帯状疱疹はうつる?症状やワクチンについて徹底解説
投稿日: 2024年08月20日 | 更新日: 2024年09月20日
みなさん、肌に突然の痛みや発疹が出たことはありませんか?
今までにできたことがないような帯状の発疹があれば、それは帯状疱疹かもしれません。
今回は帯状疱疹の原因や症状、予防方法についてお話していきます。
目次
帯状疱疹とは
帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:Varicella zoster virus)が原因で起こる病気です。
このウイルスは一度感染すると、神経節に潜んで体内に留まり、免疫力が低下したときに再活性化して帯状疱疹を引き起こします。
帯状疱疹の患者様には、幼少期に水ぼうそうに感染していることがほとんどで、水ぼうそうウィルスが神経節に潜んでいます。
帯状疱疹の原因は?
先述したとおり、帯状疱疹の原因は、水痘ウイルス(水ぼうそう)です。
このウイルスは初めて感染したときに水痘を引き起こし、その後神経節に潜伏します。
体が健康なときは問題ありませんが、免疫力が低下したときにこのウイルスが再活性化し帯状疱疹を発症するのです。
これは日和見感染と呼ばれる現象で、特に以下などが引き金となります。
- ストレス
- 過労
- 加齢
帯状疱疹の症状
帯状疱疹の症状は多岐にわたりますが、ここでは皮膚症状、神経症状、全身症状の主な3種類に分けて説明します。
皮膚症状
帯状疱疹の皮膚症状として、赤い帯状の発疹や水疱が最も一般的です。
発疹や水疱は、体の片側に帯状に現れかゆみや痛みを伴うことが多いです。
神経症状
帯状疱疹の神経症状には、神経痛や感覚異常があります。
ウイルスが神経を侵すため、鋭い痛みやしびれが現れます。
全身症状
一部の患者様では、発熱や頭痛、倦怠感などの全身症状を伴うこともあります。
特に免疫力が低下していると、これらの症状が強く出ることがあります。
以下の表では、子供と成人の帯状疱疹の症状の違いを比較したものです。
症状 |
子供 |
成人 |
発疹の広がり |
比較的小規模 |
広範囲に広がる |
痛み |
軽度 |
強い痛みを伴う |
発疹の部位 |
顔や体幹部 |
胸部や背部に多い |
発熱 |
低い |
ある場合が多い |
疲労感 |
少ない |
強い |
後遺症 |
まれ |
帯状疱疹後神経痛などが多い |
帯状疱疹はうつる?
帯状疱疹そのものは他人に直接うつることはありません。
ですが、水ぼうそうに対する免疫がない人が帯状疱疹の患者さんの水疱に触れると、水ぼうそうとして感染する可能性があります。
特に水ぼうそうの予防接種を受けていない子どもや、免疫力が低下している成人にとっては感染リスクが高いです。
帯状疱疹の患者と接触した場合の注意点
帯状疱疹は皮膚にできる水疱の液体にウイルスが含まれているため、直接触れないよう注意が必要です。
感染予防のために以下のような対策をとることが有効です。
水疱に触れないようにする
患者さんの水疱に触れないことが最も効果的です。
患者さんが触ったタオルや寝具、衣服などにもウイルスが付着することがあるため、共用物品には注意を払いましょう。
手洗いを徹底する
患者さんと接触した後や、帯状疱疹の症状がある方が触れた物に触った後は、石鹸を使って手洗いをしっかり行いましょう。
水疱が乾燥しているか確認する
水疱が乾燥してかさぶたになるまではウイルスが存在しているため、この期間は特に接触に気をつける必要があります。
かさぶたができた後は、感染のリスクが大幅に減少します。
免疫力が低下している方へのリスク
免疫力が低下している方、例えばがん治療を受けている方、HIV感染者、免疫抑制薬を使用している方は特に注意が必要です。
これらの方々は、帯状疱疹に対する免疫が弱まっているため、水ぼうそうを発症した場合に重症化するリスクが高くなります。
帯状疱疹を疑う前兆や初期症状
帯状疱疹を早期に発見することは、症状を軽減し、後遺症のリスクを抑えるために非常に重要です。
以下の前兆や初期症状に気を付けてください。
神経痛
帯状疱疹の初期症状は、皮膚に発疹が出る前に神経痛を感じることです。
この痛みは鋭く持続的で、通常は体の片側だけに感じられます。
例えば、胸や背中、顔などにチクチクと刺すような痛みが現れることがあります。
発疹と水疱
初期の神経痛の後、数日以内に皮膚に赤い発疹が現れ、その後に小さな水疱に変わります。
