【医師監修】新型コロナ感染症の後遺症になったらどうする?オミクロン株で変化は?【症状・治し方・外来・割合・相談】
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新型コロナウイルス感染症の感染時の症状の有無に関わらず、感染から回復した後にも、後遺症のさまざまな症状に苦しんでいる方々がたくさんいます。
国の研究班が調べによると、新型コロナウイルスに感染し中等症以上になった人の後遺症について、1年後でもけん怠感や筋力の低下など何らかの症状を訴えた人がおよそ14%いたことが分かりました。
後遺症の原因は今だ明らかになっておらず、感染から1年以上経過してからも症状が続くなど治療には長い時間がかかる場合もあります。
また、オミクロン株やステルスオミクロン株に感染した後の後遺症で苦しむ人の相談も徐々に増えてきています。
- 咳が止まらず、息切れや呼吸困難感が続いている
- 髪の毛が抜けやすく、円形脱毛ができている
- だるくて起き上がれない
- 頭の中に霧やモヤがかかったように、ぼんやりとする
新型コロナ感染してから何日経っても、以上のような症状がある場合は要注意です。
家来るドクターでは、連携クリニックと協力し、新型コロナの後遺症相談も受け付けております。
今回の記事では、皆様の不安を解消するため、新型コロナウイルスの後遺症について詳しく解説していきたいと思います。
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目次
新型コロナの後遺症とは?
新型コロナ感染症の後遺症は日本語では「罹患(りかん)後症状」、英語では「condition COVID-19」や「Long COVID(ロングコビット)」などと呼ばれています。
新型コロナは、軽症なら10日~2週間程度、重症でも3週間内には回復するといわれています。
しかし、3週間も経てば多くの方の症状が改善する一方、感染性の消失後にも一部の症状が続いたり、新たに症状が出現したりして長期間コロナで苦しんでいる方々もいます。
後遺症の原因は未だ明らかにされておりません。治療には長い時間がかかる場合もあり、感染から1年以上経過しても症状が改善しない方の報告もされています。
新型コロナの後遺症の原因は?
新型コロナの後遺症の原因は不明な点が多く明らかにはなっていません。
諸説ありますが、現時点では原因として以下のものが考えられています。
- ウイルスに感染した組織(特に肺)への直接的な障害
- ウイルス感染後の免疫調整不全による炎症の進行
- ウイルスによる血液凝固能亢進と血栓症による血管損傷、虚血
- 重症者の集中治療後症候群(post intensive care syndrome: PICS)
新型コロナ後遺症になるリスクが高い人は?
イギリスの報告によると、高齢者、肥満、女性、発症時7日以内に5つ以上の症状があった方の方が後遺症の出やすい傾向にあります。
一方、ワクチンを2回接種後に新たに新型コロナに感染した場合、28日以上続く後遺症の発現が約50%減少することが報告されています。
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新型コロナの後遺症の症状は?
国内外のいくつかの研究によると、代表的な症状として、「全身症状」「呼吸器症状」「精神・神経症状」「その他の症状」に分けられます。
コロナ陽性の診断3か月後時点でのよくある症状としては、疲労感(21%)・息苦しさ(15%)・脱毛(12%)・睡眠障害(10%)・集中力の低下(10%)などがあります。
これらの症状が1つでも発症すると,生活の質“QOL(Quality of Life)”が低下し、新型コロナに対する不安や恐怖心が強まります。
その結果、睡眠障害を自覚する傾向が強まったり、抑うつ状態になってしまったりすることも報告されています。
まれに頭痛・胃の痛み・胃もたれ・めまい・立ちくらみ・耳鳴り・嚥下障害・発疹・月経周期の変化などの症状が出ることも報告されています。
全身症状 |
呼吸器症状 |
精神・神経症状 |
その他の症状 |
・倦怠感 ・関節痛 ・筋肉痛 |
・咳 ・喀痰 ・息切れ ・胸痛 |
・記憶障害 ・集中力低下 ・不眠 ・頭痛 ・抑うつ |
・嗅覚障害 ・味覚障害 ・動悸 ・下痢 ・腹痛 ・脱毛 |
