新型コロナワクチン4回目接種は必要?効果・副反応・対象者は?
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新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種が、60歳以上の人や基礎疾患のある人、医師が重症化リスクが高いと判断した人などを対象に、令和4年5月末から始まります。
しかし、リスクのある人が多くいる病院や高齢者施設などで、職員がウイルスを持ちこんで感染が広がることも想定されます。そのため、対象者にならない人でも「接種したい」と考える人は打てる機会を設けてもよいのではないかという意見が出ています。
今回は、そんなまだまだ問題点も多い新型コロナワクチン4回目接種について現在分かっていることをまとめましたので参考にしてください。
目次
新型コロナワクチン4回目接種の対象者は?
新型コロナワクチン4回目接種の対象になる人は、以下の通りの人です。
該当する人は、全額公費で接種を受けることができます。令和4年5月時点では医療従事者は対象外となっており、自費でのワクチン接種についても認められていません。
3回目ワクチン接種から5ヶ月が経過した、
①60歳以上の人
②18歳以上で基礎疾患のある人
③その他重症化リスクが高いと医師が認める人
※①に該当する方は、お住いの自治体からの接種券がご自宅に郵送されるまでお待ちください。
※②、③に該当するかどうかは、かかりつけの医師、またはお住いの自治体の相談窓口にお問合せください。
愛知県感染症対策局 感染症対策課「 ワクチン接種体制整備室 ワクチン調整第一グループ」☎:052-954-6272
新型コロナワクチン4回目接種対象の「基礎疾患」とは?
新型コロナワクチン4回目接種の基礎疾患該当者は以下の通りです。
①以下の病気や状態の方で、通院/入院している人
1. 慢性の呼吸器の病気 2. 慢性の心臓病(高血圧を含む。) 3. 慢性の腎臓病 4. 慢性の肝臓病(肝硬変等) 5. インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病 6. 血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。) 7. 免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む。) 8. ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている 9. 免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患 10.神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等) 11.染色体異常 12.重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態) 13.睡眠時無呼吸症候群 14.重い精神疾患(精神疾患の治療のため入院している、精神障害者保健福祉手帳を 所持している、又は自立支援医療(精神通院医療)で「重度かつ継続」に該当する 場合)や知的障害(療育手帳を所持している場合) ②基準(BMI 30 以上)を満たす肥満の方 BMI30 の目安 *BMI30 の目安:身長 170cm で体重約 87kg、身長 160cm で体重約 77kg |
出典:厚生労働省手引き(新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(第 7.1 版))
自分自身が「4回目ワクチン接種対象者」かどうかわからない方は、かかりつけの医師またはお近くの医療機関に判断したもらった方がよいでしょう。
★新型コロナワクチン接種を行う家来るドクター連携クリニック
海外の新型コロナワクチン4回目接種の対象者は?
海外でも4回目接種は50歳以上や基礎疾患を持つ方などに限定されていることが多く、各国の新型コロナワクチン4回目接種の対象者は以下の通りです。
国名 | 主な対象 | 3回目からの間隔 |
---|---|---|
アメリカ | ・50歳以上 ・免疫不全者 |
4ヶ月以上 |
イギリス | ・75歳以上 ・介護施設の高齢者 ・12歳以上の免疫不全者 |
6ヶ月以上 |
フランス | ・80歳以上 ・免疫不全者 ・60~79歳 |
3ヶ以上※60~79歳は6ヶ月 |
ドイツ | ・70歳以上 ・5歳以上の免疫不全者 ・医療、介護施設の勤務者 |
3ヶ月以上※医療、介護施設の勤務者は6ヶ月 |
イスラエル | ・60歳以上 ・免疫不全者 ・18歳以上のハイリスク者 ・医療従事者 |
4ヵ月以上 |
新型コロナワクチン4回目接種の種類は?
今回も3回目と同様に接種ワクチンの種類は、
●ファイザー製
●モデルナ/武田製
の二種類です。3回目以降の接種間隔は今回を機に「5か月」に統一されました。早い人では、2022年5月末頃から接種が開始される見込みです。
新型コロナワクチン4回目接種の効果は?
新型コロナワクチン4回目接種の効果は複数回接種しても経時的に抗体価が減少することが分かっており、実はこれは4回目も同様です。
1.新型コロナワクチン4回目接種の海外の研究結果
2022年1月~3月(期間中の感染はオミクロン株が主流)に実施したイスラエルの研究によると、60歳以上の125万人の中で4回目を接種したグループは接種後4週目の時点で、重症化のリスクが3回接種のグループに比べ、3.5分の1に低下していることが分かりました。
この効果は6週後でも弱まる傾向はありませんでしたが、短期間の研究だったため、正確な持続期間は判明していないとしています。
感染予防効果は1カ月目をピークに弱まり始め、2ヶ月目以降の感染リスクは1.1分の1と、ほぼ元に戻っていました。
さらに、イスラエルでの医療従事者1250人を対象にした研究によると、2回目より3回目、3回目より4回目後の方が抗体価は高くなっていますが、それほど大きな変化は見られませんでした。
ただし、3回目接種後は時間が経つと抗体価が減ってきますが、4回目接種によってそれが再上昇するということは確認できます。
2.オミクロン株や変異株に対する効果は?
