食中毒の種類や潜伏期間について徹底解説
投稿日: 2024年07月16日 | 更新日: 2024年08月07日
夏になるとバーベキューやキャンプなど、外での食事の機会が増えますが、その分食中毒のリスクも高まります。
食中毒は日常生活に大きな影響を与える可能性があるため、予防策や対処法を知っておくことが重要です。
本記事では、食中毒の種類や潜伏期間について詳しく解説します。
食中毒とは
食中毒とは、病原体や毒素が付着した食べ物や飲み物を摂取することで引き起こされる病気のことです。
症状としては、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などが一般的です。
食中毒の原因はさまざまで、病原体や毒素の種類によって症状や潜伏期間が異なり、中には命に関わるような場合もあるのでしっかり予防策や対処法を知っておく必要があります。
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食中毒の種類
食中毒は、その原因によって幾つかの種類に分類することができます。
細菌性食中毒
細菌性食中毒は、原因となる細菌、発生の仕方により大きく感染型と食品内毒素型と生体内毒素型にさらに分類されます。
感染型は、食品中で一定菌数以上に増殖した細菌を食品と共に摂食し、胃酸のバリアーを通過して、腸管の表面に定着し感染して食中毒を起こします。
食品内毒素型は、食品中で細菌増殖する際に産生した毒素を食品と共に摂取することで食中毒を起こします。
そして、摂取した細菌が腸管内で増殖し毒素を産生して食中毒を起こすのが生体内毒素型です。
ウイルス性食中毒
ウイルスが付着した食品を食べることで発症し、ノロウイルス、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、アデノウイルスなどが主なウイルスになります。
ウイルス性食中毒の原因には、さまざまな物がありますが、そのほとんどがノロウイルスによるものです。
自然毒
自然毒による食中毒とは、植物や動物がもともと保有している、または食物連鎖により体内に蓄積されるなどした有毒成分によって引き起こされる食中毒です。
テトロドトキシンやパリトキシンといった動物性自然毒、リコリンやコルヒチンといった植物性自然毒などがあります。
化学物質による食中毒
化学物質が食品に混入する事でも食中毒が起こることがあります。
化学物質による食中毒の多くはヒスタミンによるもので、マグロ・サンマ・カツオ・アジ・サバ・イワシ・ブリといった、ヒスタミンを多く蓄積した魚介類やその加工品を喫食することにより中毒症状を発症します。
ヒスタミンによる食中毒は、アレルギー様食中毒とも呼ばれ、摂食後、30~60分ほどで顔面の紅潮、じんましん、発熱、嘔吐、頭痛などの食物アレルギーに似た症状が現れます。
食中毒の症状
食中毒の症状は、基本的には似ているものの、食中毒を引き起こしている病原体や毒素によって微妙に違うこともあります。
腸管出血性大腸菌(O-157)
O-157は、牛などの家畜の腸にいることがあり、その糞などから食品を汚染して感染します。
症状は、激しい腹痛、下痢、発熱症状などがありますが、無症状で終わる場合もあります。
重症化することもあり、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などを引き起こすこともあります。
カンピロバクター
カンピロバクターは、主に鶏や鳩の腸に存在します。
症状は、腹痛、下痢、発熱、倦怠感などが見られますが、死亡例はほとんどありません。
下痢は水様性で、O-157同様に血便になることもあります。
サルモネラ菌
サルモネラ菌は、牛、豚、鶏等の動物の腸をはじめ、河川や下水等の自然界にも多く存在しています。
症状としては、腹痛、下痢、嘔吐、発熱が主な症状です。
サルモネラ菌もカンピロバクター同様、死亡例はあまりありませんが、重症化すると敗血症を発症する事があります。
黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は、健康人の皮膚、鼻粘膜、咽頭、毛髪などにもある身近な菌です。
主な症状は、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢が急速に現れ、通常は短時間で回復します。
ボツリヌス菌
ボツリヌス菌は、土壌細菌の一種で神経毒を産生し、筋肉の麻痺や呼吸困難を引き起こすことがあり、非常に危険です。
症状は、頭痛、悪心、嘔吐、下痢のような胃腸炎症状ではじまり、次いで、斜視、複視などの眼症状、発声障害、嚥下困難、運動麻痺などの末梢神経症状が起こります。
食中毒の中でも特に死亡率が高いので、重症になる前の迅速な判断と処置が求められます。
ノロウイルス
食中毒の原因のほとんどは、このノロウイルスによるものです。
症状が重症化する事は少なく、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの症状が見られます。
重症化はしにくいですが感染力が強く、集団感染が発生しやすいほか、感染者の吐しゃ物からによる二次感染を起こすことも特徴の1つです。
A型肝炎ウイルス
A型肝炎ウイルスによる食中毒では、発熱、倦怠感、黄疸、肝機能障害などの症状が見られます。
慢性化することはありませんが、症状が重篤になることがあります。
フグ毒
フグ毒は、フグが持っているテトロドトキシンによるものです。
摂取後数時間以内に、口唇や指先のしびれ、吐き気、嘔吐、筋肉の麻痺が現れます。
フグ毒には特効薬がなく最悪の場合、呼吸困難で死亡することがあります。
毒キノコ
種類によりますが、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などが一般的です。
肝臓や腎臓に深刻なダメージを与えることもあります。
アニサキス
アニサキスは、主に魚介類に寄生する寄生虫で、魚を生で食べることで発症します。
症状は、激しい腹痛、吐き気、嘔吐といった症状がありますが、アニサキスによる死亡例はほとんどありません。
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食中毒の潜伏期間は?何時間後に症状が出る?
