女性に多いカンジダ症ってどんな病気?男女別の症状や原因、治療についてTITLE
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はじめに
お久しぶりです。西春内科・在宅クリニックの伊藤です。今回から数回にわたって性感染症について解説をいたします。
今回のテーマは「カンジダ」です。
皆さん「カンジダ」って知っていますか?もしかしたら、女性の読者の方は本などで目にしたことがあるかもしれません。
カンジダ症なんて知らないという方、聞いたことはあるけどどんな病気なのかわからないという方のために症状や治療についてわかりやすく解説します。
目次
カンジダ症とは
カンジダ(Candida)は「真菌(カビ)」の一種でカンジダ属といわれる仲間に属しています。カンジダ属の中には味噌、醤油、ワインなどの発酵に関与するものもあり、一般的には「酵母」という表現が用いられています。
一方で、ヒトに感染し感染症を引き起こすものもあります。感染し体にトラブルを引き起こしている状態をカンジダ症と呼びます。
感染部位
カンジダは健康な人でも皮膚や、口腔内、腸、膣内などに存在している常在菌の一つです。膣では内部にいる常在菌(デーデルライン桿菌)の作用によって以上に増殖しない状態となっています。
このように通常では免疫やほかの菌の影響によって増殖が抑えられている状態となりますが、破綻してしまった場合に異常増殖し、カンジダ症を発症します。
今回は性感染症としてのカンジダ感染症について説明していきます。
女性に多く、男性は少ない
カンジダ症は通常、女性に多く、男性に少ない病気です。
女性の「5人に1人が発症する」や、「75%が生涯のうちに発症する」とされています。女性に多い原因としては、性器の構造が大きな原因となります。
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男女別の発症する原因について
性感染症ですので、感染者と性行為(セックス・キス・オーラルセックス・アナルセックス)を行うことで感染する可能性があります。しかしながら、性行為での感染は全体の5%程度といわれており他の性感染症とは異なります。
一般的な性感染症と同様で、コンドームを使用することは感染の予防となります。
先ほども説明したように、カンジダは、健康な人でも感染している常在菌です。常在菌に感染してしまうことを「自己感染」といいます。カンジダ症のほとんどがこの自己感染によるものです。
自己感染を引き起こす原因としては、
- 風邪や疲労、寝不足
- ストレスなどによる免疫機能の低下
- 抗生物質の長期使用
- ステロイドの長期使用
- 免疫抑制剤の使用
- 糖尿病
- HIV(エイズの原因ウイルス)への感染
- 陰部の過剰な洗浄
などがあげられます。また、男女それぞれでの特有な原因もあるため、それらについて説明します。
女性の場合
女性特有の原因として生理周期に伴うホルモンバランスの変化や、膣内環境の変化があげられます。
また、妊娠に伴い症状が現れる場合もあります。
男性の場合
男性では、特に包茎の方では陰部の環境が不衛生となりがちですので、症状が現れる場合があります。
関連記事:気づきにくい【最も多い性感染症】クラミジアについて
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男女別カンジダ症の症状
カンジダ症の主な症状をご説明します。
女性(膣・外陰部カンジダ症)
女性がカンジダ症にかかった場合の主な症状は下記のとおりです。
- ヨーグルト状、酒かす状、カッテージチーズ状のおりもの
- おりものの増加
- 膣や外陰部の炎症(発赤、かゆみ、痛み、灼熱感)
- 排尿時痛(しみる感じ)や性交時の痛み
女性がカンジダ症になった場合、まずは外陰部に強いかゆみや発赤が起こり、おりものの異常が現れることが多いです。
おりものが特徴的であり、その性状から、ヨーグルト状、酒かす状、カッテージチーズ状といった表現が用いられます。
男性(性器カンジダ症)
男性がカンジダ症にかかった場合の主な症状は下記のとおりです。
- 亀頭から白いカスのようなものが出る
- 亀頭の炎症(発赤、かゆみ、ただれ)
- 亀頭の水疱
