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腹痛に即効性のある薬を選ぶポイントや飲むタイミング、頻度を解説

投稿日: 2023年05月01日 | 更新日: 2024年08月06日

 

腹痛は誰しもが一度は経験があると思います。

 

胃や腸からくる痛み。

 

胆石や尿管結石による痛み。

 

女性の場合には生理痛や婦人科系の病気からくる痛み。

 

などと、腹痛はさまざまな原因で起こります

 

原因によってどのような痛み止めが効果的なのかはそれぞれです

 

今回は腹痛がある時の薬の適切な選び方や飲むタイミングや頻度について解説していきましょう。

 

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腹痛薬の種類

 

 

腹痛の薬の種類は大きくわけて、4つあります。

 

痛み止め(鎮痛薬)

いわゆる、痛みを取るための鎮痛薬です。

腹痛だけではなく、頭痛薬や関節痛などのお腹の痛み以外の痛み止めとしても使用されます。

鎮痛薬はほとんどが解熱作用もあるため、解熱鎮痛薬と呼ばれることもあります。

解熱鎮痛薬には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)そうでないものに大きく分けることができます。

NSAIDsには以下などがあります。

 

・イブプロフェン(ブルフェン®)

・アスピリン(バイアスピリン®)

・ロキソプロフェン(ロキソニン®)

 

NSAIDsではない解熱鎮痛薬にはアセトアミノフェン(カロナール®)があります。

NSAIDsは強い鎮痛効果、即効性が期待される薬です。

抗炎症作用があるため生理痛や月経困難症による腹痛にも効果が高い薬です。

 

ただし、NSAIDsは胃腸障害や長期の服薬で腎機能障害を起こす可能性があります

胃炎や胃潰瘍による腹痛や腎臓の病気がある場合には避けた方がよいでしょう

胃腸の心配がある場合などには、カロナールがおすすめです。

カロナールはNSAIDsと比較すると鎮痛作用はマイルドですが胃腸への負担が少ないです。

子供にも比較的安全にご使用いただけます

 

胃腸薬、胃粘膜保護薬

胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍胃酸過多や胃粘膜の異常によって起こります。

胃酸分泌を抑える薬剤は以下などがあります。

 

・プロトンポンプ阻害薬(オメプラール®など)

・ヒスタミンH2受容体阻害薬(ガスター®など)

・選択的ムスカリン受容体(ガストロゼピン®など)

・プロスタグランジン製剤(サイトテック®など)

 

また、胃粘膜保護薬である防御因子増強薬(アルサルミン®やムコスタ®など)も効果的です。

 

整腸剤

胃腸炎などで腸内細菌叢が乱れることで痛みが出ている場合には、整腸剤を使いましょう。

腸内細菌叢を整える薬剤としてはビオフェルミン®や、ミヤBM®などがあります。

 

抗コリン薬

自律神経のうち、アセチルコリン(*1)を抑えることで、消化管や胆管、尿管の運動亢進を押させる薬です。

代表的な抗コリン薬であるブスコパン®は、以下を緩和する作用があります。

 

・胆石症

・尿管結石症

・膀胱炎

・月経困難症による腹痛、痛み

 

抗コリン薬は過敏性腸症候群(*2)に対しても効果的な薬で、痛みを改善させることができます。

 

アセチルコリン(*1)=副交感神経を亢進させる作用のある神経伝達物質

過敏性腸症候群(*2)=腸管運動が異常に亢進してしまう病気

 

腹痛の時に市販薬でよく使われるのが正露丸®です。

 

正露丸は病院で処方できる医薬品では該当のものはありません

 

正露丸の主成分である木クレオソートは古くから胃腸の殺菌効果があります

 

胃腸炎による下痢や腹痛を改善させる効果があると言われ市販薬として浸透しています。

 

関連記事:食中毒かもしれない症状を解説!うつる可能性や対処方法は?

 

腹痛薬の効果と副作用

 

 

腹痛薬が効果があるかどうかは、なぜ腹痛が起こっているかにもよります。

 

胃潰瘍などの場合には胃酸抑制薬などが効果的ですし、胆石症、尿管結石症には抗コリン薬が効果的です。

 

また、生理痛などでは鎮痛薬が効果的です。

 

副作用としては以下になります。

 

痛み止め(鎮痛薬)

NSAIDsの副作用は、胃潰瘍、胃腸障害、腎機能障害を起こすことがあります

特に複数回薬を飲んだり、常用薬として使用したりする場合に起こりやすいです。

アセトアミノフェンは用量を守らず過量に服用すると肝障害を起こすことがあります

 

胃腸薬、胃粘膜保護薬

プロトンポンプ阻害薬の副作用は下痢、軟便、味覚異常などです。

ヒスタミンH2受容体阻害薬も消化器症状として便秘や吐き気が起こることがあります。

頻度は高くありませんが、眠気や口の乾きなどの症状がでることもあります。

選択的ムスカリン受容体は眼内圧上昇を起こす可能性があるため、緑内障の既往がある患者さんは使用できません

また排尿困難を起こすこともあるため、前立腺肥大症がある患者さんにも使用できません

 

プロスタグランジン製剤では出血傾向になることがあります。

不整脈などの治療のために抗凝固薬を飲んでいる患者さんには特に注意が必要です

 

整腸剤

ビオフェルミンや、ミヤBMなどの整腸剤は、薬に対する過敏症以外には大きな副作用はあまりありません

 

抗コリン薬

抗コリン薬は口の乾き、便秘、頻脈などが起こりやすくなります。

高齢の患者さんではせん妄のリスクとなるため、使用する際には注意が必要です

眼圧上昇や散瞳(さんどう)(*1)を起こす可能性もあるため、閉塞性緑内障の既往がある患者さんには使用できません

尿閉を起こす可能性もあるため、前立腺肥大症がある患者さんにも使用できません

 