食中毒の潜伏期間は、原因となるウイルスや病原体によって異なります。
数時間前後で発症するものもあれば、2週間以上たってから発症するものもありさまざまです。
食中毒の治し方・対処法
食中毒は、「治す」というよりは「ウイルスや病原体が体外へ排出されるまで耐える」という対応が一般的です。
そのため、食中毒の治療はウイルスや病原体が体外へ排出されるまでのあいだ、できるだけ症状を軽くし、症状を和らげることが主な目的です。
水分補給
食中毒の主な症状である嘔吐や下痢症状は、ウイルスや病原体を体外に出そうとするために起こるものです。
その際に水分も一緒に出ていくため、まず大事な治療法としては、下痢や嘔吐で失われた水分を経口補水液やスポーツドリンクなどで補給することです。
安静
体力を消耗しないよう、できるだけ安静に過ごしましょう。
無理をせず、休養を取ることも大切です。
医師の診察
下痢には体内の細菌やウイルスを排出する働きがあるため、薬によって止めると治りにくくなる可能性があるとされています。
下痢がひどいと自己判断で市販薬を飲みたくなるかもしれませんが、はっきりと原因や病名がわからない段階では、下痢止め・頭痛薬・解熱剤などは自己判断で飲まないようにしましょう。
薬が必要なほどひどい症状なら、医師の診察の上、処方してもらうようにしましょう。
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食中毒を予防するには
食中毒の予防には、「食中毒予防三原則」というものが効果的です。
「つけない」「増やさない」「殺菌する」を効果的に行うための方法を幾つか紹介します。
手洗い
調理前や食事前、トイレの後などには、しっかりと手を洗いましょう。
石鹸と流水で20秒以上洗うことが推奨されます。
調理器具の洗浄と消毒
調理器具や食器は、使用後すぐに洗浄・消毒することが大切です。
特に生肉や魚を扱った後は、念入りに洗浄しましょう。
食材の適切な保存
食材は適切な温度で保存し、冷蔵庫や冷凍庫の温度管理を徹底しましょう。
賞味期限を確認し、古い食材は使用しないようにします。
食材の十分な加熱
食材を十分に加熱することで、病原体を殺菌できます。
特に肉や魚、卵などは中心温度が75度以上になるまで加熱しましょう。
家来るドクターでできる対応
家来るドクターでは、夜間休日の往診・オンライン診療を行っております。
往診の診察の後、症状に合わせたお薬の処方や対処のアドバイス、必要であれば他医療機関への紹介などを行い、迅速に適切な対策を取ることができます。
また、オンライン診療でも、緊急性の判断や症状に合わせたお薬の処方、他医療機関への紹介などの対応が可能です。
往診・オンライン診療の予約の仕方や費用など詳しくはこちらをご覧ください。
まとめ
食中毒は、原因となる病原体や毒素によって異なる症状や潜伏期間があります。
食中毒の中には、命に関わる物もありますが、日常生活での衛生管理や食材の取り扱いに注意することで、予防することができます。
万が一食中毒の症状が現れた場合は、適切な対処法を実践し、必要に応じて医師の診察を受けましょう。
参考文献
- 大幸薬品「細菌性食中毒とは」
- 福岡県保健環境研究所「ウイルス性食中毒」
- 神奈川県衛生研究所「自然毒による食中毒に気をつけよう」
- スギ薬局「食あたり(食中毒)の対処法は?医療機関を受診する目安や注意点を解説」
- 宜野湾市「夏は特に要注意!食中毒を予防しよう!」