男性がカンジダ症になると、亀頭部分に症状が起こります。亀頭の症状は特に「カンジダ亀頭包皮炎」とも呼ばれます。
カンジダ症の治療や予防法について
カンジダ感染症は原因が菌ですので抗生物質(抗真菌薬)を使用します。
ただし、常在菌ですので再発を起こしやすいため、日常生活での予防が重要です。
男性は泌尿器科や性病科、女性は産婦人科や性病科
カンジダ症を疑うような症状があった場合は専門医の診察をうけて診断、治療を行いましょう。
特に、女性の方はおりものの異常を認めた際は早めの病院受診をおすすめします。
自身ではカンジダと思っていても、異なる性感染症(トリコモナス、クラミジアなど)の場合がありますので、放置することなく受診しましょう。
また、放置して炎症がひどくなると慢性化して完治しづらい状態となったり、全身へと広がってしまったりする場合もあります。治療が難しくなる前に病院を受診し治療を行うことが大切です。
また、妊娠中はカンジダが羊水感染や産道感染を起こして、新生児に感染することがあります。新生児の口腔粘膜に感染すると鵞口瘡を引き起こしてしまいます。妊娠中にカンジダ症の症状がみられた場合は治療が必要ですので、受診しましょう。
検査について
男性の場合は亀頭表面や包皮表面を綿棒で擦り菌を採取します。女性の場合は外陰部や膣内、おりものから菌を採取します。
顕微鏡で観察したり、培養したりすることで菌の存在を確認し診断します。
症状が現れていない場合も検査をすることができますが、症状がない場合はカンジダ症とはならないため、症状があるときに検査を受けることをおすすめします。
どんな治療をする?
症状が軽い場合は自浄作用によって自然治癒することもありますが、症状が強い場合は治療が必要となります。
女性に対しては膣洗浄のほかに、抗生物質(抗真菌薬)の膣内投与・内服や軟膏により治療をおこないます。男性に対しても、抗真菌薬の内服や軟膏を用いて治療をおこないます。
市販薬でも治る?
私たちが病院で処方する薬と同じ成分、薬効の市販薬は販売されており、治療を行うことは可能と考えられます。
しかしながら、カンジダ症ではなかった場合は症状が治らない場合や、悪化する可能性もあります。自分で診断することなく、病院を受診することをおすすめします。
再発について
カンジダ菌は常在菌ですので、身体からいなくなることはまずありません。
一度、カンジダ症を発症された患者さんは再発しやすいともいわれています。次にご説明する方法で再発のリスクを下げましょう。
予防法
日常生活でもちょっとした意識で発症や再発を予防できます。
カンジダ菌はあたたかく、湿ったところが大好きですので次のようなことで予防しましょう。
- 通気性の良い下着や洋服を着用しましょう。
- 陰部の洗いすぎに注意しましょう。
- 陰部の清潔を保ちましょう。
- 入浴後は陰部をしっかりと乾かしましょう。
- 湿った衣類を着用したままにしないようにしましょう。
- ナプキンはこまめに交換しましょう。
- 規則正しい生活をおこない、身体の免疫を落とさないようにしましょう。
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病院や家来るドクターでできる治療
病原体を確認し、診断を行います。
先ほどもお話ししましたが、診断のつかないままご自身での判断で治療をおこなうことは、他の感染症を悪化させる可能性があります。
確実に診断をつけることをおすすめします。
家来るドクターでは処方での治療は可能です。思い当たる症状があればいつでもご相談ください。
まとめ
今回はカンジダ症について説明させていただきました。
おりものの異常で発覚するカンジダ症、体調や免疫機能が低下すると発症しやすい病気だとわかっていただけましたでしょうか。
症状が軽いうちに病院を受診していただければ治癒する可能性が高い病気です。
悪化する前の受診と治療を行いましょう。
また、一度かかって治癒した場合も、再発リスクを避けるような生活を送ってください。
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この記事の監修医師
西春内科・在宅クリニック 伊藤医師
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