この水疱は体の一部に帯状に集まって現れることが特徴です。
特に顔や胸、背中に多く見られますが、発疹の範囲は人によって異なります。
発熱や倦怠感
一部の患者さんでは、発熱や全身の倦怠感を感じることがあります。
これらの症状は風邪やインフルエンザと似ていますが、皮膚に発疹が出た場合は帯状疱疹の可能性を疑うべきです。
特に、免疫力が低下している人に強く現れることがある症状です。
帯状疱疹の後遺症
帯状疱疹後神経痛
最も一般的な後遺症は帯状疱疹後神経痛です。
発疹が治った後も数か月から数年にわたり持続する強い痛みが特徴です。
特に高齢者に多く、生活の質を大きく低下させます。
鎮痛薬や神経ブロック、抗てんかん薬などの治療が行われますが、痛みが完全に消えないケースもあります。
感覚異常
帯状疱疹による神経損傷で、患部の感覚が鈍くなったり、わずかな刺激でも強い痛みを感じる異常感覚が生じます。
これにより、日常生活の中で触覚に対する敏感さや不快感が続くことがあり、長期間の治療やリハビリが必要です。
視覚障害
帯状疱疹が顔や目に現れると、角膜や視神経に影響を与えて視力の低下や失明のリスクがあります。
眼帯状疱疹では角膜炎や虹彩炎が発症し、早期に治療を行わないと回復が難しい場合もあります。
眼に近い部位の帯状疱疹が出た場合は、皮膚科のみならず早急に眼科を受診することが大切です。
ラムゼイ・ハント症候群
まれに、耳や顔に帯状疱疹が現れるとラムゼイ・ハント症候群を引き起こすことがあります。
顔の片側が麻痺して口や目が閉じにくくなり、さらに耳鳴りや難聴を伴うこともあります。
抗ウイルス薬やステロイドによる早期治療が望まれます。
帯状疱疹のワクチンについて
帯状疱疹の予防にはワクチンが非常に有効です。
特に50歳以上の人には積極的に接種が推奨されています。
帯状疱疹ワクチンの効果
ワクチンを接種することで帯状疱疹の発症を予防するだけでなく、万が一発症した場合でも症状を軽減する効果があります。
さらに帯状疱疹後神経痛などの後遺症のリスクも大幅に減少します。
ワクチン接種のタイミング
帯状疱疹の予防ワクチンは、50歳以上の方が推奨されています。
ですが、免疫力が低下している人や帯状疱疹のリスクが高い人は、若い方でも接種を検討してもいいかもしれません。
ワクチンの効果は数年持続するため、一度接種すれば長期間の予防が期待できます。
医師による帯状疱疹の実体験
過去に帯状疱疹を患い、治療後は神経痛に悩まされている患者様がいらっしゃいました。
神経痛に対しての薬を処方するも改善が見られず、ようやく症状を緩和できる薬が見つかったという事例です。
最終的に薬が見つかったことは幸いでしたが、あの時の苦しんでいる患者様の顔を忘れることはできません。
帯状疱疹は命に関わるものではありませんが、診察が遅れたり初動を誤ったりすると、その後の長い間、神経痛に悩まされてしまう可能性があるという点では恐ろしい病気です。
そのため、そもそも帯状疱疹を発症しないために、僕はワクチン接種を推奨しています。
家来るドクターでできる対応
家来るドクターでは、夜間休日の往診を行っております。
診察の後、症状に合わせたお薬の処方や他医療機関への紹介などを行い、迅速に適切な対策を取ることが可能です。
また、家来るドクターではオンライン診療も行っております。
オンライン診療でも、往診と同じように緊急性の判断や症状に合わせたお薬の処方、他医療機関への紹介などを行っています。
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まとめ
帯状疱疹は、免疫力の低下によって引き起こされる痛みを伴う病気です。
神経痛によって日常生活に大きな影響を与えます。
今は特に20代から40代の若い世代でも増加傾向にあります。
帯状疱疹は、早期発見・早期治療を行うこと、ワクチン接種や免疫力を高める予防することが重要になります。
適切な知識を持ち、症状が現れた場合には迅速に医療機関を受診することをおすすめします。
参考文献
社会福祉法人恩賜財団済生会「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」
Medical Note「帯状疱疹は人からうつる病気なの?人にうつしてしまうことはあるの?~家族と感染者ができる感染対策とは~」
ドクターズ・ファイル「ラムゼイ・ハント症候群(ハント症候群)」