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血栓とは?原因・症状・予防法・できやすい人の特徴を紹介

投稿日: 2024年12月01日 | 更新日: 2024年12月02日

血栓

 

長時間のデスクワークやフライトで突然起こる可能性がある血栓

 

「エコノミークラス症候群」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。

 

実は誰にでも起こりうる身近な病気なんです。

 

今回は血栓について、原因から予防法まで詳しく解説していきます。

 

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血栓とは?

 

血栓

 

血栓とは、血管の中で血液が固まってしまう状態のことです。

 

傷口で血液が固まるのと同じ仕組みで、本来は体を守るための大切な働きです。

 

しかし、血管内で血液が固まってしまうと、血管が詰まって深刻な病気を引き起こす可能性があります。

 

関連記事:心筋梗塞の前兆や症状について|生活習慣病の方は必見!

 

血栓ができる原因

 

血栓

 

血液の性質の変化

 

血液には、出血を止めるために固まる性質と、傷が治った後にその固まりを溶かす性質があります。

 

しかし、以下のような状況では、血液が必要以上に固まりやすくなり、血栓ができやすいです。

 

  • 遺伝的要因による血液凝固の異常
    通常よりも凝固因子が多かったり、強く働きすぎることで血栓ができやすくなります。
  • 自己免疫疾患による血液の変化
    免疫が誤って血液成分を攻撃することにより血液の性質が変わります。
  • この影響で血が固まりやすくなり、血栓ができることがあります。
  • 体の炎症による血液成分の変化
    風邪やケガ、病気などで体が炎症を起こし血液中の細胞が変化。
    その結果、血液を固まりやすくする原因となり血栓ができやすくなります。
  • ピルなどの特定の薬物使用
    ピルは血液の性質を変えることがあります。
    これにより、血液が固まりやすくなり血栓リスクが高まります。

 

血管壁の状態の変化

 

血管の内側は通常、とても滑らかな状態を保っています。

 

しかし、以下のような原因で血管壁が傷ついたり、硬くなったりすることがあります。

 

  • 動脈硬化(血管が年齢とともに硬くなる)
  • 外傷や手術による血管への直接的な傷
  • 糖尿病による血管へのダメージ
  • 感染症による血管の炎症
  • 高血圧による血管への負担
  • 喫煙による血管へのダメージ

 

こういった状態になると、血栓ができやすくなります。

 

血流の異常

 

血液の流れが悪くなると、血栓ができやすくなります。

 

以下のような原因で血流が悪化します。

 

  • 長時間の同じ姿勢(デスクワーク、長時間フライトなど)
  • 寝たきり状態
  • 心不全
  • 妊娠中の血流変化
  • 肥満による血流障害

 

長時間同じ姿勢になってしまう場合に特に気を付けたいのが「エコノミークラス症候群」です。

 

エコノミークラス症候群では、脚のむくみや胸や背中の痛みなどの症状があり、呼吸困難や動悸を引き起こします。

 

飛行機だけでなく、電車や車での長時間移動や、デスクワーク、長時間の会議などの長時間同じ姿勢で過ごす場合に起こるため注意しましょう。

 

予防には、定期的な足の運動、十分な水分補給、着圧ソックスの使用が効果的です。

 

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血栓の症状

 

血栓

 

血栓ができた時点では自覚症状はほとんどありません。

 

しかし、血栓が血管を詰まらせることで、様々な重大な症状が引き起こされます。

 

以下に紹介する症状に共通する特徴は、突然現れることです。

 

もし急な症状を感じたら、すぐに救急車を呼んでください。

 

適切な治療が遅れると、後遺症が残ったり、命を落としたりする危険があります。

 

脳梗塞

 

脳梗塞は、脳の血管が血栓で詰まることで起こる病気です。

 

脳の細胞に酸素や栄養が届かなくなることで、脳の機能が失われていく深刻な状態です。

 

以下のような症状が突然現れます。

 

  • どちらか片方の手や足にマヒが起こる
  • 顔の右か左どちらか片方の脱力により瞼が閉じられなくなる
  • 口角が下がり口に含んだ水などがこぼれたりする
  • ろれつが回らなくなる

 

心筋梗塞

 

心筋梗塞は、心臓の血管が血栓で詰まってしまう病気です。

 

心臓の筋肉(心筋)に血液が届かなくなることで、心臓の機能が低下していく危険な状態です。

 

初期症状は以下の通りです。

 

  • 胸の中央が締め付けられるような激しい痛み
  • 冷や汗を伴う強い痛み
  • 左腕や背中への痛みの広がり
  • 息苦しさや強い疲労感

 