出典:令和2年度厚生労働科学特別研究事業福永班中間報告
世代別の研究データでは、各世代で後遺症の症状に大きな変化はありませんでしたが、65歳以上の高齢者では、味覚・嗅覚障害の頻度は低い傾向にありました。
関連記事:新型コロナワクチン3回目接種(ブースター接種)の副反応や後遺症について【最新情報あり】
さらに、英オックスフォード大学の研究によると、新型コロナは脳を、0.2~2%委縮させ、さらに感情や記憶をつかさどる領域の灰白質を減少させ、嗅覚にかかわる領域を損傷させることが明らかになったと令和4年3月に発表されました。
この傾向は入院していない人にもみられ、影響を部分的に回復させることができるか、長期的に持続するかについてはさらなる調査が必要とされています。
それでは、特に気になる新型コロナ後遺症の症状について原因と併せて詳しく見ていきましょう。
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新型コロナ後遺症①咳・呼吸困難
咳や息苦しさ、呼吸困難感といった呼吸器症状は、新型コロナウイルス感染症の中でもよくある後遺症の1つです。
海外の報告では、発症60日~100日後でも42~66%の方に呼吸困難が続いており、中には日常生活に支障をきたす事例も報告されています。
現時点では、原因の1つとして新型コロナが内皮細胞や肺胞上皮に入り込み、血管周囲の炎症や免疫学的にダメージを与えることが挙げられています。
特に筋力低下と息苦しさの後遺症は、新型コロナの重症度が高くなるほど長引くのが特徴です。
新型コロナ後遺症②記憶力低下・集中力低下(ブレインフォグ)
「ブレインフォグ(Brain Fog)」とは脳の霧ともいわれています。
具体的にはぼんやりと、モヤがかかったような感覚のことで、症状としては記憶障害、集中力の低下、頭痛などがあげられます。
治療法が確立されていないために長期の休業や失業を招き、経済的苦境に立たされるている人もいます。
中枢神経系における原因は解明されてはいません。
コロナに感染するとウイルスと戦うためのタンパク質ができ、脳に入り炎症を起こします。
これにより、脳の神経細胞がうまく働かなくなると考えられており、入ったタンパク質が炎症のスイッチを押すことでブレインフォグがおこると推測されています。
また、ホルモンや薬の服用、病気、不安やストレスなどといったいろいろな理由も考えられています。
現時点では、治療薬や特効薬がないため、血液検査等で潜んでいる病気がないか調べたり、漢方などで治療したりします。
新型コロナ後遺症③味覚・嗅覚障害
新型コロナ感染者の約1割の方が味覚・嗅覚障害を後遺症として残る可能性があります。
※オミクロン株の場合は味覚嗅覚障害の発現が少なく、後遺症として残る割合も少ない可能性があります。
味覚・嗅覚障害が生じる原因として、
- 鼻粘膜の浮腫、鼻汁といった鼻炎症状により匂いを感知する嗅細胞まで匂い物質が到達できない(気導性嗅覚障害)
- 神経周辺にある嗅細胞の支持細胞等への障害により、嗅神経の機能が阻害されている(嗅神経性嗅覚障害)
- 鼻の神経よりも中枢である、脳の障害でにおいを感じない(中枢性嗅覚障害)
が考えられています。
このうち長期に及ぶ症例では、MRIによる画像診断や内視鏡による観察でも異常所見を認めないことが多く、治療が長引くことも多々あります。治療法の一つとして、亜鉛の経口投与を行うこともあります。
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新型コロナ後遺症④脱毛
新型コロナ後遺症の皮膚症状で脱毛症・円形脱毛症があります。脱毛はホルモンや食生活の変化、ダメージを引き起こすヘアスタイルなどさまざまな理由により起こります。
新型コロナ後遺症の脱毛の原因としては、ウイルス感染とそのストレスから、抗ストレスホルモンの1種である副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌され、成長期毛包が休止期に移行しやすくなった結果ではないかと考えられています。
幸いなことに、新型コロナウイルス感染症の流行による抜け毛は一時的なものと考えられている一方、もともと脱毛の素因がある場合、長引く可能性もあります。
オミクロン株やステルスオミクロン株の後遺症は変化した?