野生株、デルタ株、オミクロン株に対する中和抗体価の推移(DOI: 10.1056/NEJMc2202542)
イスラエルの研究結果から、オミクロン株への感染予防効果は限定的であるいうことが分かっています。
ワクチン接種後に生成される中和抗体の量は、変異株の種類によって異なります。ファイザーやモデルナのmRNAワクチンは、最初に中国の武漢で見つかった新型コロナウイルスの野生株のスパイクたんぱくを細胞内で生成し、免疫を得るという構造です。
しかし、オミクロン株では非常に多くのスパイクたんぱくの変異が起こっており、野生株のスパイクたんぱくとは大きく顔つきが異なるため、オミクロン株に反応するための中和抗体の量は十分ではありません。
4回目接種による効果はどうかといえば、やはり野生株と比較すると中和抗体価は10分の1以下の量となっており、十分とは言えません。
以上をまとめると、
●4回目接種で入院や重症化の予防効果が一定期間高い状態で維持されるが、時間の経過とともに効果が弱まる。
●4回目の接種で抗体の量は増えたものの、オミクロン株の感染を防ぐ効果は十分には得られない可能性がある
●60歳以上の高齢に限定した場合は、オミクロン株においても、それなりに重症化の予防効果が認められている
となります。これらの背景から、重症化しにくい元気な若年層では何度もワクチンを接種する必要性が高くないといえるため、日本では新型コロナワクチン4回目接種対象者は60歳以上や基礎疾患を持っている人に限定しています。
オミクロン株に関しては、関連記事:新型コロナのオミクロン株に感染したら、どうしたら良い?初期症状や対処方法もご参考ください。
新型コロナの新たな変異株発見や世界情勢の変化によっては4回目接種の対象者が変更になる可能性があります。新しい情報が入りましたら、都度追記をしていきたいと思います。
新型コロナワクチン4回目接種の副反応や安全性は?
イスラエルの報告によると、4回目接種後21日までにおいて、重大な副反応は認められなかったとしています。
また、60歳以上の4回目ワクチンの主な副反応は、以下の通りでした。
- 接種部位の痛み:
- 接種部位の腫れ:
- 倦怠感:
- 頭痛:
- 筋肉痛:
以上のデータからもわかる通り、4回目の接種後の副反応は、3回目までの副反応と大きな違いはありません。これまで通り接種部位の痛みや腫れ、倦怠感、頭痛、筋肉痛、発熱、リンパ節の腫れなどが見られています。3回目までよりも特に副反応が重くなるということもなさそうです。
3回目の副反応については、関連記事:新型コロナワクチン3回目接種(ブースター接種)の副反応や後遺症についてをご覧ください。
新型コロナワクチン4回目の副反応や後遺症の相談窓口はどこ?
【かかりつけ医】
まずは、かかりつけ医のホームページでワクチン副反応相談窓口があるかどうかを確認しましょう。
または、直接電話で問い合わせてみましょう。
★新型コロナワクチン接種を行う家来るドクター連携クリニック
【家来るドクター】
- かかりつけ医がない
- 病院が見つからない
- 夜間・休日のワクチン副反応についての相談先がわからない
などでお困りの方は、家来るドクターにお気軽にご相談ください。
家来るドクターは夜間・休日の体調不良時に電話一本で医師が適切な対処法をご案内いたします。
愛知県内をほぼカバーする往診エリア内で救急往診が必要と判断された場合、連携医療機関の医師が最短30分でご自宅へお伺いし診察を行います。
往診は国民健康保険適用で、医療証もお使いいただけます。
※登録等は不要でどなたでも365日年中無休で利用できます。
【自治体の新型コロナ4回目ワクチン接種相談窓口】
愛知県では新型コロナワクチンの4回目接種に係る相談窓口を設けています。
●愛知県感染症対策局 感染症対策課「 ワクチン接種体制整備室 ワクチン調整第一グループ」☎:052-954-6272
新型コロナワクチン4回目接種についてのまとめ
今回は新型コロナワクチン4回目接種について解説しました。4回目ワクチン接種の効果や安全性に関する情報は限られていますが、3回目と比べて4回目に大きな差はありません。
オミクロン株が主流となっている現在、4回目接種をすることで接種した人の感染リスクを下げることはできますが、感染を完全に防ぐことはできませんし、国民全員が4回目の接種をしたとしても、新型コロナが終息するということも期待できません。
しかし、時間経過とともにワクチンによる重症化を防ぐ効果は下がってきますので高齢者や基礎疾患を持っている人に至っては4回目を接種する意義はあるでしょう。
今後、オミクロン株よりもさらにワクチンが効きにくい変異株が出現し、感染拡大することも考えられます。ゆえに、大切な人を守るためにも引き続き基本的な感染対策を心掛けることが重要です。
万が一、体調不良やワクチン接種後の副反応などでお困りの際はお気軽に家来るドクターへご相談ください。
こちらの記事もオススメ
〇関連記事:ステルスオミクロン株とはどんな特徴??初期症状や感染した時の対処方法について
〇関連記事:ビジネス渡航者(海外赴任者)向けの証明書発行を伴うPCR検査クリニックについて
〇関連記事:新型コロナワクチン3回目接種(ブースター接種)の副反応や後遺症について
参考文献リスト
・NHK特設サイト新型コロナウイルス「イスラエル 4回目接種 オミクロン株感染防止効果は不十分か」
・公益財団法人東京都医学総合研究所「オミクロンに対する新型コロナワクチン4回目接種の効果」
この記事の監修医師
西春内科・在宅クリニック 福井 康大院長
プロフィールはこちらを参照してください。
<経歴>
- 三重大学医学部医学科 卒業
- 三重県立総合医療センター
- N2 clinic
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