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おたふく風邪の初期症状は?原因や感染経路、合併症について解説|家来るドクター

おたふくかぜ

 

おたふく風邪は、ムンプスウイルスに感染することで引き起こされる病気です。

 

耳の下に位置する耳下腺部位に炎症が起こり、同部位が腫れる所見を呈することが知られています。

 

今回は、おたふく風邪についての具体的な症状や治療法、あるいは特に成人男性が罹患した際に不妊症にかかる可能性などについて解説していきます。

 

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おたふく風邪とは

 

おたふく

 

おたふく風邪は、別名で「流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)」とも呼ばれることがあります。

 

流行性耳下腺炎に罹患すると、耳の下に位置する耳下腺部位に炎症が起こるために、同部位が腫れる所見を呈することが知られています。

 

特に左右両側が腫脹した際には、「おたふくさん」のように外見上特徴的に認められることから「おたふく風邪」と呼称されるようになりました。

 

おたふく風邪の原因

 

おたふく風邪を引き起こすウイルスは、「ムンプスウイルス」です。

 

ムンプスウイルスはパラミクソウイルス科のウイルスで、大きさは100~600nmです。

 

表面にエンベロープを認める1本鎖RNAウイルスであることが知られています。

 

主に6つの構造タンパクを有しており、エンベロープにはふたつの糖タンパク成分が存在していると言われています。

 

おたふくかぜ3

 

おたふく風邪は、本邦でも毎年のように地域レベルでの流行が認められています。

 

上図のように、1989 年までは3~4年周期でその罹患率の増減がありました。

 

しかし、同年のMMRワクチンの導入によって1991年には、*1サーベイランスが始まって以来の低い流行状況となった経緯があります1)。

 

*1 サーベイランスとは…ウィルスなどの発生状況を注意深く監視すること

 

その後のおたふく風邪は、緩やかに発症者数が増加しています。

 

1993年にMMRワクチンが中止されたことで、1994年以降から現在にかけて再び3~4年周期で罹患者数の増減傾向が示されるようになりました。

 

おたふく風邪は、年齢とともにその罹患率は増加する傾向があり、4歳時点が最も多いと言われています。

 

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おたふく風邪の感染経路

 

おたふくかぜ4

 

おたふく風邪を引き起こすムンプスウイルスの主な感染経路は、飛沫感染接触感染です。

 

基本的には、感染者の唾液中にウイルスが大量に存在して排出されており、咳や唾液などが感染源となることが知られています。

 

飛沫感染においては、感染者の咳やくしゃみ、会話などを通じてウイルスを含有した飛沫成分が周囲に飛散して、感染者の周りにいる人々が鼻や口から吸い込んで感染が成立します。

 

飛散したウイルスが眼球粘膜から体内に侵入して感染が成立することも経験されます。

 

接触感染は、感染者とキスをする、あるいはムンプスウイルスが付着している手やドアノブなどに接触した手で、口や鼻を触れることでも感染すると指摘されています。

 

ムンプスウイルスは耳下腺以外の唾液腺、もしくは膵臓や性腺(精巣や卵巣)などを始めとして消化液や精液など液体成分を生成する腺組織に好発して感染します。

 

それ以外にも、ムンプスウイルスは脳やせき髄など中枢神経系に感染しやすいことも知られています。

 

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おたふく風邪の症状

 

 

おたふくかぜ5

 

ムンプスウイルスに飛沫感染や接触感染によって感染した場合には、数週間前後の潜伏期間を経過しておたふく風邪の症状が出現すると言われています。

 

 おたふく風邪の初期症状

おたふくかぜ6

 

おたふく風邪における初期症状は、耳下腺周囲に炎症を呈することから発熱症状を認めます。

 

そして耳の下の部分が急激に*1腫脹して同部に*2疼痛症状を伴うこともあります。

 

*1腫脹とは:炎症などが原因で、体の組織や器官の一部に血液成分が溜まって腫れあがること

 *2疼痛症状:からだに危険を伝える痛み

 

おたふく風邪を発症した場合には、耳下腺の片側から腫れることが多いです。

 

1~2日ほどの期間を経て反対側の耳下腺も腫れて左右両側が腫脹することが一般的です。

 

しかし、時に左右どちらかの片側のみしか腫脹所見を認めないケースもあります。

 

また、唾液を作成する腺組織に炎症が引き起こされるため食事を摂取する際に唾液分泌が亢進することに伴って、耳の下や顎の下が特に痛くなるという特徴的な症状が認められます。

 

通常は、感染後数週間の潜伏期を経て、唾液腺の腫脹や圧痛、嚥下痛、発熱症状などを主として発症し、約1~2週間で症状が軽快していくと考えられています。

 

ムンプスウイルスの感染力が強い期間としては、発症数日前から発症後5日までと言われています。

 

しかし、顕著な症状が必ずしも現れるわけではなく、約3割の症例はムンプスウイルスに感染しても有意な症状が出現しない「不顕性感染」の形態を示す場合があります。

 

この不顕性感染の場合にも、周囲に感染させる恐れがあるため一定の注意が必要となります。

 

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合併症によって後遺症の危険性も?