肺塞栓症

 

肺塞栓症は、体のどこかで形成された血栓が血流に乗って肺に到達し、肺の血管を塞いでいる状態です。

 

多くの場合、足の深部静脈にできた血栓が原因となります。

 

以下の症状が現れます。

 

  • 突然の息苦しさ
  • 呼吸困難
  • 意識喪失
  • 心臓停止

 

深部静脈血栓症

 

深部静脈血栓症は、主に脚の深い部分の静脈に血栓ができる病気です。

 

長時間同じ姿勢でいることなどが原因で、血液の流れが悪くなり血栓が形成される状態です。

 

以下の初期症状が現れます。

 

  • 片方の脚だけが急に腫れる
  • 腫れた部分の熱感
  • 脚の痛みや重だるさ
  • 皮膚の色が普段と違って見える

 

関連記事:動脈硬化が引き起こすリスクとは|自覚症状はある?

 

血栓ができやすい人の特徴とは?

 

血栓

 

血栓は誰にでもできる可能性があります。

 

ですが、以下のような特徴がある方は、血栓ができるリスクが高い為、注意が必要です。

 

高齢者

 

加齢とともに血管の弾力性が低下し、血液も固まりやすくなります。

 

また、基礎疾患を持っている方も多いため、血栓ができるリスクが高いです。

 

特に65歳以上の方は、若い世代と比べて血栓のリスクが2~3倍高くなるとされています。

 

血栓症家族歴を持つ人

 

血液が固まりやすい体質は遺伝することがあります。

 

家族に血栓症の既往歴がある場合は、特に注意が必要です。

 

定期的な健康診断で血液検査を受けることをおすすめします。

 

循環器系の持病を持っている人

 

心臓病や不整脈、高血圧などの循環器系の病気がある方は、血栓ができるリスクが高いです。

 

特に不整脈の一種である心房細動がある方は、血栓ができるリスクが通常の5倍以上になると言われています。

 

 生活習慣病を持っている人

 

糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病は、血管を傷つけ、血栓ができやすい環境を作ります。

 

特に複数の生活習慣病を併せ持つ場合は、リスクがさらに高くなることが分かっています。

 

糖尿病になると、ふくらはぎや太ももの血管に血栓ができる静脈血栓塞栓症になる確率が1.4倍高いです。

 

がん治療を受けている人

 

がんそのものや抗がん剤治療の影響で、血液が固まりやすくなることがあります。

 

特に、治療中や治療後の一定期間は注意が必要です。

 

がんの種類や治療法によっては、血栓のリスクが通常の4~6倍に上昇することもあります。

 

喫煙者

 

喫煙をされている方は特に血栓症のリスクが高まります。

 

  • 悪玉コレステロールの増加
    増えたコレステロールは血管の壁に固まりとなって付着し、血管を狭くしていきます。
  • 一酸化炭素による損傷
    タバコの煙に含まれる一酸化炭素が血管の内側を直接傷つけます。
  • ニコチンによる血管への悪影響
    血圧が上がり、血管が縮むことで傷つきやすくなります。

 

禁煙することで血栓のリスクは徐々に低下するので、禁煙外来の利用も検討してみましょう。

 

ピルを服用している人

 

経口避妊薬(ピル)に含まれるホルモンの影響で、血液が固まりやすくなることがあります。

 

ピル単独での血栓リスクは低いものの、生活習慣病や喫煙が重なると、血栓ができる危険性が大きく高まります。

 

35歳以上の喫煙者がピルを服用する場合、血栓症のリスクは通常の10倍以上になるので、注意が必要です。

 

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血栓を予防する方法はある?

 

血栓

 

適度な運動

 

適度な運動は血液の流れを良くし、体内の老廃物を排出する効果があり、血栓を予防します。

 

まずは息切れせずに会話できる程度の、軽い運動から始めましょう。

 

運動の具体例として以下などが挙げられます。

 

  • 1日30分程度の有酸素運動(ウォーキング、水泳、自転車など)
  • デスクワーク中の足首の運動(1時間に1回程度)
  • 階段の使用(エレベーターやエスカレーターを控えめに)

 

しかし血栓ができている状態で運動すると、逆に血栓を運んでしまう危険性があります。

 

心配な場合は、先に医師に相談をしてから運動を行いましょう。

 

十分な水分補給

 

血液をサラサラに保つために、適切な水分補給は欠かせません。

 

1日1.5〜2リットルを目安に、こまめに水分を取りましょう。

 

特に起床直後、運動の前後、入浴の前後は意識的に水分を補給することが大切です。

 

ただし、アルコールやカフェインの取りすぎは逆効果となる可能性があるため、注意が必要です。

 

