させることがあるので、注意が必要です。
原因不明な場合
蕁麻疹の原因が特定できない場合、医学用語では「特発性蕁麻疹」と呼ばれます。
特発性蕁麻疹は、特定の刺激やアレルゲンによる反応ではなく、身体の免疫システムや皮膚の反応が原因である可能性があります。
特発性蕁麻疹の原因として考えられる要因には、ストレスや感情的な要因、自己免疫反応、神経系の異常などがありますが、そのメカニズムはまだ完全に理解されていません。
特発性蕁麻疹は、特に短期間のものであれば通常は自然に治癒しますが、慢性的な場合は医師の指導のもとで管理する必要があります。
蕁麻疹が出たときの対処法
蕁麻疹が現れると多くの場合は、強いかゆみを伴います。
このような場合には、入浴を避けて患部を冷やすと良いですが、寒冷刺激による蕁麻疹の場合は避けてください。
衣類などによる摩擦や圧迫の刺激を避け、ゆったりと安静に過ごしましょう。
蕁麻疹の治療の中心は抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服です。
腫れやかゆみが強くて我慢できない場合は、十分な強さのステロイド外用薬を選ぶことがおすすめされます。
早期にかゆみを抑えることで心理的なストレスも軽減され、かき壊しを防ぐことが可能です。
かき壊してしまった場合には、抗生物質が配合されたステロイド外用薬を用いて炎症と細菌の増殖を抑えます。
ただし、蕁麻疹が広範囲に広がっている場合は、医師の診療を受けることが必要です。
小さな子どもは、かゆみを我慢できないため、かき壊しを防ぐためにも早めの対策が重要となります。
蕁麻疹だけでなく、まぶたや唇の腫れ、呼吸困難などの症状が現れた場合は、危険な状態の恐れがあるので、すぐに医療機関を受診してください。
関連記事:蕁麻疹の対処法は?全身が痒くて夜寝られないときはどうする?
蕁麻疹の治し方
蕁麻疹の治療方法は、症状の原因や程度によって異なります。
一般的な治療法には以下のようなものがあります。
抗ヒスタミン薬の服用
かゆみや腫れを抑えるために抗ヒスタミン薬を内服します。
一般的な抗ヒスタミン剤には、セチリジン、ロラタジン、ジフェンヒドラミンなどがあります。
市販のものや処方されたものがありますが、医師の指示に従って適切なものを選びましょう。
ステロイド外用薬の使用
炎症やかゆみが強い場合には、医師が処方するステロイド外用剤を塗布します。
ただし、長期間の使用は副作用を引き起こす可能性があるため、医師の指示に従って使用してください。
クールパックや湿布の使用
蕁麻疹のかゆみや腫れを和らげるために、冷却パックや湿布を患部に当てることで楽になる方は一定数います。
湿布に含まれる成分で蕁麻疹が生じることもあるので注意が必要です。
かゆみを抑える薬
かゆみを抑えるために、カラミンローションというかゆみ止め(外用薬)を使用することがあります。
主成分として、メントールやフェノキシエタノール、メントールなどが含まれており、塗布することでかゆみを鎮める効果があります。
原因の特定と対処
先述した通り、蕁麻疹の原因の特定は難しいですが、特定できた場合は原因に合わせた対処法を行うことで蕁麻疹の症状を抑えたり、予防が可能です。
アレルギー反応が原因の場合、原因となる食品や薬品を避けることが重要です。
また、ストレスが原因の場合には、ストレス管理や、リラクゼーションなどを取り入れることが症状の緩和に役立つでしょう。
蕁麻疹のときに控えるべき食べ物とは?
蕁麻疹を引き起こさないため、原因となるうる食べ物を避ける事は大事です。
蕁麻疹の主な原因として挙げられる食品には、以下などがあります。
- 動物性タンパク質
- 油
- チョコレート
- 辛い食べ物
- アルコール
上記の食品は、蕁麻疹を引き起こす可能性が高いと考えられています。
常に制限する必要はありませんが、体調が悪い時や症状が出ている時には、避けるようにしましょう。
家来るドクター(往診)での対応方法
急に顔や体が赤く腫れると不安な気持ちになるかと思います。
また蕁麻疹ではなくアナフィラキシーの初期症状の可能性もあるため注意が必要です。
家来るドクターでは、夜間・休日に医師がご自宅へお伺いし、診察・検査・薬の処方を行います。
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などのお薬の処方、ステロイド外用薬の処方ももちろん行っております。
蕁麻疹かの判断は困難な場合もあり、少しでも体調に異変を感じたら、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、蕁麻疹の種類や、原因、治し方などについて解説しました。
蕁麻疹は、早期に治療を開始することが重要です。
放置しておくと、慢性蕁麻疹となり、治癒に時間がかかる可能性があります。
長引かせない、繰り返さないためにも、まずは、病院を受診しましょう。
参考文献
・蕁麻疹診療ガイドライン2018
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/urticaria_GL2018.pdf
・蕁麻疹ってどんな病気ですか?https://www.dermatol.or.jp/qa/qa9/q01.html
・蕁麻疹の種類について教えてください。https://www.dermatol.or.jp/qa/qa9/q11.html
・蕁麻疹 https://allergyportal.jp/knowledge/hives-angioedema/
・「蕁麻疹(じんましん)」ひどくなった時の対処法 https://hc.mt-pharma.co.jp/hifunokoto/solution/106