爪の病気にはどんな種類が?診療科目や受診のタイミングを解説
投稿日: 2024年12月25日 | 更新日: 2024年12月26日
爪の病気は誰にでも起こりうる身近な健康問題です。
早期発見・早期治療が大切ですが、どんなタイミングで受診するべきか迷うことも多いでしょう。
今回は、爪の病気の種類や原因、受診するタイミングについてご紹介していきます。
目次
爪の病気の原因は?
細菌感染の発生
爪の病気で最も多いのが細菌の感染症です。
爪周りの皮膚が傷ついたり、湿気が多い環境に長時間さらされたりすることで、細菌やカビが繁殖しやすくなります。
特に素手で掃除をしたり、長時間ゴム手袋を使用したりする方は注意が必要です。
主な病気としては、白癬菌というカビの一種が原因で起こる爪白癬です。
切りすぎ
爪を短く切りすぎる、いわゆる深爪は、思わぬトラブルのもとになります。
爪の端が皮膚の中に食い込んだり、外部からの刺激に弱くなったりする原因になるので、適度な長さを保つことが大切です。
深爪は感染症を引き起こしやすいだけではなく、以下のようなデメリットがあります。
- 指先に力を入れにくくなり物が持ちづらく
- 爪の正常な成長を妨げる
- 巻き爪や二枚爪など形に異常が起こりやすくなる
爪の圧迫
爪を長時間圧迫すると血流が悪化し、爪の変形や痛みが現れます。
特につま先の窮屈な靴は要注意で、巻き爪や爪囲炎などの病気を引き起こしやすくなります。
立ち仕事で長時間同じ場所に体重がかかり続けることも、爪への悪影響につながるため、適度な休憩を取ることが大切です。
関連記事:乾燥による肌荒れはどうして起きるの?原因や治す方法をご紹介
爪の病気の種類
爪の病気には様々な種類があり、原因や症状も異なります。
早期発見のためにも、代表的な症状を知っておくことが大切です。
爪白癬
水虫の原因となる白癬菌(はくせんきん)が爪に感染する病気です。
別名爪水虫とも言い、足の爪、特に親指の爪によく見られます。
以下などが症状が特徴です。
- 爪が白く濁る
- 厚くなる
- 脆くなる
痛みや痒みはほとんどありませんが、放っておくと爪が変形して歩く際に痛みが出ることもあります。
治療せずに放置すると他の爪や皮膚にも広がり、家族にまで感染する可能性があるため注意が必要です。
二枚爪
二枚爪とは、爪の表面が層状に分離し、剥がれやすくなっている状態です。
爪は3層構造で、いずれかの層が剥がれることで二枚爪が起こります。
原因としては、次のようなことが挙げられます。
- 水仕事を毎日行う
- 除光液の使いすぎなどで乾燥状態になる
- タンパク質などの栄養不足
- 外部からの衝撃
これらの刺激を頻繁に受けると、爪が弱くなり割れやすくなります。
グリーンネイル
グリーンネイルとは、緑膿菌(りょくのうきん)という細菌の感染により、爪が緑や黒っぽい色に変色する状態です。
グリーンネイルの主な症状は次の通りです。
- 爪が緑色に変色する
- 爪が厚くなる
- 爪が皮膚から浮く
- もろく割れやすくなる
- 重度の場合、爪の周囲に痛みや炎症を引き起こす
この菌は台所や銭湯などの水回りによく存在します。
爪に傷がある人や水仕事が多い人、付け爪で湿気がたまりやすい状態の人は注意が必要です。
また、ジェルネイルやネイルチップをしている人もグリーンネイルになりやすいため注意しましょう。
爪囲炎
爪囲炎(そういえん)とは、爪の周りの皮膚が赤く腫れて痛みを伴う炎症のことです。
爪囲炎の主に以下の症状が現れます。
- 赤み
- 腫れ
- 痛み
- 膿がたまる
- 変形
- 変色
爪の切り方が悪かったり、爪を深く切りすぎたりすることで起こりやすくなります。
放置すると化膿する可能性もあるため、早めの治療が必要です。
巻き爪
巻き爪は、爪の両端が内側に巻き込んで皮膚に食い込む状態です。