散瞳(*1)=ひとみ(瞳孔)が大きくなった状態

 

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症状にあった腹痛薬の選び方

 

 

痛みの程度というよりも、痛みの原因によって合う腹痛薬を選ぶことが大切です。

 

痛みそのものを改善させるには、痛み止めが一番効果的です。

 

痛みとともに胃のもたれた感じがある場合には胃炎・胃潰瘍などからくる症状である可能性が高いです

 

胃炎・胃潰瘍などからくる痛みにはNSAIDSは使えません

 

胃の痛みがある場合にはアセトアミノフェンが良いでしょう。

 

胃酸分泌を抑えるガスター®などの胃腸薬も薬局などで手に入りますので、試してみても良いかもしれませんね。

 

整腸剤は腹痛と下痢などの消化器症状がある場合がおすすめです

 

整腸剤も薬局でお求めいただけます。

 

抗コリン薬は緑内障や前立腺肥大症がある方には使えないなどの注意点があります

 

市販薬としてブスコパン®などが薬局でも手に入りますが、すでに緑内障や前立腺肥大の指摘がある場合には自己判断で使うのは控えましょう

 

関連記事:【急な腹痛】虫垂炎が起こる原因や症状について|自然治癒するの?

 

腹痛薬が効かない時の原因と対処法

 

 

腹痛薬が効かない時の原因としては、腹痛の原因が正しく判断できていないことが考えられます

 

胃のけいれんによる痛みだと思っていたら、胃潰瘍だったなどの場合には正しい薬の処方が必要になります。

 

腹痛薬を使ってみて症状が改善しない場合や悪化傾向である場合には必ず病院で相談しましょう

 

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腹痛薬の正しい飲み方:タイミングや頻度について

 

 

腹痛薬の種類によってですが、ほとんどの製剤が、痛みがある時にその都度使っていただくものになります

 

食後に飲んだ方が良いと記載がありますが、痛みがあって食事などが取れない場合には食事とは関係なく服薬していただいてもよいでしょう

 

効果がないからといって用量用法に書いてある以上に飲んでしまうと、副作用がでる可能性があります

 

通常は4-6時間程度時間をあけて使用しましょう。 

 

関連記事:腹痛と頭痛が同時に起こる病気は?自律神経失調症の恐れあり

 

子供向けの腹痛薬は?

 

 

子供向けの腹痛薬としては、痛み止めはアセトアミノフェンが良いでしょう。

 

市販薬ですと小児用バファリンCII®や、ムヒのこども解熱鎮痛顆粒®などいくつか種類があります。

 

成分がアセトアミノフェンのものを選びましょう。

 

子供に使用する薬は、できれば余計な成分が入っていない方が安全です。

 

市販薬を使う際には薬局の薬剤師に相談すると良いでしょう

 

病院では、粉薬や錠剤以外にも、座薬を処方することができます。

 

痛みで飲むことができない場合などには重宝するでしょう。

 

整腸剤としては、市販のもので新ビオフェルミン®S細粒があり、生後3ヶ月から使うことができます

 

また、便秘による腹痛の場合では、便秘薬として酸化マグネシウムE便秘薬®があり、5歳以上から使うことができます

 

いずれも使用量が成人と異なりますので、使用する際には用量用法の説明書をよく読んで使いましょう

 

抗コリン薬は副作用が起こりやすいため、子供では市販薬として使われることはほぼありません

 

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腹痛薬の飲み過ぎによる危険?

 

 

腹痛薬のうち、鎮痛薬のアセトアミノフェンは比較的安全な薬で子供にも使用可能です。

 

しかし、効果がないからといって規定の量以上使ったり、決められた間隔をあけずに服薬すると過量服薬により以下を起こすリスクがあります

 

  • 肝障害
  • 腎臓や心筋の壊死

 

成人の場合には1日4,000mgを上限として設けています。

 

用量用法は守りましょう

 

関連記事:腹痛と下痢が続くのはどんな病気?脱水症状に注意しよう

 

家来るドクター(往診)ができること

 

腹痛が起こった時には、腹痛の原因に応じて薬を使い分けることがポイントです。

 

家来るドクターではお家で診察を受けて、症状にあった薬を受け取ることができます

 

市販薬で改善しない腹痛や市販薬の使い分けが難しい場合にも、薬のアドバイスを受けることも可能です。

 

ぜひお気軽にご相談ください。

 

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まとめ

 

今回は腹痛がある時の薬の適切な選び方や飲むタイミングや頻度について解説しました。

 

腹痛と一言でいってもさまざまな原因が考えられ、症状に合わせた薬選びが大切ですね。

 

どの薬を飲んでいいかわからないときは自己判断せず、医者や薬剤師に相談しましょう

 

参考文献

厚生労働省「市販の解熱鎮痛薬の選び方」

 

Minds ガイドラインライブラリ「EBMに基づく 胃潰瘍診療ガイドライン 一般用改訂版」

 

・Ataka K, Ito M, Shibata T「New views on antidiarrheal effect of wood creosote: is wood creosote really a gastrointestinal antiseptic?」Yakugaku Zasshi. 2005 Dec;125(12):937-50. Japanese. doi: 10.1248/yakushi.125.937. PMID: 16327239.

 

日経メディカル「処方薬事典」

 

PMDA「日本薬局方 アセトアミノフェン」

 

 

執筆者

救急科専門医 新井 久美子
横浜内科・在宅クリニック 院長 朝岡 龍博

経歴

  • 名古屋市立大学 卒業
  • 豊橋市民病院 初期研修医勤務
  • 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
  • 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
  • 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
  • 西春内科・在宅クリニック 副院長
  • 横浜内科・在宅クリニック 院長
  • >>詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

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