 

おたふくかぜ7

 

おたふく風邪にはさまざまな合併症を伴うことがあります。

 

ムンプスウイルスによるおたふく風邪は、通常であれば重大な合併症を起こすこともなく自然に治癒することが一般的です。

 

しかし、稀に頭痛や嘔気を伴う髄膜炎(ずいまくえん)という合併症を引き起こす頻度は高いと指摘されています。

 

髄膜炎などを合併する場合は、耳の腫れが治まるなどおたふく風邪が治癒したと考えられる時期にも認められることがあります。

 

そのため、おたふく風邪に感染して数週間程度は、合併症の発症有無にも一定の注意を払うことが重要なポイントとなります。

 

また、おたふく風邪は後遺症として時に難聴を引き起こすことが懸念されており、難聴症状は片側性が多いと言われていますが、左右両側に生じた場合にはなかなか完治せず、長期間聴力障害を抱えることになります。

 

万が一、両側の耳の聴力が障害されて聞こえなくなると、言語を習得していない段階の子どもでは、周囲の人々の声を聞くことができないために言語発達に悪影響を及ぼします。

 

部分的な聴力の障害であっても日常生活に少なからず支障をきたすことが想定されます。

 

このように、おたふく風邪に合併する難聴症状は、ムンプス難聴と呼ばれています。

 

いまだに毎年のように多くの子どもや成人の感染者が聴力を失っている現状があり、決して見過ごすことが出来ない合併症のひとつであると認識されています。

 

ムンプス難聴を合併した際には、通常聴力は完全に回復する可能性は乏しいです。

 

症状がひどい場合には補聴器や人工内耳などの専門医療装置が必要になります。

 

そして、おたふく風邪になる機会が多い子どもに、ムンプス難聴を合併する頻度が多いとされています。

 

その子育て世代の大人がおたふく風邪に罹患したことがないケースでは、子どもから大人に感染して難聴になることがあるため、子どもも大人も感染予防策を講じることが重要です。

 

おたふく風邪に成人男性がかかった際の不妊について

 

おたふくかぜ8

 

おたふく風邪は、保育園など集団生活を開始したばかりの子どもなどに多く認められる疾患です。

 

おおむね6歳までの小児が発症例の約半数程度を占めると言われています。

 

一生涯に一度、ムンプスウイルスに感染することで生涯免疫が獲得されます。

 

しかし、時に成人になって初めておたふく風邪に罹患する場合もあります。

 

特に、成人期に感染したおたふく風邪の場合には、精巣や卵巣など性腺組織に炎症を生じることが知られています。

 

その場合、発熱症状のみならず、腹痛や陰嚢部の腫れ、同部の痛み症状を伴います。

 

炎症が及ぶ範囲は片方の性腺だけのことが多いとされています。

 

しかし、稀に両側性に炎症が起こされることもあり、その場合には性腺組織が萎縮して不妊の直接的な原因になることが考えられます。

 

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おたふく風邪の家庭でできる治療方法

 

ムンプスウイルスによるおたふく風邪の治療に際しては、基本的には対症療法を行うことが主流となります。

 

一般的に、家庭で安静を保持して発熱症状や耳下腺部の疼痛症状などに対しては解熱鎮痛剤の服用を行いましょう。

 

また、脱水にならないように自宅で水分摂取を励行することが重要となります。

 

なお、溶連菌感染症と異なっておたふく風邪を発症した場合は、学校保健安全法で定められた期間において学校への登校、あるいは保育園への登園を控えることが推奨されています。

 

基本的には、耳下腺、顎下腺、舌下腺の膨張が発現してから5日間経過したうえで、全身状態が改善して良好な状態になっていることが登園登校の条件となります。

 

おたふく風邪に罹患した場合には、耳下腺や唾液腺が腫れてから5日間が経過して、全身状態が軽快するまでは自宅で安静にして様子観察しましょう。

 

症状が悪化傾向を示す場合、あるいは登校登園など判断に困る場合には、最寄りに存在するクリニックや診療所の医師などに相談して、指示に従うようにしましょう。

 

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病院や家来るドクターでできる治療

 

おたふく風邪の診断は、主に臨床的な所見から実施されますが、おたふく風邪以外にも耳下腺部位が腫脹する疾患は存在します。

 

そのため、確実な判断ができない際や合併症などを呈して確定的な診断を付けることが必要な場合には、病院などでムンプスウイルス感染を証明する検査を行うことも可能です。

 

医療機関でウイルス感染を確認するためには、血液検査でウイルス抗体を測定する方法が選択されます。

 

時にウイルス分離やウイルス遺伝子を増幅させて同定する特殊な検査が実践されることも経験されます。

 

おたふく風邪の治療は、自宅での対症療法が主体であり、発熱や耳下腺部の痛みに対してアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を用いることが多いです。

 

しかし、ひどい症状を認めて水分摂取が十分に確保できない場合などには、クリニックや病院で点滴を投与することも考えられます。

 

万が一、難聴が合併症として認められるケースでは、聴覚障害の重症度に応じて補聴器や人工内耳を使用することを検討します。

 