主に足の親指に起こり、痛みで歩くのがつらいこともあります。
放っておくと、爪が刺さった部分が赤く腫れたり、化膿したりする恐れがあるので注意が必要です。
窮屈な靴による圧迫や、爪の切り方が原因で起こることが多くあります。
症状が軽いうちなら、正しい爪切りとテーピングで改善できますが、重症化すると医師による処置が必要になります。
ばち状指
ばち状指は、指先が太鼓のばちのように膨らみ、爪が時計皿のように丸くなった状態です。
一見すると爪だけの問題に思えますが、実は体の重要な臓器からのサインかもしれません。
特に肺や心臓に何らかの病気がある場合に現れやすい症状です。
このような爪の変化に気づいたら、早めに医師に相談することをおすすめします。
病気のサインとして爪が変化することがある
爪の変化は、単なる爪のトラブルだけでなく、体の異変を知らせるサインになることがあります。
定期的に爪の状態をチェックする習慣をつけましょう。
以下では、爪の色や形の変化について解説をしていきます。
色の変化
爪の色は血流や酸素供給、感染状況などの影響を受けるので、健康状態を反映する指標の一つとなります。
- 青白くなる
血中の酸素不足、呼吸器や心臓の問題 - 黄色くなる
呼吸器系の疾患、リンパの循環不良、感染症 - 白くなる
貧血、肝臓か腎臓の病気 - 赤くなる
腎臓の病気、多血症 - 黒くなる
打撲による内出血、メラノーマ(皮膚がんの一種)の可能性
爪が黒く変色した場合、打撲以外にメラノーマの可能性もあるため、医師の診断を受けることが重要です。
形の変化
爪の形が変化する原因には、外的な圧迫や栄養状態の悪化、全身の病気などがあります。
以下のような形状変化が見られたときは、生活習慣の見直しや医師への相談が必要かもしれません。
- 横線(ボー線)
強いストレスや栄養状態の悪化で出現することがあります - 縦線
加齢や栄養不足、また皮膚の病気でも見られます - スプーン状
貧血や鉄分不足が原因のことがあります - 波打ち状
皮膚の病気や関節炎が隠れている可能性があります - 肥厚(厚み増加)
感染症や循環障害が原因のことがあります
特に、これまでになかった変化が突然現れた場合は、できるだけ早く医師に相談することをおすすめします。
このような変化に気づいたら、早めに医師に相談しましょう。
爪の病気は何科を受診?タイミングは?
爪の病気の種類によって、受診する診療科が異なります。
基本的には皮膚科を受診するのがよいでしょう。
ただし、症状に応じて適切な診療科を選ぶ必要があります。
- 形成外科
巻き爪やひどい爪周りの炎症 - 整形外科
関節の症状を伴う - 内科
全身の病気が疑われる場合
そして、受診のタイミングとしては、以下のような症状が出たときが目安です。
- 痛みを伴う
- 炎症がある
- 変形が進行している
- 日常生活に支障が出ている
特に糖尿病の方は、小さな傷も重症化する可能性があるため、早めの受診が大切です。
爪の病気の対処法
原因に応じた対処法をとることで改善が期待できます。以下が代表的な対処法です。
原因の病気を治療
爪の変化が体の別の病気のサインである場合は、まずその原因となる病気の治療が優先されます。
例えば、爪の形が変化するばち状指は、肺や心臓の病気が隠れていることがあるので注意が必要です。
そのため、爪の症状だけを治そうとせず、体全体の健康状態にも目を向けましょう。
医師による適切な診断を受け、原因に合った治療を行うことが、確実な回復への近道です。
丈夫な爪を育てる
爪の主成分はケラチンというタンパク質で、この成分を作るために様々な栄養素が必要です。
丈夫な爪を育てるには、以下の栄養素をバランスよく摂取することが大切です。
- タンパク質
肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品 - 鉄分
レバー、赤身肉、ほうれん草、小松菜 - 亜鉛
牡蠣、レバー、ナッツ類、種子類 - ビタミンA
人参、かぼちゃ、ほうれん草、レバー - ビタミンB群
豚肉、鶏肉、玄米、納豆 - ビタミンC
柑橘類、キウイ、いちご、ブロッコリー - カルシウム
乳製品、小魚、海藻類、豆類 - マグネシウム
ナッツ類、バナナ、アボカド、緑の葉物野菜
これらの栄養素が不足すると、ケラチンの生成が滞り、爪が弱くなって割れやすくなったりします。
まずは毎日の食事でバランスの良い栄養摂取を心がけましょう。
どうしても食事だけでは難しい場合は、医師や薬剤師に相談の上、サプリメントの活用も検討できます。
爪を保湿する
爪が割れたり、二枚に剥がれたりする主な原因は乾燥です。
特に冬場や水仕事が多い時期は、爪が乾燥しやすくなります。
正しい保湿ケアで爪の健康を保ちましょう。
- お風呂上がり
肌が柔らかいうちにハンドクリームを塗る - 就寝前
オイルやクリームで念入りにケア - 水仕事の前
ゴム手袋を着用して水から保護 - 掃除や洗い物時
手袋で洗剤から爪を守る
保湿ケアを習慣にすることで、爪の乾燥を防ぎ、健康的な爪を保つことができます。
爪の切り方に注意
爪は深く切りすぎず、適度な長さを保つことが大切です。
正しい爪の切り方として、次の点に注意しましょう。
- まっすぐに切る
爪の端を丸くしすぎると、巻き爪の原因に - 深く切りすぎない
白い部分を1~2ミリ残すのが目安 - 清潔な道具を使う
爪切りは使用前後に消毒する - 適切なタイミング
お風呂上がりなど、爪が柔らかい時に
爪切り選びも大切です。
足の爪には大きめの直線刃、手の爪には小さめの湾曲刃がおすすめです。
清潔に保ち、刃が鈍くなったら新しいものに交換しましょう。
関連記事:乳児湿疹の原因や治し方について|病院に行く目安は?
家来るドクターでできること
家来るドクターは往診の他にも、オンライン診療を行っており、気軽に医師の診察が受けられます。
オンライン診療では、自宅にいながら医師の診察た受けられるため、病院への移動時間や待ち時間に縛られません。
お仕事や育児で忙しい方、通院が困難な方でも、ご自身の生活リズムに合わせて適切な診察を受けることができます。
爪の症状でお困りの際は、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
爪の病気は日常生活での不注意や環境要因で起こることが多く、誰にでも起こりうる身近な健康問題です。
また、爪の変化は体の異変のサインであることも多いため、定期的なチェックが大切です。
爪のトラブルを予防するには、適切な爪切り、保湿ケア、そして栄養バランスの良い食事を心がけることが基本となります。
気になる症状があれば、自己判断せず、早めに専門医を受診することをおすすめします。
特に痛みや炎症を伴う場合は、できるだけ早く受診しましょう。
参考文献
爪の病気の概要 – 17. 皮膚の病気 – MSDマニュアル家庭版
なぜ深爪になるのか?原因を知って深爪を改善しよう! | 爪専門店NAILCLINIQUE |東京.福岡.名古屋.岡山
巻き爪はどうして起こる?|巻き爪・陥入爪専門メディア 巻き爪を知る・治す・予防する|製薬会社のマルホ
執筆者
経歴
- 名古屋市立大学 医学部 医学科 卒業
- 三重県立志摩病院
- 総合病院水戸協同病院 総合診療科
- 公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科
- 西春内科・在宅クリニック 院長(https://nishiharu-clinic.com/doctor/)
資格
- 日本専門医機構認定 内科専門医