熱性けいれんはどう対応すればいい?原因や後遺症を徹底解説
投稿日: 2024年04月18日 | 更新日: 2024年09月26日
「熱性けいれん」という病気をご存じでしょうか。
熱性けいれんとは子供の発熱の際に突如として発生する病気です。
今回は熱性けいれんの正しい対処法、症状などについて詳しく解説していきます。
目次
熱性けいれんとは
熱性けいれんとは、発熱を伴う際に引き起こされるけいれん発作の一種です。
特に生後6か月から5歳までの小児に多く見られますが、成長に伴い6歳前後でほとんど起こらなくなります。
熱性けいれんは通常、38℃以上の発熱時で急激に体温が変化するときに起こり、短時間で治まります。
また、後遺症が残ることはほとんどありません。
熱性けいれんは約8%の子供にみられ、そのうち2~3%はてんかんに移行するといわれています。
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熱性けいれんの症状
熱性けいれんの症状は発作が発生した際に現れます。
症状として体が硬直、手足がガクガクする全身型のものから、目が一点を見つめて反応しないというような分かりにくいものまで様々あります。
発作は数分間続くことが多いですが、まれにそれ以上続く場合もあります。
その中でも主に以下の2つのタイプに分類されます。
単純型熱性けいれん
単純型熱性けいれんは、最も一般的なタイプで、発熱後24時間以内に起こる全身性のけいれんで15分以内に収まります。
また、24時間以内に再発しない特徴があります。
複雑型熱性けいれん
複雑型熱性けいれんは以下の条件のうち1つでも当てはまるものを言います。
- 全身の震えが15分以上(途中で停止時間をはさむ場合も含みます)
- けいれんが体の半分または、体の一部に起こる局所性
- 24時間以内にけいれんが2回以上起こる
それぞれの割合としては、単純型の熱性けいれん8割、複雑型の熱性けいれん2割程度です。
両者は経過や治療が違います。
複雑型やけいれん重積症では、けいれんの治療や他の疾患と区別するために入院が必要になることも多くあります。
熱性けいれんの原因
原因として、脳神経細胞が急な体温に上昇に対応できず起こります。
遺伝的な要因もありご両親に熱性けいれんがあった場合、そうでない子供と比べてリスクは2〜3倍程高くなります。
発熱の原因としては夏風邪、インフルエンザ、突発性発疹など急に高熱を出す疾患で多いです。
高熱をきたす疾患はすべてけいれんのきっかけとなります。
関連記事:子どもに多い起立性調節障害の症状とは|原因や治し方を解説
熱性けいれんの予防について
熱性けいれんの予防として(ダイアップ)という座薬を使用します。
使用方法としては、熱の上がりはじめ(37.5~38℃位)に座薬を入れ、8時間後にもう1度坐薬を入れます。
予防で使う基準として以下の場合に座薬を使用することを推奨しています。
- 15分以上続く発作がおきた場合
- 2回以上発作をおこしている場合で、以下の条件を2つ以上満たす場合
- 24時間以内にけいれんを繰り返した
- 焦点性発作
- 発作以前から存在する発達の遅れなど神経学的異常があった
- てんかん、熱性けいれんの家族歴
- 12カ月未満
- 38℃未満での発作
熱性けいれんの予防としてのダイアップの使用は、副作用やリスクがあることもあるため、必ず医師の指示に従って適切に使用する必要があります。
自己判断での使用は大変危険なので、必ず医師へ相談しましょう。
熱性けいれんになったときの対応はどうする?
もし、お子様が熱性けいれんを起こした場合には、落ち着いて対処することが大切です。
発作の長さ・左右対称であるかを確認
熱性けいれんが起きたら迷わず救急車を呼んでください。
嘔吐する場合もあるので気道確保のため横向きで寝かせ、救急要請した後にスマートフォンなどで動画を撮影しましょう。
スマートフォンなどで撮影した動画は診察時に実際のけいれいんの様子を医師にみせ、診断の役に立ちます。
また、けいれん中の時間も計ることができるため、落ち着いて撮影を行いましょう。
口の中に物を入れない・入っている場合は喉に詰まらないようにする
けいれんが起きている際、舌をかまないようにとタオルを噛ませたり、手をいれたりしてしまうケースが見受けられます。
けいれいんが起きている際は口の中に何かを入れてしまうことで窒息する危険性や、お箸などの長い物であれば気道を突き刺してしまう危険性があるので口に物を入れないように注意してください。
手を入れた場合は怪我にもつながりますので、気道確保の際はお子様を横に寝かせるようにしてください。
関連記事:【冬から注意】子供の水疱瘡(みずぼうそう)|症状や潜伏期間、予防接種について
熱性けいれんの後遺症は?
短時間のけいれんで後遺症が残ることは基本的にありません。
てんかんに移行する注意が必要な因子なるものがいくつかあります。
- てんかんの家族歴
- けいれんが長く続く場合
- 断続的に続く場合
てんかんに移行する可能性は2~3%と考えられています。
熱性けいれんに気づかなかったらどうなる?
厳密に言うと、熱性けいれんを放置しておいたからてんかんになるというのではありません。
だた、リスクが0というわけではないです。子供が発熱しているときはこまめに様子をチェックしてください。
稀に小さなお子様の場合に、けいれんの動きが小さく見逃してしまうケースがあります。
口をぐっと食いしばっては緩む、腕をぎゅっとしては緩めるなどを繰り返している場合はけいれんを引き起こしている可能性があります。
小さなお子様の場合は特に注意が必要だと言えるでしょう。
関連記事:小児てんかんの発作が出た時の正しい対応|原因や種類、緊急性の高い場合についても解説
家来るドクター(往診)での対応方法
家来るドクターでは、夜間休日の救急往診を行っています。
往診ではできる限りの兆候を拾いあげ、必要に応じて予防薬の処方も可能です。
ご相談もできますので、ご心配な方はお気軽にご相談ください。
まとめ
今回は熱性けいれんについて解説しました。
もし熱性けいれんを起こした場合は、焦らず冷静に対処することが大切となります。
余裕があればけいれんの様子をスマホで撮って動画を医師に見せるとスムーズに対応できます。
お困りの際は一度、医療機関にご相談ください。
夜間・休日の場合は家来るドクターにご相談頂けたらと思います。
参考文献
徳洲会グループ|熱性けいれん
筑後市立病院|熱性けいれんのお話
CAPS CLINIC|熱性けいれんってなぁに?
医療法人すこやか会|おおたにクリニック
吉村クリニック|熱性けいれんについて