まずは、お気軽に家来るドクターへご相談ください。

 

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おたふく風邪のワクチンについて

 

現代においても、ムンプスウイルスに対する有効的な薬剤は存在しません。

 

従って、おたふく風邪を予防する為にワクチンによる予防接種がとても重要な観点となります。

 

ムンプスウイルスにおけるワクチン接種の予防効果は高く、合併症の発生率も有意に低下させます。

 

そこで、多くの先進国ではムンプスワクチンの定期接種が今でも積極的に実施されています。

 

わが国では、1989年から麻疹・風疹・ムンプスの3種混合ワクチンが定期接種として導入された背景があります。

 

しかし、ワクチン関連の副反応として、発熱や頭痛、嘔吐などを伴う無菌性髄膜炎という有害イベントが多く発生したことから、1993年にムンプスを含む3種混合ワクチンの定期接種は中止されました。

 

そのため本邦においては2020年時点で、現在の定期接種では麻疹・風疹のみの2種混合ワクチンが用いられており、ムンプスワクチンは任意接種となっています。

 

近年ではより安全性の高いムンプス単独ワクチンも登場しています。

 

おたふく風邪に難聴や不妊など合併症が引き起こされる危険性を考慮して、子どもも大人も前向きにワクチン接種しておたふく風邪を予防することが期待されます。

 

ワクチンの有効性については、接種後罹患調査において接種者での罹患率は1~3%程度です。

 

接種後の抗体価を測定した研究結果では、概ね90%前後が有効なレベルの抗体を獲得できると考えられています。

 

有効な抗ウイルス剤がいまだに開発されていない現段階では、学校や保育園など集団生活を過ごす前にワクチン接種によって予防策を講じておくことが有効的な感染予防法です。

 

自分が幼少期など過去におたふく風邪に罹患したかどうかを検査したい際には、血液検査で抗体の有無を評価します。

 

罹患したことがない場合や抗体が存在しないケースでは、ワクチンを積極的に接種することを検討しましょう。

 

ムンプスワクチンは2回接種するのが望ましいです。

 

接種する上で不安を感じる、あるいは判断に難渋する場合にはかかりつけ医や最寄りの小児科や内科など医療機関に相談するように心がけましょう。

 

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おたふく風邪の感染予防

 

おたふく風邪に感染しないように気を付けることとして、日常的な手洗いやうがいを実行する、あるいは咳エチケットなどによって飛沫感染や接触感染を予防することは一定程度有効的であると考えられます。

 

ところが、これらの日々の対策によって完全におたふく風邪を予防することはできません。

 

おたふく風邪を効果的に予防するにはワクチン接種が唯一の方法です。

 

おたふく風邪に罹患しないのみならず、合併症を予防するために予防接種を実践することが重要です。

 

子どもは1歳からワクチンを接種することができますし、大人もあわせておたふく風邪のワクチンを計2回接種して十分な免疫を獲得しておくことが重要な観点となります。

 

まとめ

 

ムンプスウイルス感染によって引き起こされる流行性耳下腺炎は、通常2~3週間の潜伏期を経て発症します。

 

片側あるいは両側の唾液腺腫脹を特徴とするウイルス感染症であり、主な症状としては発熱と耳下腺・顎下腺・舌下腺の唾液腺における疼痛症状であると認識されています。

 

通常のケースでは、発症してからおおむね1~2 週間で症状は軽快します。

 

時に難聴など重大な合併症を認めることが知られています。

 

その中でも最も多い合併症は*髄膜炎であり、それ以外にも睾丸炎、卵巣炎などを合併して不妊症に陥る場合があります。

 

*髄膜炎:脳の周りを覆っている髄膜に炎症がおこる病気

 

 

「おたふく風邪(流行性耳下腺炎)」は第2種感染症に指定されています。

 

基本的には耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫脹が発現した後5日を経過して、全身状態が良好に治癒するまでは登校や登園など出席停止と規定されています。

 

おたふく風邪には特異的な治療法はありません。

 

初期段階では、自宅家庭内で解熱鎮痛剤、患部冷却等の対症療法が実践されます。

 

万が一症状が悪化する場合や水分が十分に摂取できない時には、医療機関で点滴投与などが行われます。

 

今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。

 

参考文献

 

1)国立感染症研究所HP|流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)

2)NHKおうちで学ぼう!for school HP|危険な合併症も!おたふく風邪の原因や感染経路、症状、治療法

 

 

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この記事の監修医師

甲斐沼 孟医師

医師 甲斐沼 孟(かいぬま まさや)

【プロフィール】

平成19年に現大阪公立大学医学部医学科を卒業。初期臨床研修修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科勤務、平成26年より国家公務員共済組合連合会大手前病院で勤務、令和3年より同院救急科医長就任。どうぞよろしくお願い致します。

【専門分野】

救急全般(特に敗血症、播種性血管内凝固症候群、凝固線溶異常関連など)、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域

【保有資格】

日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医、日本救急医学会認定ICLSコースディレクター、厚生労働省認定緩和ケア研修会修了医、厚生労働省認定臨床研修指導医など

 

 

 

この記事の執筆者


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