オミクロン株やステルスオミクロン株は従来株と比べて感染力が強い一方、重症化リスクは低いとされています。しかし、感染した人からは、だるさや息苦しさが長期間続くとの訴えも相次いでおり、従来株の後遺症と同様に専門家は後遺症の深刻化を懸念しています。なかには、新型コロナの後遺症とみられる症状により仕事を辞めざるを得なかった人もいます。
オミクロン株だからと言って症状が軽いということはありません。東京都渋谷区のクリニックの調査によると、オミクロン株流行後に新型コロナ後遺症外来を訪れた患者の約6割が日常生活も間ならず、休職を余儀なくされているとのことです。また、オミクロン感染当時の症状の重症度にかかわらず、後遺症が長引く人も少なくないとのことです。
後遺症は、就業にも影響を与えています。働いていた患者約2000人への調査によると、「後遺症が仕事に影響した」と答えた割合が、デルタ株以前は66.2%だったのに対し、オミクロン株では76.2%と約10%増えました。中には、思うように社会復帰できないショックから自殺をしてしまう患者もいるということなので、一刻も早く治療法が立されることを願います。
2022年5月のイギリスからの報告から、デルタ株・オミクロン株(BA.1)・ステルスオミクロン株(BA.2)に感染して4~8週後に後遺症を疑う症状のある方の割合について以下のことがわかっています。
デルタ株 | BA.1 | BA.2 | |
ワクチン2回接種 | 15.9% | 8.7% | データなし |
ワクチン3回接種 | 7.4-8.5% | 7.8-8.0% | 9.1-9.3% |
2022年5月以降、日本でもほぼBA.2株に置き換わっているといえます。
ゆえに、今後の感染により後遺症が出る方の割合は少し高くなる恐れがあるので、十分注意が必要です。
関連記事:コロナ第7波のステルスオミクロン株とはどんな特徴??初期症状や感染した時の対処方法について
新型コロナ後遺症にワクチンは効く?
2022年2月に英国安全保障庁(UKHSA)による論文データによると、新型コロナ後遺症によるワクチンの効果について以下のことがわかっています。
ワクチン接種により、脱毛・息切れ・疲労感・頭痛などの後遺症が発症しにくくなる可能性があること |
ただし、ワクチン接種後に後遺症の症状が悪化したケースもあるため、新型コロナ感染後のワクチン接種の判断については、かかりつけ医と相談しながら接種をすることをおすすめします。
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新型コロナの後遺症の予防法はある?
新型コロナ後遺症単体の予防法というものは現段階ではありません。やはり、新型コロナウイルス自体にかからないようしっかりと感染対策をすることがよいといえるでしょう。新型コロナにかからないためには、
- なるべく新型コロナウイルスのワクチン接種をする
- 食事以外では不織布のマスクを正しく着用する
- 外出時や人と接触した際は、手洗い・消毒を高頻度で行う
- なるべく体調の悪い人との接触を避ける
などがあげられます。一人一人が「うつらない」「うつさない」努力が大切です。
また、感染可能期間は、一般的に発症2日前~発症後10日前後とされており、後遺症があったとしても基本的に他の人に感染はしないと考えられています。。
新型コロナの後遺症の治療法は?
新型コロナウイルスに関してはまだまだ不明な点が多く、後遺症の治療方法は未だ確立されていません。
一般的な症状は時間の経過に伴い、軽快していくこともありますが完治までの期間もよくわかっておりません。
かかりつけ医や近くの医療機関に相談
万が一、後遺症になったとしても、一人で悩まずかかりつけ医や近くの医療機関に相談するようにしましょう。最近では、新型コロナ後遺症を専門に取り扱った「新型コロナ後遺症外来」や「アフターフォロー外来」などを設けているクリニックや病院も増えてきました。
血液検査・呼吸機能検査など必要な検査をし、症状に合わせた漢方薬・内服薬の処方、リハビリテーションが行なわれ、症状の緩和、改善を目指します。お住いの地域にあるかどうか一度インターネットで検索してみるのも一つの手かもしれませんね。
★北名古屋市の家来るドクター連携クリニック
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- かかりつけ医がない
- どこに相談していいかわからない
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などでお困りの方はお気軽に家来るドクターへお電話ください。
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まとめ
今回は、新型コロナウイルス後遺症のきじについて解説してみました。いかがでしたか。
新型コロナウイルス後遺症についてはまだまだ分かっていない点も多く、今後の治療法や治療薬などの研究に期待が高まります。まずは、新型コロナウイルスに感染しないように基本的な感染対策を徹底しましょう。万が一、感染してしまって症状が長引く際は「コロナ後遺症外来」や「家来るドクター」に相談をして症状を放置しないことが重要です。
新型コロナウイルス後遺症に関しては、また新しい情報が入り次第更新していきます。
この記事の監修医師
西春内科・在宅クリニック 福井 康大院長
プロフィールはこちらを参照してください。
<経歴>
- 三重大学医学部医学科 卒業
- 三重県立総合医療センター
- N2 clinic
参考文献
・https://www.nature.com/articles/s41586-022-04569-5
・新型コロナウイルス感染症診療の手引き 罹患後症状のマネジメント
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