脱水症状について 治し方やチェック項目とは
投稿日: 2024年07月02日 | 更新日: 2024年10月22日
脱水症状は、私たちの健康に大きな影響を与える可能性のある重要な問題です。
特に暑い季節や運動時には、体内の水分バランスが崩れやすくなります。
今回は脱水症状について詳しく説明するので、今年の夏に向けて予防や対処法を身につけましょう。
目次
脱水症状とは?
脱水症状とは、体内の水分が不足した状態です。
体内の水分の中には電解質という水に溶けると電気を通す物質が含まれており、筋肉細胞や神経細胞の働きにかかわるなど体にとって重要な役割を果たしています。
この水分と電解質を適切なバランスで維持する必要がありますが、このバランスが崩れると様々な健康問題が生じます。
脱水は軽度から重度まであり、重症化すると命にかかわることもあるため注意が必要です。
脱水症状の原因
脱水症状の原因は多岐にわたります。
以下に主な原因を挙げていきます。
大量の発汗
激しい運動を行うと、大量の汗をかくことにより水分と電解質が失われます。
特にマラソンやサッカーなど長時間にわたる運動では発汗による脱水には注意が必要です。
また、サウナやじっとしているだけでも汗をかいてしまう環境に長時間いると、体温調節のために汗をかく量が増え、脱水症状を引き起こしやすくなります。
不十分な水分補給
高齢者は加齢により喉の渇きを感じにくくなるため、必要な水分を補給する機会が減ります。
加えて、体の水分保持能力が低下するので、脱水症状を起こしやすくなります。
また、乳幼児は体重に対する水分の割合が高く、少量の水分不足でも脱水症状が現れやすくなります。
自分で水分を補給することが難しいため注意が必要です。
病気
胃腸炎などにより嘔吐や下痢、発熱などの症状が続くことで水分が失われます。
嘔吐や下痢が続くと、体内の水分が急速に失われ、脱水状態になる可能性が高まります。
特に、ロタウイルスやノロウイルスによる急性胃腸炎は脱水症状を引き起こしやすいため注意が必要です。
薬の使用
服用している薬が影響して脱水症状になる場合があります。
薬の種類によっては利尿作用があり、尿の排出によって必要な水分が不足して脱水症状を引き起こすのです。
特に、高血圧や心臓病などの治療で処方される利尿剤は、体から過剰に水分を排出するため脱水症状を引き起こしやすくなります。
このような利尿剤を使用している場合は、適切な水分補給を心がけ脱水症状にならないように予防が必要になります。
その他の要因
アルコールは利尿作用があるため、多量に摂取すると尿として水分が排出されやすくなり脱水症状を引き起こします。
また、塩分やカフェインの多い食事は体内の水分を奪う作用があるため、脱水を助長することがあります。
これらの原因を理解し、適切な水分補給を心掛けることが脱水症状の予防につながるので、心掛けましょう!
脱水症状で見られる症状
脱水症状には様々な症状がありますが、以下に主な症状を挙げていきます。
頭痛
脱水症状の初期段階で現れることが多いのが頭痛です。
体内の水分が不足すると、血液量が減少しの上の酸素供給が不十分になるため、頭痛を引き起こします。
また、体の水分バランスの乱れが原因となり脳の血管が収縮し、頭痛を引き起こすこともあります。
吐き気・嘔吐
脱水により胃腸機能が低下することで、吐き気や嘔吐が生じることがあります。
体内の水分不と電解質のバランスが崩れることで胃腸の働きを妨げ、消化不良や胃の不快感を引き起こします。
特に、下痢や嘔吐が原因で脱水が進行している場合は、症状が悪化しやすいため早めの対処が必要です。
下痢
下痢自体が脱水症状の原因の一つですが、脱水症状が進行するとさらに下痢が悪化します。
体が水分を保持しようとするために腸の吸収能力が低下し、結果的に水分の多い便が排出されるようになります。
特に、小児や高齢者は下痢による脱水症状が重篤化しやすいため、注意が必要です。
寒気
脱水症状が進行すると寒気を感じることがあります。
体内の水分が不足すると、血液の循環が悪くなり、体温調節機能が低下するため寒気を感じやすくなるのです。
特に高温環境下での脱水は体温調節に大きな影響を与えます。
めまい
脱水によって血液量が減少すると、脳への血流が不足し、めまいを引き起こすことがあります。
特に脱水状態では、体内の水分が減ることで血液量も減少し、脳への酸素と栄養の供給が滞りやすくなるため、酸素不足が原因でめまいを感じやすくなります。
また、血液量が減少すると血圧も低下しがちです。
急に立ち上がったり姿勢を変えたりした際に血圧が急激に下がると、起立性低血圧と呼ばれる状態になり、立ちくらみやめまいを引き起こしやすくなります。
これを防ぐためには、座った状態からゆっくりと立ち上がることが効果的です。
高体温
水分不足により体内の電解質バランスが崩れると、体温調節機能がうまく働かず、体温が上昇しやすくなります。
また、体内の水分が少なくなることで血流が悪くなり、体に熱をため込みやすいです。
このようなことから、脱水症になると体温が上昇しやすくなると言えます。
特に暑い環境下では、高体温が脱水症状の一部として現れることが多いです。
意識障害
重度の脱水症状では、意識障害が発生することがあります。
脳への血流と酸素供給が著しく低下するため、混乱、無気力、意識の低下、場合によっては意識喪失が見られることがあります。
意識障害が見られた場合、すぐに医療機関に受診し、適切な処置を受ける必要があるため注意が必要です。
関連記事:夏バテとは?どんな症状があるの?|予防対策や治し方を解説
脱水症状のチェック項目
脱水症状かも?と体調が少しでもおかしいなと感じたら以下のチェック項目を利用して確認してみましょう。