バランスの良い食生活

 

毎日の食生活の乱れは、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を引き起こす大きな原因です。

 

以下のポイントを意識して、健康的な食生活を心がけましょう。

 

  • 夜10時以降の食事は避ける(体内で脂肪として蓄積されやすいため)
  • 夕食は就寝3時間前までに済ませる
  • 食事は野菜から食べ始める(脂肪や糖分の急激な吸収を抑制)
  • 一口30回を目安によく噛んで食べる

 

また、以下の食材を積極取り入れて、血液をサラサラにしましょう。

 

  • 納豆
  • 玉ねぎ
  • 人参
  • かぼちゃ
  • 鮭や鯖
  • 海藻類
  • キノコ類
  • オリーブオイル、えごま油、亜麻仁油

 

ただし、「これさえ食べていれば大丈夫」という考え方は禁物です。

 

バランスの取れた食生活を心がけましょう。

 

禁煙

 

前述した通り、喫煙は血管に悪影響を与え、血栓のリスクを大幅に高めます。

 

ニコチンや一酸化炭素が血管を傷つけ、血液の流れを悪くしてしまいます。

 

禁煙外来や禁煙補助剤を利用するなど、専門家のサポートを受けながら進めましょう。

 

適正体重の維持

 

適正体重を保つことは、生活習慣病のリスクを下げ、血栓予防に効果的です。

 

適正体重は、BMI(体格指数)で判断することができます。

 

BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算し、18.5~24.9が標準とされています。

 

例えば、身長160cmの人の適正体重は、47~64kg程度です。

 

ただし、これはあくまで一般的な目安です。

 

年齢や体格、運動量によっても変わってきますので、より詳しく知りたい方は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。

 

着圧ソックスの使用

 

着圧ソックスは、足首からふくらはぎにかけて段階的に圧力をかけることで、血液の循環を促進する効果があります。

 

特にデスクワークの多い方や、長時間の移動がある方におすすめです。

 

ただし、就寝時の着用は逆効果となる可能性があるため避けましょう。

 

血液の循環が悪くなり、かえって血栓のリスクが高まる可能性があります。

 

関連記事:脳梗塞後遺症について知りたい|どんな症状やリハビリがある?

 

血栓の治療法は?

 

 

血栓の治療は、その場所や大きさ、患者さんの状態によって異なります。

 

医師が総合的に判断して、以下から最適な治療法を選択します。

 

  • 薬物療法
    血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)や、すでにできた血栓を溶かす薬(血栓溶解薬)を使用
  • カテーテル治療
    細い管を血管に通して血栓を直接除去
  • 手術療法
    血栓が大きい場合や緊急性が高い場合に実施

 

ただし、血栓は再発のリスクがあるため、治療後も継続的な予防と定期的な検査が重要です。

 

日常生活での予防を心がけながら、医師の指示に従って治療を進めていくことが大切です。

 

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家来るドクターでできる治療

 

家来るドクターの往診やオンライン診療では、緊急性の判断や医療相談を行っています。

 

血栓症かどうか分からない、別の病気かもしれない、病院を受診したほうが良いかなど、そういった心配なこともあると思います。

 

診察した際に、考えられる病気や今後の方針についてのご提案することも可能です。

 

オンライン診療であればご自宅で診察を受けることができます。

 

受診方法がわからない方はお気軽にご相談ください。

 

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まとめ

 

血栓は誰にでも起こりうる身近な健康リスクですが、適切な予防で防ぐことができます。

 

日常生活での運動習慣、水分補給、バランスの良い食事を心がけましょう。

 

もし突然の息切れや手足の麻痺、激しい胸の痛みなどの症状が出たら、すぐに病院を受診してください。

 

できることから少しずつ始めて、健康的な生活習慣を築いていきましょう。

 

 

参考文献

血栓症の原因や治療方法について解説|渋谷・大手町・みなとみらいで血栓症のことならMYメディカルクリニック

「血栓症」を発症すると現れる初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修! | メディカルドック

血栓症ってどんな病気? 症状、検査、治療、予防方法などについても解説!|スマートドック | 健康コラム

血栓症ってどんな病気?種類別の原因、治療法について医師が解説します。

執筆者

西春内科・在宅クリニック 院長 島原 立樹

経歴

  • 名古屋市立大学 医学部 医学科 卒業
  • 三重県立志摩病院
  • 総合病院水戸協同病院 総合診療科
  • 公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科
  • 西春内科・在宅クリニック 院長(https://nishiharu-clinic.com/doctor/

資格

  • 日本専門医機構認定 内科専門医

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