当てはまるものがあれば適切な対処を行い、必要に応じて医療機関を受診しましょう。
握手してみる
脱水症状の確認には、握手をして手の温度を確かめる方法があります。
手を握ってみて冷たいと感じる場合、脱水症状の疑いがあります。
脱水症状になると体内の水分が不足し、手が冷たくなることが多いのです。
この方法は、子どもや高齢者にも簡単に試すことができるためおすすめです。
ベロを見せてもらう
脱水症状では、舌の表面が乾いていることがよくあります。
脱水状態では舌がカサカサしていたり、表面がひび割れたようになったりすることがあるのです。
通常はしたが潤っていてツヤがあるため、乾燥が目立つ場合は脱水のサインと考えられます。
皮膚をつまんでみる
皮膚を軽くつまみ、離した後つままれた形から3秒以上戻らなければ脱水症状が疑わしいです。
皮膚には水分がたくさん含まれていて弾力性がありますが脱水症状になると水分が減り弾力性もなくなります。
親指の爪の先を押してみる
親指の爪の先を押した後、赤みが戻るのに3秒以上かかれば脱水症状が疑わしいです。
脱水状態になると血液の流れが悪くなり、色の戻りが遅くなることがあります。
握手と同様、このチェック方法も簡単に確認できる方法です。
わきの下を確認する
わきの下を確認することも、脱水症状をチェックする方法の一つです。
通常わきの下には、汗による潤いがあります。
脱水症状になると汗の分泌が減少するためわきの下が乾燥します。
この方法は特に、汗をかきやすい環境や運動後に脱水症状をチェックするときに有効です。
このような症状が現れたらすぐに医療機関にご相談ください。
脱水症状の治し方
脱水となった場合、体力を消耗していることが多くあるため、安静にすることがおすすめです。
また、室温が高い場合、脱水症状を助長するため、室温を快適な温度に保つことも重要です。
脱水と聞くと、”どんどんお水を摂取させよう”と思いがちですが、真水を飲むとさらに体液が薄まり、低ナトリウム血漿を進行させてしまいます。
そうすると、脳細胞浮腫などを引き起こし重篤な神経症状が合わられることがあります。
飲むのは水ではなく、スポーツドリンクや経口補水液など、体液の濃度にも配慮された飲み物を飲むようにしましょう。
また、脱水は分類によって輸液の種類が変わるため、落ち着いたらかかりつけ医などへ受診し、適切な治療を受けることがおすすめです。
関連記事:熱中症の治し方や予防対策|熱射病や日射病との違いは?
脱水症状になりやすい人の特徴とは
以下のような人々は、特に脱水症状になりやすいです。
高齢者
高齢者は脱水症状になりやすいと言えます。
体内の水分保持能力が低下しているため、脱水になりやすいです。
また、加齢によりのどの渇きを感じる機能が低下しており、自覚しないうちに脱水状態になってしまうことがあります。
高齢者は特に注意して水分補給を行うことが重要です。
日頃から少量ずつこまめに水分を摂る習慣を身に着けておきましょう。
乳幼児
乳幼児も脱水症状になりやすい人と言えます。
体重に対する水分の割合が高いため、わずかな水分不足でも脱水症状が現れやすいです。
また、自分で水分を補給することが難しいため注意が必要です。
普段から、周囲の大人が注意深く見守ることで脱水症状を予防しましょう。
特に、下痢や嘔吐がある場合は、急速に脱水が進行するため早めの対処が必要です。
持病を持つ人
糖尿病や腎臓病などの持病があると、脱水症状が起きやすくなります。
糖尿病や腎臓病などの持病は病気の影響から体内の水分バランスが崩れやすくなります。
また、治療に使用する薬が利尿作用を持つ場合、水分が過剰に排出されることがあり、脱水症状を引き起こしやすいです。
脱水を感じやすい場合は医師への相談しながら薬の調整や適切な水分補給を行っていきましょう。
運動をする人
激しい運動をする人は大量に汗をかくため、脱水症状になりやすいです。
運動中に十分な水分を摂取しないと体内の水分と電解質のバランスが崩れやすくなります。
得に高温多湿な環境での運動や長時間トレーニングを行うと、体内の水分が急速に失われるため、こまめな水分補給がかかせません。
運動前後はもちろん、運動中に電解質を含んだ飲料を摂取して脱水症状を予防しましょう。
家来るドクターでできる対応
家来るドクターでは、夜間休日の救急往診・オンライン診療を行っています。
往診では発熱や嘔吐・下痢、全身症状などを診察させていただき、必要に応じて点滴治療や病院への案内をいたします。
また、家来るドクターでは、全国どこからでもオンラインでの診療を行っています。
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往診エリア外の場合はお気軽にご予約ください。
もちろん、電話での医療相談だけの利用も可能です。
なにかお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください!
まとめ
脱水症状は、軽度であれば適切な水分補給で対処できますが、重度になると命に関わることもあります。
日常生活の中で水分補給を心がけ、体調の変化に敏感になることが重要です。
また、脱水症状のリスクが高い人々は特に注意を払い、適切な予防策を講じることが大切です。
参考文献
脱水症のサインを見逃さないで|素早く見つけて、すぐ対策!脱水症&熱中症
執筆者
経歴
- 名古屋市立大学 卒業
- 豊橋市民病院 初期研修医勤務
- 豊橋市民病院 耳鼻咽喉科
- 名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科
- 一宮市立市民病院 耳鼻咽喉科
- 西春内科・在宅クリニック 副院長
- 横浜内科・在宅クリニック 院長
- >>詳しいプロフィールはこちらを参照してください。